古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

なんか面白い事したいなー

 まだ公表していいのか分からないので伏せさせていただきますが、とある週刊誌の増刊号で、マンガ家さんと討論というわけでもないですが、あれこれ語り合うという企画に出席して来ました。それが、すごい面白かったんですよ。顔見知りのマンガ家さんだったのですが、普段、用もなければそんなにしつこく語ったり問い詰めたりしないじゃないですか。何かで同席しても遠慮があって、お互い踏み込むような事をしないです。自分からそんなに、実はこうで、なんて話し始めるのも変じゃないですか。なので、作品を通して人柄をうかがうような関係ですよね。手探り感たっぷりです。

 今回の企画はシモネタたっぷりの企画で、普段お互いそんな会話も何かきっかけがなければしないわけですが、そんな企画だったお陰で本当に面白かったんですよ。やっぱり普段話さなくても、オレ以外はみんなとてつもなく売れてるマンガ家さんばかりなので、その引き出しの奥行きたるや相当なものでした。来月の19日発売の雑誌だそうなので、期日が近づいたらきちんとお話できると思います。もう言いたい気持ちが、この喉を超えてベロの付け根の辺りまで出掛かってますもんね。

 そのマンガ家の皆さんも、ちょっと思い返すとこの3〜4年くらい前まではオレの方が本を何冊か出していて、出世していたような気がするのですが、今や一瞬にして抜かれてしまい、しんがりをひーひー言いながら、追いつけてもいないような状況です。勝手なマンガ描いているので仕方がないですが、原因はそればかりでなく、絵柄の問題や、明らかな才能の違いや、どう考えても太刀打ちできる気がしない! いいんですよ、都落ちした人間ですし、頑張り屋でもないですし、楽しく暮らせればそれでいいなんてね。ところが別にそんなに楽しくもないのが問題で、幸い嫌な事を我慢してしなくていいというのはあるのですが、楽しいのが何かどうも分からなくなっているんですよね。

 そもそも楽しいのがそんなに好きなのではないという、非常につまらない人間なのではないかと、それは何かというと素直じゃないのが根本的な原因だと思うわけです。だから、ジャイアンツとかミッキーマウスとかが無条件に嫌いなんですよ。祭りや花火も嫌いなんですよ。オリンピックよりグルジアの戦争の方が胸躍るところがあります。素直に、ジャイアンツの勝利やミッキーにテンションを上げて、祭りや花火に笑顔で出向くような人格だったら、きっと人生が楽しいに違いないと思います。楽しそうな人を羨ましがっているくせに、実際は楽しい事なんて苦手で、本当は求めてもいないんだと思います。みんなでわいわいやるのを楽しめたら、きっと楽しいよね。なんでも良し悪しですけどね、孤独に苛まれつつも孤独に安息するようなややこしい面があります。本当に残念人間です。親も悲しんでいると思います。

 素直な喜ばしい感情で面白いマンガを描くには、相当驚異的な才能が必要だと思います。音楽って、そうじゃないですか。ライブでミュージシャンが楽しく歌ったり演奏したりする事が、そのまま一直線にお客さんの喜びに繋がりますよね。いいなー、なんだよそりゃあ。オレには無理だ。オレが描く「人生って楽しい、素晴らしい」なんてマンガ絶対につまんないに決まってます。ひねくれた感覚でならそこそこのものが描けると思うし、これまで商売して来ましたが、そっちは難しいですよね。

 マンガ、『ワイルド・ナイツ』ですが、これは好きに描いて掲載してもらえて本にもしてもらえるみたいなんですよ。本当にありがたい!! オレとしては精一杯面白くするつもり描いてますが、題材からしてあんな内容なので、さっぱり売れないと思います。なので、今回は大きな借りを頂戴したと、本当にご迷惑お掛けしたと思って、次は絶対に面白くて人気出そうなの描かせていただこうと思います! 

 仕事はさておき、一般的な楽しい事はどうにも興味が沸かないし、ゲームもはまれば面白いですが、何しろセンスがいるじゃないですか、ゲーマーなんて割りとオレに近いエリアの人だと思うのですが、その人たちが面白いって言っているのに対応できないと本当に寂しい気分になりますよ。ゲームって大抵難しいじゃないですか。何か自主映画作るとか、自費出版するとか、オレなりにテンションが上がって面白いことしたいんですよ。先日の三本さんとのイベントや、今回の雑誌企画の対談的なのとか、本当に面白かったんですよね。何かそういう面白いのか、セックスがしたいなーと思いました。