古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

物欲を抱かせられてしまう悪魔の魅力 アップル製品

 ランニングが規定の回数を超えたので、今後も継続することを想定し、ipod nanoを買っちゃいました。

 走るときしか使わないし、落としたりぶつけて壊すだろうから、安い1Gにした。アップル製品は見栄えだけが良くて、何かと壊れたり調子悪くなるのが常であると初期型imacで懲りているので、このくらいが妥当であると判断した。

Imgp0656 アマゾンで届いたダンボールを明けると、いきなり箱がかっこいい。高級ブランド品みたい……オレは物欲を捨てた男なので、こんなことで気持ちが揺れ動くなどあってはならないことなのだ。物は使ってなんぼで、使い倒してこそ元が取れて、ボロボロになるまで使われることが物本来の使命というものではないか。なので、大事にきれいに使おうなんて気持ちはさらさらない。物は持つことを喜ぶのではなく使って何かすることが重要であり、デザインなんて気にしないというかむしろクソ食らえという気持ちでいる。

Imgp0657 箱を開けるとふたつ折の中箱が出てきて、真ん中にipod本体が入っていた。かっこいいしかわいいし、おしゃれ……なにこの、こみ上げる嬉しい気持ちは……男にかっこやおしゃれなんて必要ない!そしてオレは男だ!といくら自分に言い聞かせてみても、でも買ってよかった、こんな素敵な機械が持てて嬉しいという胸の高鳴りにはたまらないものがあるのであった。前面に貼られた保護シートをはがすのも抵抗がある。そう思いながらいじくっていると背面は一瞬にして指紋だらけになった。これでは保護ケースが欲しくなる気持ちも実によく分かる。
Imgp0659
 思い切って保護シートをはがして滅茶苦茶いじってやると、ボタンの操作には慣れが必要なようで、どこをどうやればどうなるのかさっぱり分らなくて、説明書をじっくり見た。説明書やCD、ケーブル類が入っている袋など何から何までおしゃれになっていて、保存用にもう一台欲しい!となっても不思議じゃない。

 パソコンでituneを立ち上げて、接続するとこれまで見たことがなかったボタンが出現した。アップルのHPで曲の転送のやりかたを見てプレイリストを自動的に転送する方式を選択したのだが、全然入って行かず、結局手動でやった。

 ituneに入っている、ハローの名曲をランニング向けに選んでプレイリスト「ハローで走ろう!」を作成する。改めてあややのアルバム曲は名曲ぞろいで選びながら、『ナビの壊れた王子様』や『笑顔に涙』聴きながら早く走りたくなった。走り終わって『そう言えば』を聴きながらストレッチしたいなーと思った。

 仕事が終わっていつものコースを走ってみたところ、音が抜群にいいので魂消た。これまで使っていたボイスレコーダーで100円のヘッドホンであややの『奇跡の香りダンス』を聴くと、声が低くてミキティが歌っているように聴こえたもであった。それに走りながら腕を振る度に右の音が途切れていた。この80メガしか入らないボイスレコーダーも買った時はそいなりの値段がしたのだったがすっかり時代が変わってしまった。

 走って帰ってくると、それまであったフェティッシュとも言えるような所有する快感は減少して、割と普通になった。こいつは、見かけは確かに可愛らしいけど、音楽をたっぷり詰め込んで鳴らしてくれる物であり、それ以上のものではない。後は故障さえしてくれなければそれでいいのだ。オレは可愛らしい道具を持って走る男になりたいわけではなく、気持ちのいい音楽を聴きながら走りたいだけで、いい道具を持ったからと言って浮かれるようなちゃんちゃらおかしい人間になりたくないの! 物に使われるような気持ちは本当に御免なので、これでいいのだ。背面の指紋も気にならないよ。