古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

『天皇論』を読んだ

 小林よしのりさんの『天皇論』を読みました。漠然としか知らなかった天皇についてあれこれ知ってとても驚きました。40歳になるまで日本人として生きてきてまるで何も知らなかった、しかもそれをマンガで知るとはなんともお恥ずかしい限りです。これまで『戦争論』などでも大東亜戦争についてまったく知らなかった事ばかりで、ほんとうにぼんやり生きていて申し訳なかったなあと痛感したわけですが、今回もそうでした。

 なんでもそうですが、まず基本的に知らないとなんにも判断できないじゃないですか。肯定するにしても否定するにしても、知らないで聞いたふうな事をいうほど恥ずかしいことってないですよね。だいたいいつもオレがまさにそうなんですけどね。

 「エンペラーヒロヒト」と英語で言われるので、エンペラーなのかなと思っていたら、外国の王様みたいなのとはまったく立場が違うとのことです。外国の王様は戦争で勝つとその土地に君臨して人民を支配する存在で、ところが天皇は人民を支配するどころか、人々のために祈りをささげる存在であるとのことでした。なので意味がまったく違うんです。皇帝とか王とか天皇とかみんな意味が違うんですよ。でもその違いの説明があったような気がするんですが忘れました。

 他にもいろいろびっくりする事実がありました。

・天皇への崇拝が強制的だったのは戦中のほんの数年
・天皇の行事のたいへんな厳粛さ
聖徳太子のしたたかな外交ぶり
・左翼がよってたかって天皇の価値を下げようと頑張っている

 勤労感謝の日は元々は新嘗祭という天皇の行事の祝日だったんだそうです。オレは祭日が本当に嫌いで、休もうと思えば勝手に休める商売なので、むしろ平日みたいな日程で急にアピタの食堂やガストが混雑していると、なんだよ今日は祭日かよとイライラしてました。でも、それが天皇の大事な行事で、国民も一緒に安息にした方がいいと言われるんであればなんとなくそんな気分になります。なんだ勤労感謝って、オレはその日も仕事だっつの。

 あんまり関係ないですが、日本に軍備をなくせと主張する皆さんがいます。オレはそれは大反対なんですよ。ちょっと外国に行けば分かると思うんですけど、日本ほどしっかりした国はないですよ。そんな感覚で、外国も日本も分かり合えるなんて思っていたら大間違いです。そんなに何カ国も行ったわけでないですが、たとえば香港なんて雑居ビルの店舗には冷房が効いていて涼しいんだけど、廊下に室外機があるもんだから廊下が外よりも暑くて仕方がないなんてことになってました。自分の店だけ涼しければいいんですよ。台湾は、日本の10倍泥棒がいるそうで、どこのお宅も扉は鋼鉄製でオートロックで非常にものものしいです。ちょっと田舎に行けば鍵も掛けないで寝起きしている日本の家事情とは全く違います。もちろんしっかりした悪人じゃない人ももちろんたくさんいますよ。自分たちの正義やら利益のために隙あらば奪ってやろうと考えているのが外国だとオレは考えているんです。太田光さんも、「外交は他国と分かり合うため」なんておっしゃっていましたが、甘すぎると思います。そんな考えでいる外国はないので、つけこまれて終わりです。そこそこの軍備は絶対に必要です。

 そうは言っても今はこんなふうですが、次になにか書物を読むと、すぐそっちの気分になっちゃうんですよね。しかもマンガ以上に勉強しようなんて気持ちもまるっきりないです。でもとにかく、天皇陛下は今も我々のために頑張ってくださっているんだなと思うと心強い気持ちになります。