古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

亀田対内藤戦

 亀田一家がここまで嫌われるのは、本人たちのお行儀の悪さがもちろんですが、TBSの試合中継にも大いに問題があったので、そこはちょっと可愛そうだなと思ってました。ちょっと前のTBSの格闘技中継は、全然別の試合を映しているのに「この後、魔裟斗登場」という文字がずっと下に出ていたりしてイライラしました。そんなひどい中継のピークが亀田対ランダエタだったと思います。ずっと煽りっぱなしで試合が全然始まらなくてみんなすごく怒ってました。オレは試合結果を知った上で、後から録画したのを見たのでそこは全然気になりませんでした。そこから一気に亀田バッシングの流れになって、TBSの中継も随分改善されたようで、K-1MAXもHERO'Sも見やすくなりましたね。

 関係ないですけどHERO'Sは試合の頭に挿入されるビル群の上を戦闘ヘリが飛んでいく映像があんまりかっこよくない割りにテンポも悪いので、そこは改善した方がいいと思います。先日のフジテレビのK-1GPのメジャー感は、選手だけではないですよ。紀香がそんなにいいとは思わないですが、井上和香ちゃんはちょっと厳しいです。

 なので、今回の中継は随分すっきりしていてよかったんじゃないでしょうか。今回は結果を知らないまま録画したのを、だるい煽りの部分やCMはびゅんびゅん飛ばして見ました。

 内藤選手はいじめられっこだったというだけあって、もちろんヤンキーが大っ嫌いなんでしょうね。ヤンキーにいじめられてちんこを見られたりしていたそうで、そんな人がボクシングで強くなって世界チャンピオンになってヤンキーをやっつける! 『はじめの一歩』じゃないですか。オレもヤンキーが大っ嫌いなので、今回の試合は熱かったです。

 負けたら切腹とまで言った亀田大毅選手は、切腹が気になったのかがっちりガードを固めてじわじわとプレッシャーをかけるという、ディフェンシブかつスタミナ温存の戦法で晩年のジョージフォアマンみたいでした。フォアマンはこんなに腰を折ってなかったですが。亀田選手は頭をぐっと下げるもんだから、内藤選手は打てる場所がなくて苦労してました。すぐに組み付かれてしまうし、手数で負ける分ポイントはどんどん失うし、作戦としては失敗じゃないでしょうか。オレは内藤選手を応援していたので、強烈なフックが内藤選手の顔面を揺らす度にすごくハラハラしました。そのうちきれいに叩かれて負けるんじゃないかと心配でした。

 最終ラウンドは激しい打ち合いもあったのですが、亀田選手が組んでは倒すという反則で3ポイントも失い、おかしな事になってました。殴らないと勝てないのにね。でも、世界チャンピオンに最終ラウンドまで渡り合ったのだから大したものじゃないでしょうか。がっちり固めたガードのお陰で顔も勝者のようにきれいでした。

 亀田兄弟はボクサーに不向きなしゃくれ顎なので、ぐっと顎を引いてガードを固めるのは正しい戦法だと思います。でもあまりに手数が少なかったですし、背中を倒しすぎで首をフロントチョークのような状態で組まれ易いですし、攻撃の幅も狭いんじゃないでしょうか。ノーダメージで倒そうという作戦だったんでしょうね。亀田家だけに亀作戦ですね。

 顔面の両まぶたが3箇所も切れた内藤選手が勝者としてアナウンスを受けている間に、大毅選手は挨拶もなしで引き上げてしまいました。ちょっとダメですね。切腹は?って言われるとまずいと思ったんですね。せっかく実力があるんだから、試合終わったらノーサイドで讃えあって欲しいところですが、ヤンキーへの恨みが忘れられない内藤選手も、全然弱かったって言ってました。そこも面白くてよかったです。