古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

『スペースバンパイア』を見た

 林静一さんの真似をしてWOWOWで映画を見る事にしたんですが、するとまあタダなもんで、オレはUFCを見るために加入したのでタダみたいなもんなんです、これまで気に掛かっていたけどわざわざレンタルしてまで見る気もないような映画や、前に見てたいそう面白かった映画も見る事になってしまい大変なんです。忙しくてブログなんて更新している暇がない(堀道広さんの真似)!

 それで『スペースバンパイア』を見ました。こんなしょっちゅうテレビで、それこそ毎年夏になるとやっているような映画なのですが、オレはこれまで見ていませんでした。これには理由があります。多分公開当時高校生だったと思うんですが、熱心に映画館に通っていて予告を見たんです。宇宙で全裸の美女の宇宙人に遭遇して地球に連れてきたらなんとバンパイアだったとそんな内容で、いくら子供だからってバカにすんじゃねえ!と思いました。

 こんな下らなそうな映画を認めてしまったらそれまで熱狂していた『エイリアン』や『ターミネーター』や『ロボコップ』『ヒドゥン』といった格調高いSFアクション映画に泥を塗ることになるではないかと思ったんです。宇宙人がなんで地球人とおんなじ姿で美女でしかも全裸なんだよ!ふざけるな!!と思ったわけです。高校生ですからね、ちょっとでも背伸びがしたい男子が、しかも童貞だからって足元を見られているような感じもありました。それで劇場公開もパスして、度々テレビで放映されるのも苦々しい気分でCMを横目で見ていました。

 今回WOWOWで放送すると言うなら、いつまでも見もせずにイライラしていても仕方がないというか、今更なんとも思っていないですが、もう童貞じゃないんで、HDDに録画していたのを見てみました。すると……あれ?なんか本格的だぞ、す、すごい……滅茶苦茶気合の入った大作SFアクション映画じゃないですか!

 そもそも『スペースバンパイア』なんていうバカっぽいタイトルが全く合っていないんですよ原題が『LifeForce』というもので、生命力という意味です。渋い。テーマ音楽もよく耳にする、それこそ生命力を喚起させるようなかっこいいものでした。

 クライマックスではロンドン中がゾンビであふれ返り、町中いたるところで爆発や火災が起こり、大聖堂が破壊されスケールの大きい表現に圧倒されます。

 その全裸美女というのも本来姿など、どうでもいいのであって宇宙人に都合のいい容姿を地球人の記憶からトレースしたものであるというSFっぽくてかっこいい設定でした。そのため、 おい!それ美女じゃないぞ、おじさんだぞ!美女に見えているかもしれないけど、おじさんとキスしているぞ!!なんて突っ込みを入れたくなる場面までも真剣に演じて作りこんであって、ゲラゲラ笑いました。

 そうは言っても気になっていたんですよ。『悪魔のいけにえ』『ポルターガイスト』のトビー・フーパー監督作品です。、まったく愚かでした。高校のときに劇場で見るべきであったことを後悔するとともに、それ以上に今の今まで見てこなかったことを恥じ入ります。