古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

『ゾンビの森』贅沢に撮影しました

 先週の3連休の土日を使って『ゾンビの森』、撮影しました。

 今回はにいがた映画塾第11期の卒業制作作品として撮りました。これまでにいがた映画塾は第8期から参加していたのですが、卒業制作で撮影する事は避けておりました。それは、自分に作品の所有権がなさそうだったからで、なぜ今回卒業制作で作ったのかと言うと、自分の作った映像作品は価値がさっぱりない事がよく分かったからです。

 素人が出品できる自主映画のコンテストに出品して、それで賞金でも一丁稼いでやろうと思っていたのですが、これが全く通用しません。それだけ映像の表現を舐めてもいたし、自惚れてもいたのです。価値のないものに対して所有権を気にしていた気恥ずかしさと言ったらないですし、もっと謙虚な気持ちで挑まなければならないとも思いました。

 これまでは役者とオレのみと言ってもいいような現場で撮影して来ました。しかし今回は卒業制作なので、少人数で短期間で撮影できるM壁さんと合同の班になり、初日にM壁さんの作品を撮影し終えてから、初日の夕方以降、オレのに取り掛かるという体制で行いました。受講生5名、映画塾スタッフ6名(延べ)、外部の人2名という贅沢な人員配置でした。

 この撮影期間で、もし実際に賃金を払っていたらどれだけのコストが掛かったか検証してみたいと思います。作品を皆様にご覧頂くわけでもなく、どの程度のものかご想像いただくより仕方がないので恐縮ですが、どうぞお付き合い下さい。

・初日 
万代市民会館(約30分)
 T尾さん:出演 2千円
 E島さん:撮影補助 
オレの自宅(3時間)
 E島さん:出演 3千円
 K林さん:出演 3千円
 T中さん:出演 2千円
 M田さん:出演 2千円
 H刈さん:出演 2千円

  この日はちょろっとした撮影だったので、M壁さんの撮影が短いながらもハードだったので、M壁さんのが済んだら一旦解散し、受講生からはT尾さんだけに付き合ってもらい、撮影スタッフはオレだけでした。オレの自宅での撮影は集合時間がばらばらだったので、そこでの待ち時間が掛かってしまいました。各々の撮影時間は15分〜30分、出番は大体1〜2分でした。
 人件費の計算は、あくまで素人の出演や労働なので、拘束時間と出番の多さを比較検討して適当に決めております。くれぐれも実際に支払ったお金ではないですよ!

・二日目
会津八一記念館近くの林(約3時間)
 E島さん:出演 5千円

 K林さん:出演 5千円

 T中さん:出演 3千円
 US美さん:出演 2千円
 Y上さん:出演 2千円
 Y部さん:出演 2千円
 M壁さん:第2カメラ担当 5千円
 A部さん:メイク 3万円
 Y田さん:撮影補助 2千円

 M田さん:撮影補助 2千円

みなとトンネル近くの駐車スペース(1時間)
 E島さん:出演 2千円

 K林さん:出演 2千円
 Y上さん:撮影補助 千円
 A部さん:撮影補助 千円

 当日雨が降っていたので撮影補助の人はカメラに傘を差していただいたり、小道具の水を汲んで来ていただいたりとつまらない仕事ばかりをさせてしまいました。メイクのA部さんはハリウッド仕込みの技術で、専門学校の講師もされているプロなので、こんなケチな値段では申し訳ないくらいなのですが、映画塾スタッフでもあり、そこに甘えた料金です。実際は材料費だけお支払いしました。林での撮影はE島さんとK林さん以外は撮影時間は15分くらい、出番は大体1〜2分です。でもメイクで30分くらい掛かっています。

 ざっと合計してみると7万2千円! 自腹で払えなくもないかな! しかし、撮影はこれだけでなく集合時間からロケ地への移動時間、車を出してもらった人のガソリン代などは全然含まれておりません。台本の読み合わせの時間も賃金に含まれてはいません。それも入れると大体10万円くらいでしょうか。

 にいがた映画塾の受講料が2万円で、26名の参加者のうち卒業制作をした人が8名、そのうちの一人がオレ。M壁さんの撮影への協力もしてそれを差し引いてもこれだけの人件費がタダ!やっぱりオレは今回もらいすぎな気がします。

 今回こうして、卒業制作で自分のを制作しようと思ったのは、昨年の参加作品で録音を担当したことが大きく影響しています。あまりに過酷なつまらなさの労働で、それが朝から夜まで2日間掛かりました。日当で2万円もらわないと合わないというのが実感でした。自分ならどの程度の事ができるのか、自分なら撮影を早く済ませて携わっている人の拘束時間と労力をどれだけ軽減できるのか、試してみたい気持ちが強くありました。

 大抵時給で契約してないと思いますが、撮影時間が倍になったら単純に倍で計算しないと申し訳ないので、やっぱり撮影は少人数、短時間をテーマにした方がよいとますます確信しました。自主映画は大抵の場合、手弁当で参加して無償の場合が多いですが、それは単純に人の手伝いが好きだったり、お互いの撮影の手伝いをする事が前提となっています。オレは人の撮影の手伝いが別に好きではないし、人の作品には面白い作品以外ではあまり協力したい気持ちになりません。なので、自主映画でこのようなケチな計算を持ち込む無粋さは、オレの心が貧しいからと言って間違いありません。