古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

オレの自主映画の作法

 去年も書いたのですが今年も自主映画を作りたいので、気分も新たに自主映画作りについて気になるポイントを書いてみようと思います。

 例年ちょっとずつ機材を買い足していると、どんどん充実して来て、ほぼ必要なものは揃ってます。そんな状況では贅沢に他ならないのですが、これを試してみたい気持ちの高まりに抗っております。

・ステディカム
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 移動撮影で、歩行による振動がカメラに伝わらないようにする機械です。これを使うとまるでレールを敷いて台車で移動しているかのようなきれいに流れるような撮影ができるのです。安いお店でも15万近くの値段で、高い。定率減税廃止で住民税が重税となってのしかかっておりそんな余裕はありません。そもそもカメラより高い。最初に買ったカメラが11万くらいでした。その後どんどん値崩れして3万5千円で同じ機種を他にも所有してます。そうは言ってもステディカムで15万は格安で、この製品が出る以前に買おうとしたら大体100万円以上していたわけなので、こんな破格の製品が出ているのがそもそもすごい事ではあるのです。このリンクにある動画を見ると、効果が絶大なわけですよ。撮影が楽しそう!

 でも、何を撮るかにもよるので特に今年は、軍手を加工して作った人形劇のプランもあり、それだと全く必要ないんですよね。人形だと何がいいかと言うと、普通の撮影では不可能なアクションやエロ、ありえない舞台など映像のせこさを気にしなければシナリオ上の制約がほぼなくなるのではないかと言う事です。自主映画ではJACに依頼するわけにはいかないので、危険なスタントなどはやっていいですけど、全員素人ですからね、怪我人や死人が出たら相当困ります。人形劇とは言っても操り人形やアニメのようなややこしい動かし方はしないですよ。撮影は二日が原則なので、黒い手袋をして手で動かす予定です。そこそこ見栄えのする人形を作らないといけないので、そこが問題です。本当は売り物のぬいぐるみなどでいいのですが、何かハリウッドなどで評価された場合、権利関係で問題が出るとまずいですよね。ぬいぐるみが面倒だったら、割り箸の先にぺらぺらの紙を切り抜いた人の写真みたいなのでもいいかな。

 例年、編集で細かなカットをつなぐやり方を多用していて、そうすると音声がちぐはぐになったり、自然さや空気感みたいなのがあまりいい具合に出ない事が分かり、今年はドラマを撮るならカットの長いのをやってみたいです。長年の活動の成果で、演技の上手な知り合いもぼつぼつ増えてきているので、じっくりとした芝居を演出して長めのカットで撮影してみたいです。今までは基本的に素人の芝居だったので、原則として素人の人に無理な注文はご法度であるというのも学びました。できる範囲を把握して、その中で気持ちよくやってもらった方がいいです。演技の上手な人だとステディカムを使った移動しながらの撮影などもやってみたくなりますね。『トゥモローワールド』みたいにやってみたい。

 去年は『ゾンビの森』という13分の短編を作ったのですが、その音楽を大学の時の後輩の小林賢輔さんに作っていただきました。すごくいい音楽を作ってもらえて大満足なのですが、でもやっぱり音楽も自分で作りたいです。自分でやるのが楽しいんですよね。部分部分で作ってもらえばよかったのかな。

古泉のお薦め自主映画作法10ヶ条
・現場に行く前に最低一日、演技ややりとりの練習日を設ける。
・絶対必要な場面から撮影を行う。
・機材や必要物資は自力で調達する。
・素人に演技をしてもらう場合、多くを求めない。カンペ見ながらもありである。
・現場人員は最低人数。なるべく日当を払う。人が多いと払えない。
・リハーサルからカメラを回し、問題がなければそれでOKとする。
・絵コンテはしない。絵コンテをすると現場でその絵を作りたくなって時間の無駄。字コンテで充分。
・ホワイトバランスは気にしない。フォーカスもオートを使う。
・ガンマイクはギリギリまで近づけない。向けておくだけで充分。
・見せ場でもない場面はなるべくこだわらない。早く撮影する事にこだわる。

 こんな事をつらつら考えているより、何を撮るのかを考えないといけないんですよね。そうは言っても、そこらの知り合いのうちか、オレのうちか、知り合いのお店か、道か海か田んぼか、撮影できる場所も限られているので、そういった制約の中でどうにかやらないといけないんですよね。そこが面白いところでもあるわけですが。