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古泉智浩の『オレは童貞じゃねえ!!』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

自主映画作りませんか?

 にいがた映画塾という市民団体が運営する映像実践講座を毎年受講しています。今年で4年目で、今まではお客さん気分で受講していたのですが、今年は運営委員会にも顔を出して、希望や意見をあれこれ口を出しています。なので、「古泉のせいで今年は散々だった」などと言われないように、これからもわいわい言ってより講座が充実し、受講する人が素晴らしい作品を製作し、講座を終えた後も作品を作ってゆくゆくは作家として名を残すような人を輩出する方向で努めて行こうと思っております。それに先立って、受講生が集まらないと運営に支障を来たすので、新潟に御住まいで、自主映画作ってみたいなーなんて考えている人、ぜひご参加下さい!

にいがた映画塾ホームページ

 5月の末より毎週日曜日の昼間に開講して、7月の末に受講生による卒業制作が行われます。完成した作品は11月にシネウィンドで行われるインディーズ映画祭で上映されるというのが例年の流れです。荒戸源次郎監督や佐藤佐吉監督など、毎年プロの作家さんをお呼びしての講義もありますよ! 受講料は2万円くらいだと思います。

 例年、講座の最後は卒業制作となり班に分かれて短編映画を製作する。監督を希望する人は企画を提出してその企画に他の受講生と運営スタッフの投票が行われ、賛同者を勝ち得た人の作品が製作される。そうして4〜5人ずつの班に分かれて講座で学んだ演出、撮影や録音技術を実践的に学ぶ。これまでは割と引いた位置からこれまで3年間黙々と参加して来たのだが、あまり良くないところやこうした方がいいなと気付いたところなどを、運営委員会で聞いてもらった。

 去年は録音を担当して撮影に携わったのだが、録音って本当にしんどい仕事で、実につらかった。日当で2万もらいたい気分だった。録音も撮影も役者も製作も、全員監督の兵隊であり、監督の希望を実現するために集っていると思うのだが、しかしその監督は「卒業制作だから」みたいな感じで、みんなと同じ一受講生、作品はみんなのもの、という姿勢で臨んでいたので実に気分が悪かった。監督は自分が作りたい作品のために、他人をタダ働きさせていることを理解してほしいと思った。

 しかし、これは監督ばかりが悪いわけではなく、そんな事は講座の最中、誰も教えていないし、映画塾全体に頭を下げれば無償で手伝ってもらえて当然というような雰囲気が蔓延しているので仕方のないところでもあった。また、下働きであってもそれはそれで不満を抱かない人もたくさんいるようであった。スタッフは手弁当で馳せ参じるのが自主映画というものだが、しかしやっぱりそこは重く受け止めてもらいたい。

 さらに、撮影現場では古参の運営スタッフが演出や撮影方法にわーわー口を挟んで監督をさっぱり尊重してないところもあった。いくらタダで他人を使うと言っても、作品は監督のものでありそのために他の受講生は働いているので、監督は監督として尊重されるべきだと感じた。助言はもちろんあってしかるべきだが、もうちょっと引いて「こうしろ」ではなく「監督、こうしたらどうですか?」くらいの言い方が良いのではないだろうか。監督は他人をタダ働きさせる以上命がけで作品を立派なものに仕上げるのが仕事であり、その重責を感じて欲しいものだ。日当で返せない分「ああ、こんな素晴らしい作品に携われてよかったなー」と思わせて頂きたい。



 新潟にはロケネットという機関があって、新潟を映画のロケ地として誘致しようという団体で、そこにお願いするとロケ先をこれまたタダで紹介していただける(オレはマンガの背景資料の撮影場所でお世話になっている)。他にも映画塾ではカメラやマイクなど機材を貸してもらえ、役者を準備してくれてと非常に至れり尽くせりの体制で卒業制作をすることができる。お陰で年々作品のクオリティが上がって来ていて実にけっこうなことである。しかし、初めて撮る作品がそんなに充実した運営体制で行われることは果たしていいことなのだろうか。オレが参加した去年の作品は中学校を借りて、地方アイドルをキャスティングしていた。それは実に楽しいことだけど、ポケモンでも最初はボロい釣竿でセコいモンスターを捕まえるわけで、最初から充実していたせいで、卒業制作の後、自分で好きに作ろうとして卒業制作で監督した人はみんな苦労しているように見える。最低限、自力でカメラを用意するくらいの苦労があった方がいいのではなかろうか。デジタルビデオカメラも10年以上の歴史があって、中古で古いのなら1万円くらいで買えるので、作家の魂とも言える撮影機材はなんとか自分で調達した方がいいよね。最初から素晴らしい作品が作れたら素晴らしいけど、それよりも身の丈に合った撮影体制でドラマを充実させるやり方を身につけた方がいいと思う。企画やシナリオなど、お金や人手のいらないところで頑張るのが自主映画の本分で、またそこでの勝負は規模の大小を問わないところだ。

 初めて作品を作る人に協力することで、運営スタッフもテンションが上がって頑張ってしまうのは別に悪い事ではないのだが、講座が終わっても作品を作り続けられるような配慮もしていただきたい。それは、雑草的な育み方が実践的であると思う。新潟は車で15分も走れば海や川原や山など、普段誰も来ないような場所がすぐあって、自主映画を作るには大変いい環境で、そんな場所で自分の仲間と智恵と工夫で面白い作品を作れるように導いてあげて頂きたいのです。

 しかし、なんだかんだ言ってもにいがた映画塾は非営利団体で、運営スタッフはみんなボランティアでやっている! 本当に素晴らしい人たちです。そんな団体の講座にオレは毎年の恒例行事のように参加しているのは取りも直さず、ありとあらゆる意味で面白いからであります。