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古泉智浩の『オレは童貞じゃねえ!!』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

映画秘宝2月号

書籍・雑誌

 発売中の映画秘宝はゼロ年代ベストテンです。オレもアンケート参加させていただいてるんですが、ベストテンでオレも押しているのが『トゥモローワールド』の1本だけ! 『宇宙戦争』が総合の2位で、当時は『キングコング』が1位で、それに負けての2位で、オレはとほほに入れました。だってあのずっこけなオチでそれはないでしょうと思いました。そしたらネットに「マンガ家の古泉とかいうのが、原作も知らずに悪く言っている」と書かれてとても残念な気持ちになったのが記憶に鮮明です。原作なんか関係ねえよ!『オールドボーイ』見てみろ! 映画館で見たっきりで、ガッカリした印象しかないのでもう一回見ないとまずいなあ。

 総合一位の『殺人の追憶』ですが、オレも見返して震えるほど面白かったですが韓国枠ということで『グエムル』に一票入れました。ここは本当は『オールドボーイ』『マルチュク青春通り』を加えて4つ巴の争いですよ。

 オレの一位は『トゥモローワールド』です。映画のジャンルとしても近未来SF映画というのが一番好きで、しかし90年代も00年代もず〜っとこのジャンルは不作でした。『マトリックス』があったじゃないかとおっしゃる人もいるかもしれないですが、あれは実は遠未来SFなのです。せいぜい50年先くらいまでのSF映画は本当に面白いのがなかった。『フィフスエレメント』『JM』『ジャッジドレッド』などなど期待だけ期待させてその分ガッカリすることばっかりで、ついに『トゥモローワールド』がやっと現れてくれたと、本当に嬉しかったです。今回DVDを買ってそれっきり置きっぱなしで、カトキチくんにメイキングが見たいから貸してと言われて、封も開けないまま貸したきりだったのを、自分で見たら、その面白さに改めて震えました。実際、オレ個人として何か影響されたりとか、自分に何かを教示してくれているわけでもなんでもなく、自分の気持ちを代弁してくれているわけでもなく、オレはテロリストでもないし、社会の変革に熱心でもないですが、素晴らしい画期的な銃撃戦やカーアクション、山での一人暮らしぶりなど、うっとりしてしまったわけです。本当によかったです。強いて言えば、オレも銃で敵を撃ったりして命からがら人を助けてそして死にたいと強く憧れたくらいです。

 総合で『グエムル』が11位、『ゴーストワールド』18位、『ショーンオブザデッド』22位、『パンズラビリンス』27位、『ギャラクシークエスト』30位などが、オレの押したところでした。30位中『愛のむきだし』以外の29本は見ているので、この10年は映画秘宝読者として間違っていなかったと思えました。

 本誌総合30位以外で、オレのベストテンには入れられなかった映画もまだまだあります。例えば『シティオブゴッド』なんて、誰かが押してくれるだろうと泣く泣く入れなかったのに、30位にも入ってなかった。『アダプテーション』『たそがれ清兵衛』『イントゥザワイルド』『硫黄島からの手紙』『ホステル』『クローバーフィールド』『キルビル2』『童貞をプロデュース』『ドリーム.キャッチャー』などなど、ベスト20を選ばせてもらえたら確実に入れてました。

 なぜか花くまさんが入ってないんだけど、どうしたことでしょう。川崎タカオさんは香港映画押しにブレがないです。花澤健吾さん、島田虎之助さん、押見修造さん、福満しげゆきさんなどなど知り合いのマンガ家が参加していて楽しいなあ! みんなで映画の話したいなあ。

 順位をつけない人もいて、順位なんかつけるのは失礼だという謙虚な考えなのかな。でもオレだって具合が悪くなるくらい悩んだ末あとから後悔したりもして、そういうのも含めて面白いじゃないですか。松江哲明さんも順位をつけてなくて、同じ映画人という立場から難しいのかな。何が一位かというのは言わば名刺みたいなものじゃないですか。福満さんの『スパイダーマン』、川崎さんの『ザ・ミッション』、押見さんの『オールドボーイ』、いいじゃないですか、そういうのをオレは知りたいです。

 さて、今月は09年代のアンケートがあるので、これまた実に悩ましいし、まだ見てない映画もあるしで本当に苦しい。慌てて初日の夜中に『アバター』見てきましたよ。とても面白かった!300円のメガネに付ける事ができる3Dレンズも買っちゃいましたよ。メカがかっこいいったらなかったし、アクションシーンも痛そうでスリリングでした。痛くなさそうなアクションシーンほど興醒めなのってないですが、そんなんじゃなかったです。神経接続でリンクしたりするのも画期的な感じしました。興奮して帰宅して後から反芻したら、人間味がなかったことに気がついたのですが、前からキャメロンの映画なんてそんなもんでした。登場人物がみんな普通。『ターミネーター』も主人公はごく普通の正義感の強い人でしたもんね。むしろそこにヒットの秘密があるような気もします。サブポップレーベルから灰汁を抜いたニルヴァーナが大ヒットしたみたいな感じじゃなのかな。でも、ブルーマンみたいな異星人の女が半裸で妙に色っぽく、チラチラ見えるおっぱいが実に気になってしまい、変態心がくすぐられているようで困りました。

 それから大変評判のいい『カールじいさん空飛ぶ家』も見たんですが、面白いですか?さっぱり面白く無かったです。絵柄が全然好きになれないというのが大きいかもしれないですが、偏屈なじいさんが偶然に偶然を重ねて冒険をするって話で伝説の鳥のエピソードもドラマを盛り上げるために無理矢理くっつけた印象だし、全体的にどうでもよかったです。身近に年寄りがいない人は素直に楽しめるのかなと思いました。3DCGアニメは改めて苦手だなあと実感しました。ギュウって握ったり蹴ったりしていじめたくなりますね!

 そんなこんなで今年の映画を振り返るトークイベントも今週あります。予約が振るわずオーナーの門田さんがアバターの異星人のように青ざめているようなのでお時間のある皆さん、ぜひともご来場ください! お値段が高くて恐縮なので、けっこうな人数に当たる抽選でオレと花くまさんからイラストプレゼントさせていただきます。オレはともかく花くまさんは本物の絵描きなので、価値が高いですよ!

●野暮な映画総括2009
昨年に引き続き、花くまゆうさくさんと今年の映画を振り返り、必見映画ベストテンを決定します。記憶も定かでない男が二人では話しに締りがないので、今年は映画ライターの那須千里さんをゲストにお迎えしてお送りします。
@阿佐ヶ谷よるのひるね
 12月27日(日曜)  
 15:00open
予約1800円 当日2000円 
ご予約お問い合わせは、E-mail・お電話・FAXにて承ります。
電話:03-6765-6997 FAX:03-5373-5545
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