古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

人形ロマンポルノ『夜のしずく』撮影

 今年も自主映画を製作しておりました。以前からやってみたかった、人形劇でのロマンポルノです。先週の週末で撮影して、これから編集してアフレコして音楽を作って完成という流れになります。

 先月あたりからちょろちょろと人形をぬいぐるみで作ってました。シナリオも書き始めて、何度も直そうかと思っていたのですが、全くそんな暇もなく、ほぼ初稿で撮影に入ってしまいました。人形劇なら撮影が簡単だろうから楽してやろうと思っていたのですが、小道具から背景までほぼ全て手製で用意しなければならず、かつてなく煩雑で滅茶苦茶大変でした。もうこりごりです。

 撮影は一日で済ます予定でしたが、背景や小道具の準備が間に合わず、二日に渡ってしまったのですが、三人の人に手伝ってもらって、初日が午後1時から夜中の12時まで途中休憩1時間、二日目は午後3時から夜9時までと、背景の絵をダンボールに貼り付ける作業も入れてですので、撮影そのものの時間ではなかったにしろ、これまでで一番時間を費やす作品となりました。

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 初日は背景の描き割りをダンボールに貼って、それを箱で支えにして固定するという方式でやってみました。まず、背景が人形に比べて非常に小さいと言う想定外の不具合が発生しました。A4の紙にパソコンで彩色した絵をカラーコピーでA3に拡大したのですが、全然足りてませんでした。それによって、撮影は極めて画角に制限がつきました。背景の小ささには目をつぶるという方針を採用しました。

 人形は糸や棒で操る方式も検討したのですが操作が難しく、上手にやるためには相当な熟練が必要であったので、黒い手袋で手で直に動かす事にしました。それによって、画面の下の方に黒い大蛇が常に横たわっているような映像になってしまった部分が相当あります。また、邪悪な黒い物体が人形に襲い掛かっているようにも見えます。まいった。

 二日目に入ると、撮影していた部屋に小さな衝立があるのに気づき、それにダンボールを固定してそこに背景を貼り付けるというやり方にしたところ、背景がパタパタ倒れるという問題がかなり解消され、また背景をちょっと高く固定して、下に台を置いて床を備えると黒い手袋の手が随分目立たなくなりました。撮影っていつもそうなんですが、だんだん上手になって行って後から後悔するんですよね。

撮影で改善するとしたら
・人形を操作しやすいセットをもっとよく考えて工夫する。
・手袋は白の方がよかったかもしれない。
・背景は手書きではしんどいので、写真を撮って、大判のコピーを印刷屋さんにしてもらう。
・照明やホワイトバランスの設定があまりにバラバラだったので気をつける。

 今年もにいがた映画塾第12期の卒業制作として撮影しました。井上さん、中川さん、大山さん、永島さん、大変お世話になりました。どうもありがとうございました。今回の準備の手間の煩雑さを考えると、日程ががっちり固定されている卒業制作じゃなかったらいつまでも終わらなかったかもしれません。

 シナリオをアップしておきますので、よかったら御覧になってください。感想お待ちしております。テキストファイルで1行20字に合わせていただくと読みやすいです。
「scenario.txt」をダウンロード