古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

自主規制やめようよ

 先日ニュースを見ていたら、NHKが裁判で負けたそうで、なんでも風車についてのニュースを放送する際に、その風車を所有している会社に掲げてあった写真をニュースで使用したら、その写真を撮影した人に訴えられて、NHKが負けたという事でした。風車の会社の許諾は得たけど、写真家の許諾は得なかった事が問題だったそうです。事情は何かあるんでしょうけど、ひっかかるものがあるんですよね。写真家の人も、人の風車を撮影して自分の作品としているわけじゃないですか。写真家の意見を全く無視していいかと言うとそれも問題かもしれないですが、だったら自分で風車も作って撮影するのが一番すっきりじゃないかとまで思います。こういう判決が出るとまた、権利意識や自主規制の流れが大きくなってどんどん窮屈になるんですよね。

 最近ニュースでも、朝たくさんの会社員が通勤している風景すら顔が映らないような配慮がなされてます。何か問題あったんですか。でもそんな話は聴かないので多分、問題になる前に自主規制しているんだと思います。怒られてからでいいじゃないかと思うんですよ。なんかつまんなくないですか。ネットのせいですかね。なんかあればすぐネットに上げられてワイワイ言われて、ブログが炎上したりするから、そういうことですか。

 また、ビーチバレーで浅尾美和が超望遠レンズで遠くから撮影されていたら、それが問題だったみたいで撮影している人が怒られたか逮捕されたかしてました。海水浴場で、水着の女を撮影していたキモデブ男が逮捕されたか何かで捕まっていました。だったら、色っぽいかっこでうろつくなとも思うわけですよ。アラブの女性のように全身を布切れでまとって歩いたらいいじゃないですか。そりゃ、目の前に色っぽい女が歩いていたら犯罪的に見つめるし、カメラを持っていたら撮りたいよ。そんな様子をテレビカメラでは撮影されて、また水着の女達の姿は放送されているわけです。どうなんですか。それを録画してがんがんオナニーするのは問題じゃないこの矛盾。浅尾美和を録画してオナニーしても問題ないんですよ。オレはしないですが、実はあんまり興味がないので。

 ちょっと前にスラムダンクが少女マンガでトレースされて、井上雄彦先生は何にも言ってないのに、トレースしたマンガが廃刊になったりしましたよね。井上先生が何かいったんなら仕方ないけど、ちょっとネットで騒ぎになっただけじゃないですか。もう〜。80年代の『投稿写真』をまとめてヤフオクで買って見てますが、いろいろと滅茶苦茶です。ささやかなアングラカルチャーが何かしたって、そんな特に問題じゃなかったから平気でやってたんでしょうけど、いいじゃないですか。今だって問題じゃないのに大問題扱いが多すぎてませんか。パクりパクられ楽しくやっていったらいいじゃないですか。

 世の中に溢れるありとあらゆる作品は、著作権が厳密に守られる事で利益が発生するものと、そうでないものがあると思います。作品なんて人々にかえりみてもらわないとどんどん埋没して何の価値もなくなりますよ。オレのマンガなんて本当にどうしようもないですよ。マンガなんて読んでもらってこそじゃないですか。大ヒット作品なら、人気が金を生む状態になるので、権利的なもので大儲けできますが、多くの初刷りで終わりの出版物なんて本当にどうにもならないです。人気のないミュージシャンのマイナーなアルバム曲なんかもそうじゃないですか。その中でも優れた作品だってあるわけですよ。そういうのyoutubeなどで人に聞いてもらったらCDが売れたりダウンロードで売れたりするかもしてないです。自主映画などでタダで使わせてくれてもいいと思いませんか。

 人気作品もマイナー作品も区別なく一元で管理されている状況です。そこは柔軟に何か対応する工夫してもいいと思います。どうですか著作権管理団体の皆さん。この硬直ぶりも政権交代すると状況は変わるのでしょうか。中国人が海賊版DVDやマンガ出版をするのが問題ですが、結局大人気作品しか海賊版にならないわけです。それとオレのマンガが同じような管理の状況にあるのはちょっとおかしいです。売れてもないのに管理だけあってもどうしようもないよ。もちろんオレも何か大ヒットしたら、がっちり管理してもらいますけどね。