古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

『情熱大陸』自作派料理人

 7月20日放送のTBS『情熱大陸』を御覧になりましたか? オレは毎週録画して興味があるのだけ見て、あんまり興味が沸かないのはざっと早送りして消したり、全く見ずに消したりしてます。ちゃんと見れば大抵面白いのですが、面白いのを追及していくと切りがないのでどこかで区切りをつける意味でこういう行いをしています。間違ってますか。

 それはさておき、今回も料理人という事であんまり興味ないなと、しかも冒頭ででっかいフェンダーの一人乗りのレースカーみたいなおしゃれな車を乗り回しているじゃないですか、ああこれはもうしゃら臭いぞと思いました。どれだけしゃら臭いか見てやるかとちょっと意地悪な方向で興味を引かれてついつい見入ってしまいました。

 その料理人の笹森通彰さんは、青森でイタリアンレストランを開業していらっしゃり、そこで提供される食材の多くを所有している畑で栽培したり、飼っている鶏の卵を使ったり、牛乳からチーズを作ったりしていました。なんと自作派料理人でした。番組中に蜂蜜の自作にまで興味を抱き、巣箱を自作し始めていました。しゃら臭かったのは冒頭だけでした。本当に申し訳ない。

 この窮屈な世の中で本当に希望を感じられるのは自作だけ、なんて言うと極端で矛盾だらけになるのでそこまでは言わないですが、自作いいじゃないですか。ガソリンや電気も自作できたらどんなにいいかと思います。電気は風力や太陽光で自作が一般化しつつあるのでいずれオレもやってみたいです。ガソリンですよ。中東からバケツリレーみたいなやり方で何十年もよくやってますよね。他に方法はないんですか。あったらとっくにやってますか。とにかく、そんなシステムに我々は翻弄されっぱなしじゃないですか。ちょっと中東の国々のご機嫌を損ねたら途端にオイルショックですよ。投機マネーによる原油相場の高騰にも黙って従う以外にないです。

 そんな常に首根っこを押さえられたり、足元を見られるような状況は居心地があんまりよくないじゃないですか。どうにかしたくないですか。オレは常にそんな事ばっかり考えてます。だから、笹森通彰さんの姿勢は本当に素晴らしいです。

 その昔、オレもimac使ってましたよ。半透明のかわいらしいやつです。23万円くらいしましたよ。ところがこれがすぐ調子悪くなって何かというとやたらと固まるし、挙句に修理に出したらHDD全部消されて、それで直ったかと思ったらスピーカーから音が出ないし、また固まるしで、本当にろくでもなかったです。今のmacは素晴らしいと聞きますので絶対にそんな事ないでしょうけど、オレはもうこりごりです。当時は、勝手に中を開けていじろうものなら保障は一切効かなくなり、修理代で多額の料金を請求されるというので、本当に拝み倒してなんとか動いて下さいと念じるより仕方がなかったです。中の機械なんて絶対にアンタッチャブルでした。

 それがウィンドウズで自作し始めたら、なんと気楽か。こんなに気軽に中身をいじっていいんですか。パソコンの自作なんて、自作とは言えないような、部品を買って来て組み合わせるだけなので、プラモデルより自作感が乏しいくらいのものですが、それでも起動できないとなったらHDDを買って来て交換してOSを入れ直してみたら、ちゃんと起動しましたなんて事になったら、元もHDDをデータ用にしてまた使ったりとかして、自分で原因を探ったり対処したりできて、えらく気分がいいです。全く足元を見られてない、自由を勝ち取ってやったような気分です。マザーが調子悪かったら、HDDを新しいパソコンでまた使ったりもできます。データはそのまま生きてます。修理に出したら全部消されるなんて、どんなサービスだよと思います。

 話は随分逸れましたが、笹森通彰さんはご自宅が実家の離れの本当に汚い、全くおしゃれ感0の家で、そこも非常に好感度大でした。なぜ車だけあんなにしゃら臭いのだ? もしやあれも自作なのか? オレはおいしい食べ物なんて本当に興味がなく、実に申し訳ないですが、笹森通彰さんの自作食材によるイタリアンは是非とも一度口にしてみたいなーと同じく自作派のオレは思いました。