古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

林静一さんと対談した

 次号のアックスが山田花子さんの特集で、山田花子さんについて林静一さんと対談させていただきました。オレは山田さんと年が一つ違いで、当時マンガを描き始めたばかりという非常に意欲満々な時期に、山田さんが飛び降り自殺をされてとてもショックを受けたわけです。山田さんはすでに大活躍されていたのに、バイトを断られていたというのにも驚きました。自分と同世代で活躍してるマンガ家なんて嫉妬以外の何の対象でもなかったのです。

 本を出したりしてもバイトしないといけないなんて、しかも自殺なんてと自分の気持ちのやり場に困惑しました。山田さんのマンガは絵がとても個性的で、内容もオリジナリティあふれていて、そのスタイルを確立している感じもうらやましくて仕方がなかったです。実際、今回の対談に当たって読み返してみたら、当時はまるっきり山田さんのマンガを理解していなかった事に気づいて愕然としました。すごい作品でした。あまりに鋭すぎて、共感しようとする読者に対しても切りつけるようなところもありました。そして誰よりも自分自身を切り刻むような表現だったと思いました。地獄ですよ。

 山田さんのマンガを読むと簡単に、もう嫌だとか、苦しいとか、死にたいなんて言葉を口にするのが恥ずかしくなります。変に前向きな気分になりました。

 林静一さんは山田さんの絵を大変に高く評価されていました。僕は絵に対してとてもセンスがないので、そこまですごいものだったのかと改めて驚きました。そんな林さんの素晴らしいお話はぜひとも来月末発売のアックスをお楽しみに!

 林さんは10年前に死んだオレの父と同級生でいらっしゃって、「お父さん!」と呼びたい衝動に駆られました。wowowでご覧になった映画のお話をしてくださって、それがとても面白そうに語ってくださって、すごく見たいと思ったのですが、肝心のタイトルをお忘れになっていて、同席した一同がみなとてもやきもきした気持になりました。1本は洋画で、不倫の相手と隣人のおばあさんを殺した証券マンが、逮捕もされないのだけど、不倫相手とおばあさんの霊が現われて文句を言われるという話で、もう一本も洋画でスケボーをたしなむ不良少年が夜電車に飛び乗る遊びに興じていたら、乗務員をスケボーで突いて落とすと、反対車線に電車がやってきて、胴体真っ二つで死んでしまいとても怖くなるという映画でした。すごく気になるんですけど!

 また、以前伊集院光さんの『深夜の馬鹿力』で、小梅ちゃんの姉で、完熟マンゴー味キャンディのパッケージのキャラクターである小マンちゃんの設定を考えようというコーナーがあったんですよと話すととても嬉しそうに聞いてくださっていました。もっと早く林さんに伝えていれば、もしかして『深夜の馬鹿力』とロッテのタイアップで小マンが商品化されていたかもしれないと思いました。