読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

古泉智浩の『オレは童貞じゃねえ!!』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

初期PRIDEを見た

スポーツ

 次回の『野暮な話』はぜひ花くまゆうさくさんでお願いしたいなと、はて、どういう切り口でやれば面白いかなとあれこれ考えて、格闘マンガとしての花くま作品というのはどうだろうかと思いつきました。あんまり語られていないんじゃないでしょうか。花くまさんと言えば柔術家としても有名で、『東京ゾンビ』などでも柔術家が活躍するマンガがあり、総合格闘技の歴史と花くまさんの格闘技遍歴と格闘マンガを横断(縦断?)するような形でやらせていただけたら面白いかと思い、だったらまずはこれだと『リングの汁』を読みました。この本は『紙のプロレス』などいろいろな雑誌やパンフレットに掲載された格闘コラムと4コママンガ集です。96年くらいから00年までと、総合格闘技の歴史がどんどん刷新されていく時期です。読んでいるうちに高田延彦がどんどん嫌いになりました。当時は未整理な分ストレスも大きくあったのですが、それが解消されるカタルシスもさぞ膨大だったのだろうと思われました。そんな時代の息吹も宿っていてすごく面白かったです。

 この時期オレは全く格闘技に関心がありませんでした。K-1もほとんど見ていませんでした。何をやっていたんでしょうね。マンガも全然うまくいってなくて、仲間とフリーペーパー作っていた時期ですね。あと麻雀したりポケモンしてました。あーあ。

 元々はオレもプロレスファンでしたよ。小林まこと先生の『1・2の三四郎』がすごく好きで、そこで度々猪木やプロレス技が出てくるうちにプロレスを見始めて、少しするとタイガーマスクブームがありました。オレはタイガーを応援するのがちょっと嫌だったのでダイナマイトキッドを応援していました。上京して友達に、テレ東で放送された第1次UWFを見せてもらってすごくビックリしました。大学で初めて油絵描いたのはブロディでした。週刊プロレスがどうしても嫌いで週刊ゴングを読んでました。今にして思うとゴングでは変態的に語る事がほとんどなくて、大失敗でした。UWFインターを友達の長田さんとよく見に行ってました。インターと親日の対抗戦で高田と武藤が戦ったあたりでぷっつり見るのを止めました。その前からあんまり見なくなって来ていて、きっかけがあったわけではなく、なんとなくでした。

 新潟に戻ってFMの『ラジオ黄金時代』で浅草キッドが、小川が、桜庭が、高田がと毎週それはそれは熱く語っていて、すごく興味をそそられて、ちょうどその時期、古町のジャブローという洋服屋さんを紹介していただいて、親しくすると飲み屋でPRIDEの中継が見られるとの事でした。ちょうど2000年のPRIDE GPが終わった直後でした。桜庭とホイスグレイシーの試合はレンタルビデオで見ました。2002年からはスカパーにも加入して自宅でPPVを見るようになり、現在に至ります。紙プロもそのくらいから読んでます。

 なので、オレは高田は別に大好きなレスラーではないのですが、なんとなくプロレスラーでいち早くヒクソングレイシーに挑戦した、勇気のある男、時代の扉を開いた男という印象だったのですが、花くまさんの『リングの汁』では高田なんて最低のいんちき野郎だと、全く何の実績もないのにヒクソンと試合するな、桜庭に譲れと散々な描かれようでした。ずっと読んでいると全くその通りだと思うようになり、高田の事が大嫌いになって来ました。また、オレが見ていなかった初期のPRIDEも見たくなって、レンタルして見ました。

 今よりルールなどが未整理で、膠着場面が多く、あんまり興味のない試合はどんどん早送りで98年から00年のGPまでほぼ一気に仕事もロクにせずに見ました。すごく面白かったです。高田には田村の試合で堂々と潔くKO負けをしたイメージだったのですが、嫌いな目線で見るといやらしい試合振りにすごくイライラしました。それと同時に2回目にヒクソンとやった試合ではヒクソンが別に楽勝しているわけではなく、逆にヒクソンが案外弱いのでは?なんであんなど素人の高田を楽に仕留められないのか?そういえば船木との試合で眼窩底骨折するし……と無敗の王者として?な部分が気になりました。ヒクソン戦以外でPRIDEの高田の試合は八百長疑惑を聞いた事があります。注意してみると、高田が試合中にあんまりパウンドされないんですよね。高田はマークコールマンとマークケアーと戦ってますが、他のプロレスラーなんてみんな顔面が血だるまですよ大抵、ところが高田は勝っても負けてもきれいな顔のまま試合を終えてます。怪しい。高田に当時そんなパウンドを封じる技術があったとは思えないです。

 ホイラーと佐野の試合で、ホイラーは佐野の顔面を下からボコボコにするのですが、上の佐野は全くホイラーを殴りませんでした。体重差30キロもあって殴るのを卑怯だと思ってそうしたのか、裏ルールがあったのか、ちょっと解せません。なんでオレがこんな事を気にするかと言うと、ミスター高橋本を読むまでプロレスが完全に芝居だったとは夢にも思わなかったお目出度い男だったからです。

 花くまさんご指摘のように桜庭の元気な時期の試合は本当にファンタジックで、試合中にプランを組み立てているかのようなクリエイティブな感じがありました。面白かったです。最近はいつも調子が悪そうで心配で心配で勝つと安心するというあまりよくない循環ができています。

 高田も総合をするなら弱い人から順番に試合していけばまだ応援したくもなるのに、トップクラスの選手としか試合せず、疑念の沸く内容だったりもするのですが、いやらしい感じの振る舞いやポーズもやっぱり華があって、試合面白いんですよね。ホイス戦で襟を15分掴み続けたのは面白くなかったですが。プロレスラーの試合は、小川直也とかアレクサンダー大塚とか、もちろん桜庭も、みんな華がありました。純然たる競技者とは違う何かあると思いました。お金が取れるって事なんでしょうか。

 高田戦でのホイスグレイシーは精悍な顔つきで色気があってかっこよかったです。ところが、桜庭戦ではちょっと頭が薄くなって、険が出た陰惨は顔つきになっていました。ホイラーが桜庭に負けた事によるプレッシャーが尋常じゃなかったせいではないでしょうか。その後、吉田秀彦と戦う時にはすっかりヒールが板についてしまっておりました。

 マークケアーが見事な素晴らしい肉体で全盛期を強さを誇ってました。ちょっと前にドーピングの副作用でガタガタになっているのを何かで見たのを思うと、本当に切なくなります。試合もバックステージもすごく紳士的でナイスガイでした。

 00年のGPはマークコールマンがボブチャンチンを倒して優勝して幕を閉じます。でも、あんな激しい試合を一日3試合なんてクレイジー過ぎる! 今もGPの決勝は一日2試合しますが、よくないと思います。選手生命を短くします。次回決勝戦で充分わくわくした気分で過ごせるし、コンディションが整った状態での試合が見たいですよ。リザーバーが出て優勝なんてのも、面白いですが、でもやっぱりちょっと違うと思います。ぜひそこは見直していただきたい。マークコールマンは優勝で歓喜のあまり場外を暴れ回りました。よかったねと思うのですが、厳しい現実はGP優勝者にも容赦なく、その後は勝ったり負けたりトップ戦線から離脱して行くのをオレは見ています。準優勝のボブチャンチンもその後、調子が下がって登場しなくなっていくと、まるでボブチャンチンをバージョンアップしたかのような似た体形と近い出身地のヒョードルが現れて現在はトップに君臨しています。身を削りに削って栄光を勝ち取った男達がその栄光に逆に食いつぶされるような感じすらあります。なんてことでしょうね。美しすぎてため息が出ます。

 今週はいよいよ『戦極4』ですし、wowowで『UFC is back』も放送が始まってますし、たまらないですね。花くまさんとのイベントはもっと勉強しないと話しにならないです。