古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

音楽映画ベストテン

 せんだい文学塾でもお世話になっているワッシュさんのブログ『男の魂に火をつけろ!』が毎年やっている映画ベストテン企画に参加します。今年は音楽映画で、これを機会にいろいろ見返したかったんだけど、まったくそんな余裕がなくて、いつまで考えていても決まらないので適当に選びました。近年に見た映画が多くなりました。

 

ファントム・オブ・パラダイス

②ジャージー・ボーイズ

③セッション

④くちびるに歌を

Ray/レイ

ウッドストック 愛と平和と音楽の3日間

ドアーズ

⑧すかんぴんウォーク

アイデン&ティティ

アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち

 

 ①は去年カナザワ映画祭で爆音上映で見たら腰が抜けるほど感動して、佐村河内守さんの一件でまた感動がぶり返した。②はあまりに感動して去年のベストワンに選んだ。③④は今年の映画で、今年は音楽や舞台パフォーマンスの映画が豊作でその中でもトップクラスで面白かった。⑤は随分前に見たんだけど、セックス、ドラッグ、ソウルミュージックという内容で素晴らしかった。⑥はスライ&ザ・ファミリーストーンのパフォーマンスが凄くて、かつて見たライブ映像でも3本指に入る名場面。今年公開のドキュメンタリーもよかった。⑦評判が悪かったけど見たらすごく面白かった記憶があってまた見返したい。⑧山田辰夫が荒んだパフォーマンスをする場面が最高。⑨峯田くんが素晴らしかった。⑩クライマックスの日本人が優しくて誇らしかった。

 

 はてなブログトラックバックができないみたいだ。

 

 

『うちの子になりなよ』発売中

 実はずっと不妊治療に取り組んでいたのですが結果に恵まれず去年の末より、里子を預かって養育しています。不妊治療と同時に里親研修も受けておりました。だんだん、自分の子供でなくても、子供なら誰でもいい、子供がいないことにはにっちもさっちもいかないという気持ちになっていたので救われた気分です。

 

 男の子の赤ちゃんを預かって暮らしております。赤ちゃんと言うのは変化が目まぐるしく、うっかりするとちょっと前の事をすっかり忘れてしまうので、これはいかんぞと成長の様子をフェイスブックに友達までの公開でだいたい10日に一度くらいのペースで記録していました。それを枡野浩一さんがすごく面白がってくださって、本にすることを勧めてくれて、それを見たイーストプレスの編集者の圓尾さんが声を掛けてくださいました。大半は文字の本です。 文字の本は自費出版の『オレは童貞じゃねえ!!①』以来となります。

うちの子になりなよ (ある漫画家の里親入門)

うちの子になりなよ (ある漫画家の里親入門)

 

 

 里親は守秘義務があって、赤ちゃんの出自などは一切漏らしてはならないし、個人が特定できるような情報も出してはなりません。フェイスブックで友達までの公開でも、それらには触れないようにしています。そんな状況でありながら本にするというのはいかがなものかと躊躇いはあったのですが、『悪魔を憐れむ唄』の単行本の売れ行きがさっぱりで最終巻が刊行されない状況にあり、自分の漫画の市場価値が地の底に落ちているような感覚があり、藁をもすがる思いでありました。文字ベースの本なら図書館で置いてもらえるかもしれない、そしたらそれだけでも初刷り分は大分捌けるのではないかと、文字の本を出してもらえるのは嬉しかったです。エピローグ、プロローグの漫画と、子育てエッセイ1本につき、1本ずつ4コマ漫画も描いております。

 

 発売から2週間くらい経過していて、これがありがたいことにかつてない売れ行きなんですよ! 大半は子育てエッセイで、里親になったいきさつや、その段取りなども書いております。アマゾンでは「里親制度についての本かと思ったら普通の子育て本でがっかりした」というので辛口の星一つのレビューがついていますが、本当にその通りで、もうしわけない気分です。大半は子育て本です。しかも里親制度についても本に描いた以上で言えることが大してあまりないんですよね。お住まいになっている自治体の里親研修に申し込むくらいしか説明のしようがなく、赤ちゃんについても詳しい事情を述べるわけにはいきません。里親に関心がある人はぜひ、お住まいの地域の児童相談所にお尋ねください! 疑問に思っている事があったら、言える範囲でなんでもお答えしますよ。ぜひご質問ください!

 

 漫画は出せば、自然とそのうち増刷になるものだと思っていたのに、ここ10年くらいそんな声を聴いておらず、本当に久しぶりに、まだこれからなんですが増刷が掛かりそうで、もしそうなったら、弟子とサイゼリヤで忘年会をしようと思います。枡野さんにも食事を、肉か何かをごちそうさせていただきたいです。

 

 家に子供がいて、かれこれ1年になりますが毎日とても楽しく暮らしています。

 

 ウートピという女性向けのサイトで取材していただきました。どうもありがとうございました!

wotopi.jp

 また、『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』で、しまおまほさんが、秋の推薦図書特集でご紹介くださいました。まほちゃんどうもありがとう!

www.tbsradio.jp

古泉智浩ネーム教室in漫画空間

 漫画家の深谷陽さんが店長を務める漫画喫茶、高円寺漫画空間というお店があります。ここは漫画喫茶と言っても、世にも珍しい漫画を描くための漫画喫茶で、漫画を描くための設備が整っております。

www.mangakukan.com

 

 池袋マンガ教室の第9期の申し込みがさっぱり集まらず中止となっており、その代わりというわけではないですが、池袋マンガ教室ではできなかったことをやらせていただくこととなりました。初心者向けの教室ではなく、本格的に漫画家になりたい人向けに超実践的にネームのワークショップをします。池袋の経験で学んだことがあります。締切があると人は漫画を描くという当たり前のようで、しかし自力で締切を設けるのはなかなか難しいものです。池袋は四コマやショートなのですが、漫画家を目指す人は新人賞に応募するのが大半なので、読み切り漫画のネームを教室の時間内にやっていただきます。16~24ページといった分量のネームを5時間で考えます。

 

 いきなり5時間でネームを描こうというわけではなく、3日間かけて、そこは段階を経てやります。

 

①11月23日(月)13時~18時 プロット、箱書き
②12月7日(月)13時~18時 ページ構成、コマ割り
③12月21日(月)13時~18時 ネーム作製

定員5名 1回5千円(3回で1万5千円)

 

 1開催ごとに2週間あるので、その間に直したり、進める人は先に進んでいただいても構いません。できるひとはこの期間に2本でも3本でも描いていただくのもいいと思います。毎回、じっくりディスカッションして少しでも作品の内容を高めるようにします。なので、多くの人は見れないので、定員は5名です。幸いな事にもう現時点で4名の申込みをいただいております。満員だと思ったら一人申し込みが重複していました。あと一人分なので、お早目に!

 

 新人賞の奨励賞は最低でも取れるネームを目指します。オレは新人賞は7回取ってますので、そこは自身があります。実際こんなのは自慢にも何にもならないんですよ。普通は1回新人賞を獲ったらその雑誌で連載をして単行本を出すのですが、オレはその実力がなくどこに行ってもプロ未満の新人扱いされていただけなんです。賞を取るのはそんなに難しくなく、そこそこきちんとしていれば賞は取れます。

 

 お申し込みは漫画空間のTwitterまでお願いいたします!

twitter.com

 漫画空間は他にもいろいろな教室が開催されているので、漫画家を目指す人はチェックだ!!

映画秘宝12月号、文學界11月号

 映画秘宝12月号で、今週から公開の映画『トランスポーター イグニッション』の紹介を書かせていただいております。これまでジェイソン・ステイサムが主演のシリーズだったのが、若手にバトンタッチしており、ハゲをかっこいい髪形として認識させていたのに、スポーツ刈りになっております。映画の面白さはこれまでのシリーズでも屈指の出来です。僕はサンプルDVDで見たのが非常にもったいなかったので、スクリーンで見返したいです。とても楽しい映画でした。 

映画秘宝 2015年 12 月号 [雑誌]

映画秘宝 2015年 12 月号 [雑誌]

 

  

 

 

 文學界11月号でコラムを書かせていただいております。文芸誌という格式高い舞台にオレみたいなブログ上がりのヘタクソな文章でいいのかなと思いつつも厚かましく載せていただきました。特集が映画で、阿部和重さんが黒沢清監督の『水辺の旅』について大変重厚な評論をしていたり、園子音監督インタビューがあったりと、とてもとっつきやすくて面白かったです。オレが描いたコラムのテーマは赤ちゃんについてです。 

文學界

文學界

 

 

 こうして文章のお仕事を時々させていただいておりますが、5月からせんだい文学塾という小説家を目指す人のための教室に毎月通っております。これがすごく面白くて、あわよくば小説家になりたいという気持ちもないことはなく、又吉さんみたいに受賞したりベストセラーを出したりしたい。漫画がなんだか商売にならなくなって来ているようだからなんとか他の道を探りたいなどという気持ちもありますが、すっかり失っていた向上心をちょっと取り戻せた感じが嬉しいのと、何より顧問をされている池上冬樹先生のお話がすごく面白くて、毎回やる気が鼓舞されます。

 

 あまりに漫画が売れず、先行きが不安で取りあえず何か、なんでもいいからヒットを一発くらい出さないと終わってしまうという気持ちでつい受けそうなものは何かないかどうすれば人気が出るのかといろいろなものを見失いかけていました。そんなものをオレが目指したって無理に決まってるんだから、20何年もやっていて人気もなければヒットもない、そんなのもう無理なんです。自分にできる精一杯の面白い作品を作るよりどうしようもないと改めて気づかされました。

 

 でも小説は毎月1本ずつ練習で描くことにしています。でも忙しくて9月の小説が描けなかった。今月2本描けるかな。そういうのも漫画にフィードバックできるのではないかと考えております。

 

・せんだい文学塾 https://sites.google.com/site/sendaibungakujuku/

ゾンビ漫画作品集『青春と憂鬱とゾンビ』、映画『死んだ目をした少年』DVD発売中

 漫画アクションで連載していて菱沼康介監督により映画化もなされた『ライフ・イズ・デッド』というゾンビ漫画があります。普通のゾンビ作品は、ゾンビに噛まれたら数時間か半日くらいでゾンビになってしまって、噛まれていない人々を襲い始めるのですが、僕のゾンビは噛まれたり性交渉で感染して、半年くらい掛けてゆっくりと進行する、難病ものとしての側面が強くあります。そんな世界観で主に田んぼの真ん中を突っ切る国道や、車で20分くらいの場所にある森を舞台にドラマが進行します。他に舞台がないのかというほど、どれも森が出てきて、リンクしているエピソードもあります。『ライフ・イズ・デッド』以降描きためていたゾンビ漫画作品集を太田出版より発売しております。 

  担当してくださった太田出版の村上さんが表紙はアクリル画にしよう、とか、タイトルはこれでいいのか、もっと頑張りましょうと尻を叩いてくださって、力の入った本となっております。

 

 この単行本に収録されている『地下芸人がゾンビに噛まれた結果ww』は太田出版ぽこぽこで試し読みできますよ!

 

  こちらも合わせて読もう!こんな事をいうと自慢みたいでなんですが、電子書籍でずっと売れていてゾンビというジャンルのお陰ですか、清算時期によってはけっこうな印税をいただくことがあります。

ライフ・イズ・デッド [DVD]

ライフ・イズ・デッド [DVD]

 

  映画も見よう!面白いよ!

 

 さて、2月にテアトル新宿で劇場公開された映画版『死んだ目をした少年』がDVDとなって発売&レンタル中です。東京と大阪の人しか見ることができなかったのですが、これで全国の皆さんにご覧いただくことができます!

死んだ目をした少年 [DVD]

死んだ目をした少年 [DVD]

 

 予告編です!

 

  三平映画館、カセット館後藤さんの上半期ベストテン第5位、古泉の第10位でもある傑作です。加納監督の見事な演出と素晴らしい役者陣のお陰で、登場人物に本当に会って来たかのような錯覚があるほどの実在感で描かれています。 

 

死んだ目をした少年

死んだ目をした少年

 

  映画の後は、ぜひ原作漫画もお楽しみください!!

 

 

池袋マンガ教室第9期生徒募集

 いよいよ池袋マンガ教室が5年目となります。発想の練習とネームの構成を中心とした初心者向けのマンガ教室なのですが、発想に初心者も熟練も違いはないせいか、時々プロの人も受講してくださっております。でも基本は初心者で、全く漫画なんか描いたことがない人向けの教室です。四コマ漫画やショートコミック、エッセイ漫画などのネームを作成します。絵の指導はありません。持ち物は鉛筆かシャープ、消しゴムだけです。今週末10月4日より始まります。

 

 以前は非常に繁盛していて月2回の往復の交通費と中野のアパートの家賃をペイしても余るくらいの収益をあげていたのですが、最近ではずっと交通費にも足りないくらいの赤字運営です。それでなぜ続けているのかというと、運営しているこっちも大変勉強になり、大いに刺激を受けているからです。この教室がなかったら『悪魔を憐れむ唄』の連載もなかったかもしれないし、エッセイ漫画の描き方を開発することもなかったです。

cul.7cn.co.jp

 ここ最近は多くて10人くらいで、少ない回は3人なんてこともありました。大体5人前後です。5~6人がディスカッションで班分けせずに済み一番やりやすいです。それだと赤字ですが! 10人くらいいたとしても班分けせずにたっぷりディスカッションした方がいいかなと最近は考えております。ディスカッションというのがこの教室の肝で、いろいろな人の考えや意見を聞いて、そこから漫画にどう活かすのかアイディアをチョイスして発想の練習となります。でも話をするのが苦手な人はいますので、向き不向きはあります。僕はこれがすごく好きなんです。そして以前は宿題だったのをその後15分くらいで四コマ漫画を大急ぎで描くのがまたすごくいいです。生徒の皆さんもオレも必死こいてやります。締切があるとコマを埋められる事が実感できます。

 

 ともすると四コマ漫画一本考えるのに一日掛けてしまうこともザラにあるのが漫画です。良くても悪くても15分で描いてしまうえば、後でやっぱりこうした方がいいかなと直すのは、最初に0から1に持って行くよりずっと楽です。

 

 毎回授業中の課題で2本、宿題で2本やっていただいて、やりたかったら何本でもやっていただいていいのですが、そういうわけで半年の教室でかなりの本数のネームがたまります。先日卒業生の人と自費本の打ち合わせで課題のネームを見せてもらったらすごいボリュームとなっていました。ともすればマンガ専門学校に2年通った人より多いのではないかと自負しております。

 

 僕は漫画はネームができれば8割完成と考えていて、でも世の漫画の学校でネームをみっちり教えるところはあまりないのではないでしょうか。僕もみっちりは教えないのですが、習うより慣れろでガンガン課題をやった方がいいと思います。自分で掴まないとどうにもならないです。数をこなして慣れて自分のものにするしかありません。

 

 これまで第2・4日曜日でしたが、第1・3・5日曜日に変更となります。年末年始など変則開催もあります。時間は15:30からです。会場は池袋コミュニティカレッジ。

 

 冒頭に絵の指導はないと記載しましたが、あまりに絵心がない人には基本的な人物の描き方などお教えしますよ。エッセイ漫画の超絶に簡単な描き方もやります。 

秘伝エッセイ漫画超絶簡単技法 (池袋マンガ教室スペシャル)

秘伝エッセイ漫画超絶簡単技法 (池袋マンガ教室スペシャル)

 

 

※今回は申し込みが少なくて中止となりました!(10月3日)

 

カナザワ映画祭2015

 カナザワ映画祭には開催日程の内、2泊3日くらいで都合に合う映画を見ていたのだけど、今年は5連休で北陸新幹線開通でホテルが高騰し、3泊しようと思っていたら4連泊の方が安いプランがあったため思い切って4泊5日で臨んでみました。4連泊のプランは清掃が一日おきで、それでも1泊7千円もした。例年は3300円で宿泊していたので目玉が飛び出そうだった。しかも会場である都ホテルからは2キロくらいの距離の片町という繁華街で、用がないのに繁華街にいるのもしんどかったです。直前になると安い宿もあったそうなので、来年はもし高かったら予約せずに行きたいと思いました。それか高かったら都ホテルで2泊にするとか、もうちょっとやりようはあったな~。4泊は長くて途中で帰りたくなりました。

 

 見た映画の感想は映画.comやフィルマークスに書いたのですが、ここではそこでの扱いがない映画について記録をしておこうと思います。2日目9月20日に上映された最新のアジア映画が素晴らしい作品でどっちも日本公開の予定がなく、これぞカナザワ映画祭ならではであると非常に貴重な機会でした。カナザワ映画祭に初めて行った時に見た映画が『It is fine,everything is fine』という車椅子の身障者で非モテのおじさんが連続殺人鬼になってしまうというとんでもない映画で、しかもファンタジックで感動的な結末で度肝を抜く傑作でした。それが監督のクリスピン・グローヴァーが自分立会いの下でご自身のスライドショーとセットじゃないと上映しないという方針であるためか、それ以降日本で上映されたという話を聞きません。何の気なしに見たんだけど、見ておいて本当によかった。もう一回見たい。ブルーレイ欲しい。

 

 今回のアジア映画は、そのような厄介な条件がないので、そのうちシネマカリテやヒューマントラストシネマといった熱心な映画館で上映されるんじゃないでしょうか。

 

○『無人区』(中国映画)

 橋下徹大阪市長の弁護士時代みたいな、若手弁護士が主人公。この人は勝てばなんでもありみたいな冷徹な人物で、ハヤブサ密漁をしている兄弟の弁護を引き受ける。裁判に勝ったけど報酬が払えないため、代わりに車を担保に都会に帰ろうとしていると、その道中トラックの運転手といざこざがあり、途中に立ち寄ったドライブインでぼられたり、密漁の兄弟が追いかけて来たりと、そのみんながみんなで争い合うような展開となる。弁護士がとにかく負けん気が強くてトラブルを招くのだが、全員が全員負けん気が強く、キャラクターとして性格の描きわけがあまりできていないのではないかと思う。おそらく脚本家か監督がそんな負けん気の強い性格なのだろう。

 最初見た時は、ごちゃごちゃしすぎてお腹いっぱいだな~と、面白かったけどそれほど傑作であるとは思わなかった。しかし後から反芻しているとやっぱり凄かったぞと改めて思いました。カーアクションも素晴らしかったし、殺し合いも生々しくてよかった。特にドライブインの一家の生活感がすごくて、何もないし警察が滅多に来ないことをいいことに好き放題やっている。ちょっとした帝国を築いているような、メンバーは家族だけだけで、貧しくとも誰が来ても恫喝してぼったくってやればいいと思っているような感覚が完全に自由でいいじゃないですか。最高だなと思いました。

 あと、銃もどんな仕組みかよく分からなかったけどかっこよかった。劇場公開されたらまた見に行こうと思います。中国映画は去年からちょっとずつ見ていて『罪の手ざわり』『薄氷の殺人』かっこよくて面白い作品ばかり。『無人区』もそうなんだけど、心にべっとり貼りつくような何か印象深いものがある。

 

○『印度国道10号線』(インド映画)

 インド映画の楽しければなんでもありみたいな、時にリアリティを度外視するトーンが好きじゃなくて、この映画はスルーする予定だったのですが、カセット館の後藤さんがすごく推していたので見ました。すると、すごく面白かったです。完全にリアリズムで描いていて好きなトーンでした。

 都会の大会社で働くエリートサラリーマンの夫婦が、奥さんの実家に里帰りする途中のドライブインでカップルが拉致される現場を目撃する。後を追いかけて行くと、殺人現場を目撃してしまい、夫婦が殺人集団に追いかけられてしまう。奥さんが助けを求めて警察に行ったり、村長の自宅に駆け込んだりすると思わず田舎の闇に触れることになる。

 構成が見事で最後までどうなるの?どうなるの!とハラハラし通しでした。映像がくっくりはっきりしていて、見やすいのはよかったんだけど、奥さんがどことなく松坂慶子みたいな雰囲気があって映像の雰囲気も含めて火曜サスペンス劇場みたいな感じがありました。

 

 

 今年は映画17本、トークショー2本見て、完全に寝てしまった映画4本、ウトウトした映画5本という残念な側面もありました。以前に見ていたり、あまり好きじゃなくて、見なくてもよかった映画が2本あった。せっかくスクリーンだからとか爆音上映だからと言って無理矢理見るのではなく、冷静にチョイスして見るべきであると思いました。

 

 映画祭のサポーターに申し込んでいたら、パンフレットで入会順で3番目に名前が掲載されていて嬉しかったです。来年は1番を目指します! ちなみにスペックスさんが5番、カセット館後藤さんが7番です。サポーターになると入場の列に並ばずに済んで、席を取ってからゆっくりと1階のサンクスに買い物に行くことができます。上映までの時間でサポーター用の椅子で弁当を食べるというのが食事の大半でした。上映時間前に弁当をかっこんでいる男がいたと思いますが、それがオレです。

 

 今年もカセット館の後藤さんとラジオを録ったので、そのうち三平映画館特別編で配信しますね! 来年も楽しみです。

 

 

映画の感想が1000本を超えた

 映画.comで映画の感想を記録していたのが1000本を超えました。今現在1004本です。元々はgoo映画だったのが終わってしまって引き継げるところはそのまま映画.comに移行して、それが何本だったのか忘れてしまったんだけど、2011年の10月くらいから、約4年で1000本となりました。引き継げずに消えてしまった映画の感想も何本かありました。

eiga.com

全部ネタバレです。

 

 ネタバレの定義が、人それぞれで、結末さえ言わなければネタバレじゃないという人もいます。オレはできれば何の映画なのかすら知らずに見に行くのがベストだと考えていますので、全部ネタバレ設定にしています。明確にオチに触れている感想もあるので、ネタバレだと思ってください。ただ、goo映画から移行した感想はネタバレ設定になっておらず、星の数も多めになっています。2013年の3月以前がgoo映画からの移行分です。元々はonTVというページで見た映画の星だけを記録していました。それは記憶に残っている映画も含めていて、2000本くらいあったような気がするんだけどサービスが終わってしまって、goo映画で記録を残すことにして、そこからはその時に見た映画だけを扱うことにしました。

 

 東京で借りているアパートでテレビ東京午後のロードショーを録画して見たのもたくさんあります。2回目とか、そんなに興味がないけど一応見ておきたいと言った映画には本当にいいですね。2時間枠だけど、CMが3分くらいのがたくさんあるので、正味80分ではないかと思っています。特にジャッキーの映画は苦手なギャグの場面をバッサリ行ってくれているようでとても楽しく見れます。まさに神編集です。最近見たのでは『激流』という94年のメリル・ストリープケビン・ベーコンが川下りする映画がすごく面白かったです。放送されたのは大分前ですが、一昨日くらいに見ました。

 

 映画館、WOWOW午後のロードショーで見ています。映画館は月に8~10本くらいで、できれば一日1本見たいんだけど、平均年250本でした。

 

 1000本見ればかなり見たと言えると思うのですが、例えば『絶望シネマ88』という本で紹介されている映画のうち見てないのが38本ありました。全然足りてないんじゃないか、もしくは偏った見方をしているのではないか、けっこう手当たり次第に見ているつもりなのですが、本当に切りがないです。『炎628』もカナザワ映画祭で見る機会があったのに見逃してしまった。

 

 『絶望シネマ88』ではオレもニコラス・ケイジ主演の『リービング・ラスベガス』という大好きな面白い映画を紹介させていただいております!

 

 また、絶望シネマの特集上映がテアトル新宿で先週開催されていて、オレは最終日にしかいけなかったのですが、1000本目は『TATOO(刺青)あり』でした。その日の上映3本『TATOO(刺青)あり』『ときめきに死す』『男はつらいよ・寅次郎あじさいの恋』を見ました。『ときめきに死す』はテレビ放映を録画したのを何回も見ていて、スクリーンで見れるのが本当にうれしかったんだけど、登場人物がボソボソ話すし、ダウナーな展開でメガシャキを飲んでいたのに寝てしまいました。

 

 3本のうち始めてみたのが男はつらいよ・寅次郎あじさいの恋』で、寅さんをこれまできちんと見ていなかったことが悔やまれると同時に、気づくのがこれ以上遅くならなくてよかったと思えるほど、寅さんの魅力が凄まじかったです。高橋洋二さんと立川志らくさんの解説も素晴らしくて、1作目かもしくはテレビドラマシリーズからきちんと見てみようと思いました。1000本の節目に『男はつらいよ』シリーズに着目できたことがなんとも運命みたいな気がします。

 

 これまではつまらなそうでも手当たり次第に頑張って最後まで見ていたんだけど、これからはきちんと選んで見ようと思います。映画の紹介本に乗っているような映画もちゃんと見ておきたいです。

 

 映画.comで扱っていない映画はフィルマークスで書いてます。フィルマークスで書いたのが後に映画.comでも扱いが始まることがありますがそのままにしています。こちらは現在19本で、スティーブ・オースティンの映画が見たのは全部面白かったです。

filmarks.com

中之口先人館 古泉智浩作品展

 新潟市西蒲区にある中之口先人館で作品展が本日、8月4日から23日まで開催しております! 入場無料です。

 

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 ただ、会場の最寄り駅が燕三条駅でそこから10キロとけっこうな距離で、バスもあるけどそんなに本数が走ってないとのことです。車以外はちょっと不便です。

Google マップ

 ドライブで新潟にお越しの人か、新潟に在住で車移動の皆さん、お時間ありましたらぜひ足をお運びください! 近くにはフルーツ園みたいな施設があって楽しいですよ。

 

・『ジンバルロック』原画

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第5・8・9話の原画です。

 

・アクリル絵画

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・Tシャツ

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12点くらいあります。

 

・漫画の製作工程

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・ささやか映画上映

 

 といった5項目の展示で、けっこうなボリュームとなっております。あいさつの文章を書いたので、ぜひお読みください!

 

はじめに

 本日はご来場いただきありがとうございます。漫画家の古泉智浩です。新潟市江南区在 住で活動しています。今回の作品展は、自主映画は東京や大阪で撮影した作品も含まれて いますが江南区、旧亀田町で作られたものが大半です。

 漫画家のデビューは23歳で、今46歳なので人生の半分を漫画家として過ごしてきま した。と言っても、漫画専業になったのは2006年でそれ以前は他の仕事をしながら漫画 を描いていました。20代は東京で、ちょうど先人館のような施設で仕事しながら描いて いました。30歳、1999年に新潟に戻りました。それからずっと新潟で活動しています。 自主映画は2003年から始めたのですが、2006年より『ささやか映画』活動も開始して います。そう思うと2006年は節目の年でした。専業漫画家は10年目です。

 2003年より漫画原稿はデジタル化しており、原画が完成形で存在しません。紙原稿は 中途半端な線画までで完成形はデータでしかなく、展示には不向きです。今回は2000年 の単行本デビュー作『ジンバルロック』の5話8話9話の原画をお読みいただける形で展 示します。

 2003年以降のデジタル原稿は展示に不向きなのですが、代わりにデジタル漫画データ の工程をご覧いただけるように展示します。ネーム、線画、データの刷り出しの3工程を 『わいわい★パーティ』というショートコミックでご覧いただきます。8ページの連載な のですが、この回は前編、中編、後編に分かれたうちの中編です。一番見せ場が派手なの でこれにしました。

 Tシャツのイラストを手掛けています。一番最初は古町にあったジャブローというお店 で、プロレスラー田上明選手のTシャツで試作品を作っていただきました。製品にはなり ませんでした。その後、ゴーイング・ステディというバンドのTシャツ、解散した後に リーダーの峯田和伸さんが結成した銀杏BOYZでもやらせていただきました。気志團と神 聖かまってちゃんのコラボTシャツ、先日結婚、ご出産を発表されたアイドルの小明さん、 新潟のご当地アイドルRYUTist、新潟のプロレスラーであるスーパー・ササダンゴ・マ シーン選手、勝手に観光地のお土産用、浅草Tシャツなどなど、他にもまだまだいろいろ あります。1枚しかないのに着古してしまったものや、描いたのに手元にいただけなかっ たものもあります。いつか全てのTシャツを展示してみたいです。

 『ささやか映画』としてショートムービーを47本上映します。47本と言っても2時間 15分くらいです。なにしろ短いのでは2分足らずで、長いので10分くらいです。『ささ やか映画』は基本5分以内が規定です。中には出来のよくないものもありますが、すぐ終 わるので安心してご覧ください。この活動も2006年からで今年で10年目です。

 アクリル画が7点あります。大学生の時に美術サークルに所属し、油絵を描いていまし た。その時に修練した絵画の技法が僕の絵柄の元となっています。タッチが雑なのでそう は見えないかもしれませんが、僕の絵柄はリアリズムが基調です。漫画なら省略した方が 見栄えがする鼻の穴や、目を線で閉じる描き方はそのためです。しかしリアリズムと言っ ても、あくまで僕の基準でのリアリズムなので、現実と照らし合わせたリアリズムではな いかもしれません。

 漫画専業となって10年目でこのような作品展を開催させていただき感無量です。活動 は人生の半分を迎えて、現在も継続中です。お楽しみいただければ幸いです。

秘伝 エッセイ漫画超絶簡単技法

 僕はもともとエッセイ漫画は特に描きたいと思ったことがなく、普通のフィクションの漫画でさえ描くのが面倒なのに、文章で伝えれば済むような事をわざわざ漫画で描きたくないと考えていました。そんなエッセイ漫画に食指が動かない人でも気軽にエッセイ漫画を描くにはどうしたらいいのだろうと考えて編み出したのがこの技法です。すると結果的に誰でも簡単にエッセイ漫画を描ける方式になりました。この古泉式エッセイ漫画術を、池袋マンガ教室の生徒のみに後悔していた秘伝を公開します。秘伝というのは大げさですが、簡単に言ってしまえば1行の文章で済むようなことなので、敢えて秘伝と言わせていただいております。もったいぶってないでこのブログで書けばいいではないかと自分でも思います。しかし、お金をもらって商売しており、漫画がさっぱり売れない苦しい現実もあるわけです。そこで電子書籍で販売してお伝えするという、非常にもったいつけて申し訳ありません!

 

  解説漫画を30ページくらいで描こうと思ったら内容がシンプルすぎるせいで14ページで終わってしまいました。お時間のない人は10ページ目くらいにある、「エッセイ漫画描き方のまとめ」をご覧いただけばそれで済んでしまいます。その分この技法をマンガ教室で身に着けた弟子の宮川さとしくんとの対談が大変充実しております。宮川くんはこの技法で『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った』という涙無くしては読めない傑作を描きました。宮川くんは熱心なので、オレの技法を遥かに高い次元に発展させてエッセイ漫画表現をしております。とても分かりやすく役に立つ技法を宮川くんが語ってくださっております。

 

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。

 

  

 250円と言う価格設定は、本当は200円にしたかったのですが、アマゾンのロイヤリティの高い方の最低価格です。わずか30ページ程度の本なのに申し訳ありません! ただ、「エッセイ漫画を描きたい、でもどう描いたものか今一つ分からない」「もっと気軽にエッセイ漫画に取り組んでみたい」と足踏みしているような人には絶対にお役に立てると自信を持っております。これまで全く漫画を描いたことがなくてマンガ教室にいらした人でエッセイ漫画を描けずに帰った人は一人もいません。

 

 設定をオレがしたのか、いろいろやっているうちにそうなったのか、0円でオレにお金が入るのか良く分からないのですが、アマゾンのプライム会員なら0円でお読みいただけますよ。ぜひお読みください!

 

 オレが本当に危惧しているのは売れているプロ漫画家がこの技法で楽にエッセイ漫画を描いてさらに売れて、手広く商売するようになってますますオレの立場が漫画業界でなくなるんじゃないかということです。でもエッセイ漫画で商売してないので関係ないと言えば関係ないんですけどね。もしそんな人がいらしたら「古泉式のお陰で楽にエッセイ漫画が描けた」と一言添えていただけると非常にありがたいです!