古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

『不都合な真実』に不都合な真実

 以前に読んだ『環境問題はなぜウソがまかりとおるのか』の続編が出たので早速読んでみました。それに合わせて映画『不都合な真実』も見ました。

 映画『不都合な真実』は環境問題への警告と同時にアルゴア元大統領候補の伝記的な映画で、編集のテンポが気持ちよく、映像も面白かったです。とにかく地球が大変な事になっているとこのままじゃいけないという気分になりました。その反面、まだしっかり環境対策を頑張れば大丈夫という希望も持てる内容でした。それに、アルゴアさん偉い!って気分になります。

 ところが、その環境問題への対策としてエコロジー政策が提唱されてますが、それに対して冷や水をぶっ掛けるのが『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』です。前回を踏襲しつつ補足的な内容みたいですが、オレは前回の内容をあまり覚えていないので今回もまた衝撃を受ける内容でした。前作は友達に上げてしまいました。

 本の内容をざっと要約するとこんな感じです。適当にまとめているので、詳しくは本をお読みください。

京都議定書は他の国は環境の事なんか全く考えていなくて、日本だけが頑張ってCO2削減しないといけない取り決めになっている。日本はお人よしにも程があり、バカみたい。

・レジ袋は余って使い道のない石油の成分を使っているので、環境に悪いわけではなく、むしろ指定ゴミ袋を生産する方が石油の無駄遣い。

・リサイクルがきちんと成立する物質はアルミニウムだけ。他のリサイクルはあまり効果的でないどころかむしろ石油を無駄にする。

ダイオキシンは毒じゃない。ペットボトルを燃やすのは灯油を燃やすのとあまり変わらない。

・温暖化の影響について政府の発表は、研究機関の一番最悪な可能性のシナリオを元にしている。

バイオエタノールは食糧危機を招く。石油危機以上に人類に悪い効果を及ぼす。

 内容の真偽の確かさに疑問が投げかけられてますし、オレには理解できてない部分もありますが、作者の武田先生の文章と考え方がとても面白いです。盲目的にエコだ環境だと騒いでいる人よりよっぽど環境について考えてます。それに、これが事実だとして、こんな事を知ってしまった以上現状の環境政策を鵜呑みにしているのも間違いじゃないですか。厄介な事になりましたよ。本当に環境を考えたら、今のリサイクル業者の皆さんには廃業してもらわないといけないみたいです。気の毒じゃないですか。オレが住んでる亀田もぼちぼち指定ゴミ袋でゴミ出しをしないといけなくなります。分別も細かくなります。でも、オレはもっと前からでっかいゴミ袋を買って使ってましたけどね。

 前からコンビニのゴミ箱の分類が「燃えるゴミ」「ペットボトル」「カンビン」しかない事に憤ってました。ビニールや弁当の容器はどこに捨てたらいいのか分からないじゃないですか。仕方ないので釈然としないまま「ペットボトル」のところに捨ててました。前の本を読んでから安心して「燃えるゴミ」に捨てられるようになりました。むしろペットボトルも「燃えるゴミ」に捨てた方がいいはずです。

 だからと言ってどうすればいいんでしょうかね。代換案もない一方的な批判や否定はずるいじゃないですか。武田先生はだんだん人口を減らして、石油がなくなったら大人しく暮らす以外ないというようなネガティブな未来をイメージしてます。それも仕方がないかもしれませんがオレは人間発電所がいいと思います。