古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

頭が悪い

 夜中、コンビニに行って何か食べようとして車に乗っていると途中で財布を携帯していない事に気づいたんですよ。やばい、忘れた!と思って、免許もないですから恐る恐るUターンして戻るとどこにも財布がないんですよ。カバンにない、やっぱり車に置き忘れたのかと戻るけどない、あ!トイレに行ってそこで置き忘れたに違いないと、トイレに行くとそこにもない、台所で何か飲もうとして置き忘れたかなと行ってみるけどない、カバンの中に絶対あるはずだ!やっぱりない、物が無くなったときの圧倒的多数のケースでの犯人は布団なので、布団に紛れているに違いないと思ったけどない。よく考えてみると布団で財布を取り出すことなんかないのであった。やっぱり車の足元とかに落ちているに違いないと、車に戻るけどやっぱりなかった。

 さっき行ったコンビニで、確かそれはサークルKだったはず、そこでおかかおにぎりを買った際にはあったので、そのコンビニのどこかに落としたのではないだろうか、で無免許のまま恐る恐るコンビニに行って徒歩で行って店員に尋ねたけどやっぱりなくて、ここじゃない方のサークルKだったかなと思ってそっちに行ってみたけどやっぱりなかった。おかかおにぎりを買ったのは間違いなくサークルKなのだ、なぜなら包装やビニール袋が車にまだおいたままで、そこにはサークルKと書いてある。

 ここまで簡潔に書いてますが、現実はもっと何回もカバンを確認して車と部屋を何往復もしています。

 財布がなかったら、金沢にも行けないしビデオ1でDVDも借りれない。免許も再発行してもらわないといけないし、カード類も停止しなくてはならない。現金もなくなってしまうし、今月分のレシートも全部なくなるので確定申告のときに困る。

 果たしておかかおにぎりを食べたのはさっきの出来事だというのは本当だろうか。本当は昨日か一昨日の出来事だったのではないだろうか、という不安にさいなまれた。こういうのも全部仕事に真面目に取り組んでないからバチが当たったのだ、心を落ち着けて仕事を進めようと思い手を洗って机に向かったけど財布が気になって仕事どころじゃなかった。

 もう一回車を見てこようとして外に出るとグニャっとした足の感触があってそれが財布でした。良かったんだけど、一体なぜこんなところに落としたのか意味が分からない。

 常にこんな調子なんですよ。何をするにも何か別のことを考えながら行動しています。本を読んでも、DVDを見ても別のことを考えてしまうので、内容がさっぱり頭に入らず同じところを何度も読んだり、巻き戻して見返したりしなくてはならないのです。何を考えているのかというとおっぱいや女性器についてなんですが、というのは時々あるだけで、大抵はこの後どうしようかな、あれしてこれしてこうしようと考えています。だから今日はコンビニに着いたらファミ通読んで、ノンシュガーのカフェラッテが飲みたいから、おにぎりだと合わないので、パンかな、それで帰って背景のペン入れまで2時間で終わるかな……みたいなことをとりとめもなく考えています。本当にぼんやり考えているだけなんですよね。

 また、こんなこともあります。モーニングを送っていただいていて読んでいるんですが、読んだら捨ててしまうじゃないですか。いつも、外で何か仕事をする時にまずマンガ雑誌を読んで、それで他の本を読んで、それでやっとネタ出ししたりネームをやったりします。39号を読み始めたら、あれ?これ一号飛ばしてないかな、ジパングで大和が沈むけどここに至る描写をオレは把握していないぞ、他のマンガもちょっと飛んでる感じがするし、と家で38号を探すんですが見当たらないです。当然、オレの部屋なんてゴミ屋敷同然なのでやたらめったら探してもまったく見当たりません。『宇宙兄弟』は弟が月で事故にあっているし、絶対にここは読み飛ばすわけに行かないじゃないですか。間違って読まずに捨ててしまった可能性も否定できない、仕方がないマンガ喫茶でバックナンバーを読むとしよう。それでマンガ喫茶に行って読み始めるとこれ、読んでました。全部知っている内容でした。

 本当にガッカリだ。