古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

読み切り前後編『時をかける男』

 オレがどれほど大林監督を敬愛しているのか、それはもう大変なものなのであります。『転校生』こそ、初めて見たのはテレビでしたが、『時をかける少女』『さびしんぼう』は直撃で高校生の時見ました。ついでに『愛情物語』や『天国に一番近い島』『野ゆき山ゆき海辺ゆき』(鷲尾いさ子のおっぱい!)や『異人たちとの夏』など大体見てました。DVDでも買ってます。それで、一昨年『転校生』のパロディでマンガを描いたりもしたわけです。

 去年、原田知世主演の大傑作映画『時をかける少女』がアニメ映画となって劇場公開されました。ところが、これがなんたることかと、どこをどう解釈したらこうなるのかと、非常に残念なできとなっておりました。天真爛漫と言えば聞こえがいいけど、何かこう雑な女が主役で、それに惚れている男もイケメン風、なんですかこれはと本当に腹を立てたわけです。これを見たという童貞男に、どう思うんだと問いかけたところ「最高に面白かった。また見たい」と大絶賛してるんで、ずっこけました。君にとって敵のテリトリーの映画だぞと思うのですが、なんら気にしていないようでした。おかしいよ。そうは言っても筒井康隆さんの原作小説が元なので、大林監督版と食い違っても問題は別にないんですけどね。

 オレにとっての『時をかける少女』は童貞と処女がムズムズする話じゃないといけないんです。アニメの平気で今にも「昨日俺たち何発やったかな」と語りだしそうな雰囲気は冒涜ですらあると思います。

 というわけで、今週発売の『漫画アクション』で『時をかける男』というマンガが掲載となっております。形としてはシコシコしているとタイムスリップしてしまうというむしろこっちの方がよっぽど冒涜なのではないかと思われてしまいそうですが、心ある読者の皆さんにはきっとお分かりいただけるはず。今号は前後編の前編が載ってます。この号は復刊3周年記念という記念すべき号で、そんな誉れ高い号に載せていただけて光栄の極みであります。