古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

新潟文化


 『新潟文化』という新潟日報社が発行している新潟の文化グラフ誌にインタビュー記事で取り上げていただきました。偶然にもこれから一緒に自主映画を作ろうとしている吉原悠博さんの記事も掲載されていてびっくりしました。新潟日報の与口さんに取材していただき、たいへん良いように書いていただき全く恐縮です。本文中に新潟は好きでも嫌いでもなく自分で選んだわけでもなく運命に従って居住していると答えていたのですが、こうして良い具合に取り上げていただくなんて、新潟に住んでいないとあり得ない事です。そんなひねくれた発言していたらバチが当たると思いました。

 以前から、田舎では東京で評価されないと鼻も引っ掛けられない、自称マンガ家扱いされて終わりというようなひねた感覚がありました。そこは本当のところどうか分からないですが、これからは少しでも新潟の皆さんに好いてもらえるようにがんばろうと思いました。どうすればいいのかはこれから考えます。

 新潟に住んでから東京についてより考えるようになりました。実際、東京がなかったらオレの商売は成立しないです。マンガの出版社は大体全部東京ですもんね。

 でも新潟に住んでいなかったら、きっと多分毎晩お酒を飲んで、運動も多分していないので相当太って、バイクで大怪我したかもしれないし、セックスは今より不自由してないかもしれないですが、その反面ややこしい問題を抱えたりして、マンガはもうちょっと商売熱心でうまく行っていたかもしれないです。貯金は全然なかったでしょうし、友達づきあいは充実していてバンドは熱心にやっていたかもしれないですが、空手も自主映画もしていなくて腰痛で悩んでいると思います。パソコンはボロくて調子の悪いのをしつこく何年も大事に使っていたと思います。モニターは液晶じゃないやつでしょうね。スカパーも加入せず、地デジも見れていないと思いますが、ラジオは朝から浴びるように目一杯聴いているでしょうね。マンガの内容は全然ちがっていて、全部手描きだったと思います。どっちがいいとは一概には言えないですが、今みたいに気の抜けたような生活はできていないと思います。特にいい事もさっぱりないですが、ストレスもほとんどないです。

 東京でいい気分で生活しようと思うと、欲を持たないか、欲に見合うだけの所得がないと厳しいと思います。20代の10年間、東京に住みましたが風呂なしのアパートで暮らすという方針を採用していました。なるべく自炊もしていました。お陰で年に2回外国に旅行するくらいのゆとりがありました。月収はせいぜい20万くらいでした。時折、新薬開発の治験というアルバイトしていました。今思うとちょっと無謀でした。マンガは所得として当てにならなかったです。ケチケチ暮らしていましたが、お陰で物欲を削る事ができました。かつかつの生活も、でも楽しかったです。もう年を取ったので今からそれをやりたいかと言えばちょっと遠慮したいです。経済に困窮して犯罪に手を染める事なく東京生活を終える事ができてよかったです。でもうまくしたらアイドルと恋愛していたかもしれない。その可能性は否定できません。そしてアイドルが彼女という事で相当思い上がっていたかもしれず、テレビでくりぃむしちゅーなんかと戯れる姿を見ながら夕べのセックスを思い出して格別なオナニーをしているかもしれませんな。

 新潟での生活も10年目ですが、10年前とは比較にならないくらい便利になっていると思います。ネットの充実化が凄まじい勢いで進んでいますもんね。BS-Jでテレ東の番組が見れますし、テレビの興味が薄らいで来たのも大きいです。レンタルDVDなどは東京よりむしろ新潟の方が充実しているし、安くて便利だと思います。誰もいないジムで一人でトレーニングする気持ちよさったらないです。新潟には来ない映画や中継されない格闘技イベント、他にも面白そうなサブカルイベントなどなど東京にはいろいろあって非常に刺激的ですし、友達や知り合いも未だに新潟より多くいますし、何より仕事でも、東京在住だったらずっといろいろできているかもしれないですが、でもやっぱりコンクリートとアスファルトで塗り固められた街はしんどいです。西新宿に住んでいた時は毎日歌舞伎町を散歩していましたが、今は地平線まで広がる田んぼや空の広さを見ながら車をだらだら走らせながら音楽聴くのが本当に気持ちがいいです。ガソリンが高くなったとは言え、東京で家賃を払うのに比べると圧倒的に金が掛からないです。

 関係ないですが今日ストーカーを見ました。町の蔦屋で立ち読みしていたら隣の女子高生を巨大な男がすごくジロジロ見ていました。二人の間に割り込む形で雑誌の棚からアップトゥボーイを手にとってパラパラめくっていたら男がオレをちょっとにらみました。男は190センチくらいの身長でがっちりしていました。戦ったら勝てるだろうかと想像しました。女の子が雑誌を棚に戻して店から出ようと、ドアの辺りまで行ったところで男が足早に出口に向かいました。オレもその後をつけようかと思いましたが、アップトゥボーイDTMマガジンを買いたかったのでやめました。やっぱり行けばよかったかな。