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古泉智浩の『オレは童貞じゃねえ!!』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

最近の仕事

 このところ原稿は先月は8枚、今月は6枚と非常に生産が少ないのですが、だからと言ってポケモンばっかりやってるわけじゃないんですよ。改編期の特番見たり、あさ美ちゃんの写真集を見たりで本当に忙しくて……ということでもなくて、次の長編のネームをやっていました。

 長編と言ってもうちの場合は単行本1冊分なんですけどね。

 当初、週刊連載を目指していたので、週刊ペースの作業は普通に締め切りを守ってというやり方では対応できないじゃないですか、一人でやってますからね、
なので、最後までネームをやっつけて、それでOKがもらえたら作画に入って掲載が始まる頃には大体描き終わっているというふうにする予定でした


 ところが、内容に難アリとの事で、その雑誌では掲載してもらえなくなってしまいました。言い訳がましいですが、理由は面白くないからではなくて、そこが
むしろ面白味な部分であるところがよろしくないとのご判断で、まあ誰もが読んで幸せになるというマンガでないので仕方がないところです。簡単に言えばゾン
ビのマンガで、ゾンビがうつって行くプロセスの設定に問題があったわけで、雑誌はどこも自主的に規制をしているところがあって、そこに触れてしまう恐れが
あるこのことでした。それが第3話までお渡しした時点で不可の判断をいただき、でも最後までネームをやるつもりだったので、取り合えずやることにしまし
た。


 2月の終わりから先週まで大体2ヶ月で18枚のネームを10本なので、そんなにだらだらしていたわけじゃないんですよ。自分では勝算があっての作業で、
それは経済的な意味での勝算ではなく、読んだ人は面白いと思ってくれるだろうという意味での勝算で、そうである以上、思いついたからには描きたいじゃない
ですか。そんなに問題があって非難されるようなものだったら、もしや青林工藝舎でもアウトなのだろうか、だったら最悪また自費出版だろうかなんて考えて暗
澹たる気持ちになったりもしましたが、最低限の努力はしようと東京の出版社に営業周りに行ってきました。


 でもなにしろ180枚もありますからね、きったない描き殴りみたいなネームが。そんなの鬱陶しいじゃないですか。ライターでマンガ原作も手がけて、大変お世話になっている大西祥平さんにご紹介いただいた青年誌の編集者さんに最初に見てもらいに行きました。


 新しい名刺は作って行ったのですが、自分の単行本を持っていくの忘れてしまい、気まずい思いをしました。それはさておき、出版社の来客用のロビーのテー
ブルで編集者さんは鬱陶しい180枚をすごい速さでバラバラと読み始めました。これは、やっぱり枚数が鬱陶しいから流して読んでいるに違いない……と実に
不安に気持ちになって座っているだけなのに汗がダクダク出て動揺を悟られたら嫌だなーと余計なことばかり考えてました。


 読み終わった編集者さんは、ロビーのテーブルは応接用で低いので、そのうつむいた姿勢のままこっちに顔を向けて、猪木のファイティングポーズのような鋭
い目線ですよ、にやりと笑い「面白いですね」。おおっ!更にかーっと熱くなって汗が出た。「最後まで一気に読んでしまいました。やりたいですね」との天に
も昇るような嬉しい言葉を、本当に一番欲しい言葉をおっしゃって下さって、これってね、ここネームに入る前も入れたら何ヶ月も取り組んでいた仕事を肯定し
ていただけたってことなんですよ!


 でも、前の雑誌でも問題になった箇所があるのは事実なので、編集長に見てもらってから正式な返事をいただくことになりました。翌日の連絡では、月曜日に
会議があるのでそれに掛けることになったとのことでした。大事になっているのか? 編集者さんは「それだけ破壊力があるってことですよフフフ」と不敵な笑
みを浮かべているようでした。


 持ち込みしたのが先週の木曜日で会議が月曜日。月曜日に連絡をいただくと、会議での結果は賛否両論真っ二つで否定派の人は「えらい物を読んでしまった」
と相当気分を害してしまったようでした。まだ読んでない人が二人いて、編集部全員で読んで決めるとのことでした。そして水曜日「やることが決まりました」
と正式決定の連絡をいただきました。

 編集者さんから2〜3お話があるとの事で、丸っきり救いのないラストのままで終わりではなく、その後の残された家族のエピソードを入れたらどうかという事と、全体的に淡々としているで、もうちょっとメリハリを付けたらどうかという事でした。メリハリは大西さんにも言っていただいたことで、今回は自分なりに骨太のエンターテイメントを目指しているので、こちらとしてもなんとか工夫してみたいと思いました。



 今回見ていただいた編集さんは、偉そうに言わせていただくと「実に話せるタイプ」の人で、作業を進める上で非常に的確な指摘を現時点で既にいただいております。例えばネームの中で「ゾンビ」は差別用語として扱っていて、ニュースなどの場面で正式に使われる用語は「アンデッド」という風にしているのですが、編集者さんはそこは言われるまで分らなかったそうで、「だったらそこはもうちょっと分り易くしましょう」とアドバイスしてくださるわけですよ。こっちとしてもネームを描く作業はその時点でのベストの選択で導き出した結果で、それは限界でもあって、編集者さんには更にいい作品になるよう力を貸していただきたい!

 こうしてマンガが採用になるのは実に嬉しいことでそれは本当に間違いないのですが、更に嬉しいのはマンガをよりよくしてくれる編集者さんにお世話していただけることで、こんなのはもう本当にありがたいことこの上ありません!

 マンガのタイトルは『ライフ・イズ・デッド』で、田舎を舞台にしたゾンビマンガです。掲載は早ければ8月からだそうで、正式に決まったら雑誌名や掲載時期は追ってお知らせいたします! お楽しみに!!