古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

2006映画秘宝ベスト10

 今年もお楽しみ、オレにとってはライフワークとも言える映画秘宝ベスト10号が発売となりました。昔から長者番付ランキングや出馬表などを見るのが本当に楽しくて、何時間でも見てられます。4〜5年前から映画秘宝のベスト&トホホランキングの選考者に加えていただき、それが楽しみで映画も見ています。

 毎年、自分との評価がランキングとかけ離れていて、寂しさに苛まれてしまうのですが、今年は順位が若干ちがうものの、ベスト3に上げた作品が一致して、9位も一緒でした。ベスト10中見た映画が7本もありました。

 オレのベスト10は本誌をご覧いただくとして、ここではせっかくなのでベスト11位から20位までを発表したいと思います。

11位 『弓』
12位 『ミュンヘン
13位 『犬神家の一族
14位 『デビルズリジェクト』
15位 『40歳の童貞男』『
16位 『スケバン刑事 コードネーム麻宮サキ』
17位 『カポーティ
18位 『父親たちの星条旗
19位 『クラッシュ』
20位 『スーパーマンリターンズ

 11位『弓』はキムギドク監督の韓流映画です。釣り船屋を経営しているおじいさんが、少女を船に囲っていて、16歳の誕生日になったらセックスしてやろうと心待ちしていると、若い男に妨害されたり大変な思いをする。そのおじいさんが勝手になんでもやればいいのに、自分に対して厳しい縛りを設けているあたり、やたらと童貞くさい!淡々としているのでけっこう退屈だったのですが、後から後から場面が思い出されて、それが何かとエロチックな映像で、ムラムラします。

 12位『ミュンヘン』はスピルバーグ監督作品で、アクション映画だと思って見に行ったら、後半ひどく文芸調のトーンになって、特にラストはひたすらだらだらして面白くなかった印象だったのですが、アクションを期待して行ったこっちが悪く、思い返すと胸に沁みる場面がたくさんあって、いい映画でした。そういう気持ちを踏まえてもう一度見たいです。

 13位『犬神家の一族』は、前のをすっかり完全に忘れていたので、全部の謎解きにびっくりしました。オレの推理が全部署長と同じでガッカリしました。本当によくできたミステリーで素晴らしかった。事件と人間模様を時系列で並べて検証してみたい。

 14位『デビルズリジェクト』はチャールズマンソン事件をマンソン側に立って描いたような映画だった。善人側がもっと感情移入できる感じだったら悲惨さが余計に増してよかったのではないでしょうか。背徳的な気分に浸りたいと思った時はとてもいいのではないでしょうか。

 15位『40歳の童貞男』。前半抜群に面白く腹がよじれるほど笑ったのだが、後半あんまり盛り上がらなくて残念だった。童貞だったのに子連れのバツ一女性と最後セックスしていたのはリアルですが、もっと夢を追いかけて欲しかったです。

 16位『スケバン刑事 コードネーム麻宮サキ』。期待してなかったせいか随分面白かった。あややちゃんは映画栄えするので、もっと出た方がいいのではないでしょうか。ストーリーは面白くないです。

 17位『カポーティ』。演技や美術など徹底した美意識の元で作られているのは驚異的だったけど、そんなに面白いとは思えなかった。

 18位『父親たちの星条旗』。アメリカも戦争で経済的に苦しかった事が分かって驚いた。戦争場面が少なくてがっかりした。

 19位『クラッシュ』。登場人物がみんな割とどうでもよかった。あの中にヘビイ級ボクサーとの対戦を控えた空手家などスパイスの効いた人がいたらよかったのではないでしょうか。実際のところ、随分前に見たのであんまり覚えてません。

 20位『スーパーマンリターンズ』。昔からスーパーマンはあんまり興味がなかったのですが、改めて続編を見るとスーパーマンがあまりにいい子ちゃんでイライラするのが原因だと分かりました。そのくせセックスしていた。悩んでいても金持ちがいくらか少しお金を失って悩んでいるようにしか見えません。麻薬におぼれて超能力で悪事を働くとかスーパーマンの心の闇をえぐるような話だったら見てみたいです。

 去年は本当に面白い映画がたくさんありました。今年もいろいろ見たいです。