古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

山形新聞10日の夕刊

 山形の皆さん、10日の山形新聞の夕刊に記事を載せていただくことになりました。内容は先日の阿部和重さんとのトークイベントで発表した阿部指数による阿部作品研究です。1600字で書いたのですが描き始めるとすぐに字数が尽きて、このブログのようにだらだらした挨拶なんて入れていたら何にも書きたい事書けないですね。でも新聞の紙面になった構成を見せていただいたら、けっこうな面積なんですよ。なので、丁寧語はやめて「である」調にしてちょっとでも内容が詰まるようにしました。できれば、阿部指数表も掲載していただきたいところでした。大してさっぱり話題にもできなかった佐渡ニッポニアニッポン』取材までやって挑んだ阿部さんとのトークイベントが、このような形になってとても嬉しく思います。山形新聞の鈴木さま、本当にありがとうございます。

 そういうわけなので、山形の皆様どうぞよろしくお願いいたします!

 ここからはそれとは関係なく、2月3月に見た映画です。モンスターハンターと阿部さんの本を読んでいてさっぱり見ていませんでした。

 

○2月3月に見た映画
『コベナント』(★★★)
シャイン・ア・ライト』(★★★)
『チェ38歳分かれの手紙』(★★★)
『フライドドラゴンフィッシュ』(★★)
『007カジノロワイヤル』(★★★★)
『エクスクロス』(★★)
『007慰めの報酬』(★★★)
レクイエム・フォー・ドリーム』(★★★)
チェンジリング』(★★★)
『血と骨』(★★★)
ピンクフラミンゴ』(★★★★)
『キャリー』(★★★★)
ワルキューレ』(★★★)

 『007』なんて子供だましのさっぱり面白くない映画という印象だったので『慰めの報酬』スルーでいいやと思っていたのですが、友達に『007カジノロワイヤル』はすごいと言われて、気が進まないながら見たらあまりの面白さに魂消ました。全く申し訳ありません。ストーリーも面白いですし、全裸で椅子の下をくりぬいてコブを作った荒縄で球を打つ拷問!そんなすごい場面もいいのですが、何より007の色気が凄まじいです。金づかいが荒くて女にもなんてことなくそういう関係になるのも、全部そのうち仕事で死ぬから後の事などどうでもいいという投げやりな風情が大変色っぽいです。
 それで勢いづいて『慰めの報酬』を劇場に見に行きました。超高級車マセラッティを惜しげもなくぶつけまくって廃車にする冒頭は大変わくわくしたのですが、ボンドガールは日焼けで背中の皮がむけているし、アクションは『ボーン・アルティメイタム』のようなカットがすばやくて迫力はあるけどよく分からないタイプのオレが苦手なやつでした。ボンドの色気も今ひとつでお話もあまり面白くなかったです。そんなに悪いわけではないのですが、普通のアクション映画でした。

 大学で美術研究会に入ったら、同級生の加室くんがパンクを愛好する男で、オレにあれこれ教えてくれました。それが根本敬さんのマンガであったりスターリンであったり、ガロであったりそんなこんながあまりに過激でオレには刺激が強すぎて苦手でした。大島弓子さんが好きだったので、無理って思いました。そんな加室くんが大推薦する中の一本が『ピンクフラミンゴ』で、ディバインの顔がもう怖いじゃないですか、ケツの穴で歌を歌う場面や、ディバインが犬の糞を食べるという話だけでもう、怖くて怖くてオレは絶対に見たくないと思いました。
 その後、ジョン・ウォータース監督の映画は『クライベイビー』や『セシルBシネマウォーズ』など見て、親しんでいたのですが『ピンクフラミンゴ』だけは見る機会がなかったです。そんなこんなで20年越しにDVDの初回版を買って見た『ピンクフラミンゴ』は、確かに犬の糞を食べる場面は本気でゲロが出そうになりますが、一本筋の通った素晴らしい映画でした。
 当時、フィルムですよ撮影は、それでこんな映画を一本撮ろうとしたら何百万円かそれ以上掛かるわけです。そんな状況でありながら、下らないバカな事をクソミソに徹底的にフィルムに焼き付けてやろういうとてつもない意思を感じます。中でもディバイン一家に敵対する夫婦の家に行って、ソファーやテーブルなどを舐めまくるという本当に気ちがいみたいな場面は異様なグルーヴ感が最高です。
 オレも自主映画を作って7年目になるんですが、どんどんその辺で楽に作れるものばかりを指向するようになっていて、これではいかんと思いました。もうちょっと何かに挑戦する姿勢を持たないとダメだと思いました。

 『ワルキューレ』はすごい緊張感でとても面白かったのですが、ネットで評判をチェックすると「底が浅い」などという評価を目にして、そう言われると確かにそうかなという気分にもなります。でも面白かったです。