古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

にいがた映画塾講座・実習コース募集中です

 誰からも求められていないと言われている僕の自主映画活動ですが、実際何の結果も出ていないので反論の余地もないところで、でもいいじゃないですか趣味ってそういうもんでしょう! そんな自主映画活動ですが、この度にいがた映画塾の講座の運営をする事になりました。それというのも6年も初心者講座を受講していていい加減にしろと別に誰も言ってないですが、講座の運営方針にあれこれ希望を出すのですが、あんまり通らず、人様が仕切ってやってくれているだけで感謝しないといけないので、それはそれでいいのですが、だったら自分でやってみたらいいじゃないかとそれが一番すっきりするだろうと誰に言われるわけでもなく自分でそう思いました。

 それで、こういう感じでやったらいいのではという方式を、プレ講座という形で先月試してみたところ、けっこう良かったんですよ。大きく出るとするなら、もしかしたらこれを追及して行けば、面白い作品を連発とまではいかないまでもそこそこの水準の作品を安定的に制作するシステムが構築されるのではないかとすら錯覚しかねないほど良かったんですよ。それも、でもプレ講座にご参加くださった人の才能が素晴らしかったせいというのはあるので、実際講座が始まったらどうなるのか、それも楽しみです。

にいがた映画塾講座・初心者コース
日程:1月11日(日)13時〜19時
      18日(日)
      25日(日)
     2月1日(日)
      15日(日)
     3月1日(日)
会場:にいがた映画塾事務所
定員:10名
受講料:8千円(映画塾会費3千円を含みます)
申し込み締め切り:12月20日
お申し込み、お問い合わせ:UGK39188@nifty.com(古泉まで)

 詳細はオレがこのブログ以上に気合を入れて更新している実習コースブログを御覧いただけたらと思います。

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 先日、新潟が誇る自主映画の祭典・にいがたインディーズムービーフェスティバルで大量に自主映画を見てきました。この上映イベントは申し込みがあった作品を無審査で全て上映すると言う実に野放しなイベントです。そんな野放し感が遺憾なく発揮されて、本当に大変過酷な上映会でした。見てよかったと思える作品は、3本くらいでしたかね、すでに記憶があやふやになりつつあるのですが、以前から自主映画に抱いていた残念な面は今回もきっちり確認されました。

 一体なぜ自主映画は残念な作品が多いのか。これはもう本当にオレは以前からずっと追及している問題で、単に才能がないとか、不向きな人が作っているとかそれだけで割り切っていい問題ではなく、自主映画そのものが構造的に抱えている問題なのではないかとうっすら考えています。にいがた映画塾は素人の集まりですが、映像の専門学校なんていう、一流の講師に教わって24時間映画の事を考えているはずのその学校の学生さんですら、残念な作品の度合いはあんまり変わらなかったです。自主映画に限らず、ありとあらゆる創作ジャンルで製作される作品は、ピンキリで本当にいいものは一握りというのも事実であると思います。しかし、映画は創作ジャンルの中でもちょっと特殊な感じがするんですよね。

 小説や音楽や絵画、マンガなど個人で製作するものは、個人の内面から出てくるテーマや問題を作品化しますよね。ところが、映画は個人の作品もあれば、原作を映画化する場合もあり、監督と脚本家が別のケースが非常に多いという集団製作システムが大半です。映画は集団で作るのに向いている創作ジャンルであると言ってもいいと思います。そこは強みであると思うのですが、うまく機能していないせいで残念な作品が量産され続けているような感じがします。

 実習コースでは企画のディスカッション、撮影、合評会で1セットとして製作します。企画のディスカッションは一つの企画に対して他の受講生は、もし自分の作品だったらこうしたらいいのではないかと意見を述べ合います。そこで出されたアイディアを企画者は持ち帰って、本人のセンスでチョイスして構成してシナリオを書きます。撮影はお互い協力し合って行います。撮影された素材を編集し、合評会で上映します。上映作品に対して、受講者はこうした方がよりよいのでは、もし自分の作品だったらこうするという意見を述べます。その意見を元に追加撮影するなり、編集しなおすなりして、作品を完成させます。また、今回は仕方がなかった面は、反省材料として次回の撮影に活かすといいと思います。最初から大傑作なんてできる方がどうかしているわけで、試行錯誤の連続から工夫したり身につけて行けばいいわけじゃないですか。人の作品に意見を言うのもまた他の人が言った意見に対してあれこれ考えを巡らすのもいろいろな発見があると思います。

 そんな講座にしたいのです。大きい事を言うと、こんなすぐに3月には結果が出てしまうので大恥をかくハメになるかもしれないですが、講座は講座なので作品的に失敗しても何がダメだったのか検証をしっかりして学べればいいと思うのです。

 とにかく、自主映画のガッカリなのは、非常に空疎な作品が多い事です。10のサイズの作品を描こうとして内容が2か3しかないような変な間延びした作品が非常に多いです。才能溢れる人は無で何かを表現する事もできるでしょうし、そんな傾向の作品が重要な場合もあると思いますが、あんまり才能に恵まれていない人の場合はとても残念な事になります。一人では2か3しか思いつかなくてもディスカッションして20や30のアイディアから、自分のセンスに合う素材をチョイスするという方式だったら、充実した作品が作られる確率が高まると思います。作文だって、だらだら書くより、200字の作文を400字書いて削って200字にした方がしっかりしたものになるじゃないですか。そんな感じです。映画監督は自分のセンスでチョイスして決断するのが仕事なので、ディスカッション方式は食い合わせがとてもいいと思います。実習コースは自主映画の精神に基づき、ほったらかしはしても強制は一切しない方針です。

 真冬の厳しい時期ですが、雪を溶かす勢いで取り組みたいと思います! とは言え気軽に申し込んでいただいて全然OKです。