古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

本年はどうもありがとうございました!

 昨日の記事でも書いたように、今年はさっぱり仕事せず現を抜かしていたのですが、やる気がなかったわけではないのです。実際描いた原稿は217枚でした。単行本一冊ちょっと分。四コママンガは2本で1枚計算です。

 新企画で『筋トレ君』というフィットネスマンガのネームを描いて営業したのですが、どこも相手にしてくれず、中編ヤンキーマンガ『リンチ』という16枚3話のネームも描いたのですがボツでした。これはまたどこかで営業したいと思っております。パチンコマンガを長期に渡る新連載のつもりで取り組んだのですが結局1回掲載してもらっただけでした。2話目はパチンコ屋の場面以外完成しているので、なんとか救済して欲しいです。他にも『海物語』で描いたネームが保留となっていますが、来年の夏には採用してもらえるかな★ 

 このように暗礁に乗り上げた企画やネームが机の引き出しにあります! もし新雑誌立ち上げの際、原稿が落ちたりした場合お声いただいたらすぐ描きますよ。最近は新雑誌がどうしたなんて話もないですけどね、休刊の話はよく聴くんですが……。

 さて、ここ数年で最もだらけた一年を振り返ってみたいと思います。

(1月)
・自費本『甘いおなら』を出版
・オバマ大統領の就任に感激
・にいがた映画塾講座・実習コースを担当
 ショートムービーを簡単に作って遊ぼう、もっと手軽に自主映画を作れるようになったら楽しいじゃないかと思って講座を企画して運営しました。上映会も無料で開催して80人くらいお客様がいらしてくださって、いい講座だったと自負しております。また来年もやりたいです。

(2月)
・『ワイルドナイツ』発売
 ここ数年の思いを余すことなく描きつくす事ができ、それが形となり感慨深かったです。幸い評判もよく『ベストマンガ2010』の点取り表の一番お尻に乗る快挙も成し遂げました。30位でしたっけ?50位?今、手元になくて確認できないですが、長年マンガ描いていて初めての事です。しかし実際に仕事をしていたのは08年の事なので、この時期はPSPでモンハンばかりやっていました。

(3月)
阿部和重さんとトークショー
 山形の映画監督佐藤広一さんの所縁で、ずっとファンだった阿部和重さんとトークショーをさせていただきました。全著作を読み返して阿部指数を開発して作品を分析して、佐渡にも渡って朱鷺を見て2時間で帰ってと異常な取り組みをしたお陰で阿部さんにも驚いていただき、イベントも割りとうまくいきました。山形新聞に阿部さんの小説についての記事を書かせていただくという願ってもない成果も達成し、今思い返しても胸が一杯になりますが、この間仕事はさっぱりしませんでした。

・紙-1フェスタに出演
 三本美治さん主催の紙芝居イベントに参加しました。他のマンガ家さんのクオリティが絶大な中、紙芝居にはあまり適さない会話劇をやってしまい、これなら札を用意してセリフを言うたびに、札を動かす方がよかったかな、しかしそれでは札劇だと反省しました。そこそこ受けたんじゃないでしょうか。

・『童貞の教室』にマンガを描いた
 松江哲明さんという現代の日本を代表する映像作家の著作にマンガで参加させていただき、実に光栄でした。

・名古屋のSCHOPというフリーペーパーのイベントに出演
 なぜかオレと、青林工藝舎の手塚編集長という不思議な面子で呼んでいただいて、自主映画も上映していただきました。その際に初めて見たのですがSCHOPはとても面白くデザインも素敵なフリーペーパーで、オレがリソグラフで作っていた「大内アパート月報」とは大違いで魂消ました。

(4月)
・大阪で『ワイルド・チェリー・ナイツ』
 デシンセイのムッケンさんの企画で、小田原ドラゴンさんとしまおまほさんと出演しました。ムッケンさんのご自宅に宿泊させていただいて、鶴橋にも案内していただいてとても楽しかったです。

(5月)
・東京のコミティアに参加
枡野浩一さんとトークイベント
 よるのひるねで、枡野さんの『結婚失格』と『あるきかたがただしくない』を中心に、結婚や子供をテーマにトークイベントをさせていただきました。子供と会えない辛さにオレが何人でも子供が欲っして執着を減らそうとしているのに対して枡野さんは女性に興味を無くす方向に行っていたのが、あまりの違いで魂消ました。枡野さんの方がオレよりずっと純粋にお子様を大切に思っているんだと思いました。

林静一さんと対談
 アックスの山田花子さんの出版企画で、林静一さんと対談させていただきました。山田さんのマンガは目一杯勉強して行ったので、そっちは大丈夫でしたが林さんの勉強をしておらず、とても失礼しました。その後アマゾンで著作を買ったのですがまだちょっとしか読んでいないのです。オレの死んだ父とほぼ同世代でいらっしゃり、つい「お父さん」と呼びたい衝動に駆られました。

(6月)
・『DVDマジ!』に『エスパー竹夫』を新連載
・デシンセイのCD『ミラクルデシンセイ』のジャケット絵
・にいがた映画塾初心者講座を担当
 6年間受講していた講座の担当責任者に立候補してなりました。受講生4名、運営費赤字となりましたが、講座としてはかつてないほど充実したものになったと自負しております。特に村上賢司監督を招いての演出入門は実際に現場をやってもらって、編集まで見せてもらえ福島から受講に来た高橋くんも大満足してくれておりました。

(7月)
・『あんにょん由美香』のトークイベントに出演
 松江哲明監督の『あんにょん由美香』の上映イベントに出させていただきました。林由美香さんは衝撃的にかわいい超A級AVアイドルで、平野さんの『由美香』でうんこを食べさせられていたのが本当に嫌で仕方がなかったと、そんな当時の思いを話させていただいたら、リアルタイムの話が聞けてよかったと感想をいただけて安心しました。

(8月)
モンスターハンター3
 ゲームソフトを予約して並んで当日の朝一番に買うなんて初めての事でしたが、やってみたらとても楽しかったです。ネットで同時にみんなとあれこれ試行錯誤しました。そのせいで8月は原稿が8枚と四コマ1本しか仕事しなかった。最低にも程がある。

・名古屋でワイルドチェリーナイツ2
 4月で大阪でやった小田原ドラゴンさんとのイベントの第2弾でしたが、シモネタはなるべく禁止、マンガ業界裏話をするように、と司会者に言われ、その司会者も司会をするのが初めてで、最終的には赤字を被って交通費で3万円掛かっているのに、それも出ず、2万円被らされました。今でも腹立たしい。

・文理高校甲子園準優勝に感激

河井克夫さんとトークイベント
 河井さんの著書『日本の実話』がめっぽう面白くて、その裏話を聴くイベントをしました。現在、双葉社で福満さんの担当をしていらっしゃる国沢さんが実際の登場人物で、そのエピソードの裏話は更に過激な面白い話で場内全員が度肝を抜かれました。

(9月)
カナザワ映画祭
 去年クリスピン・グローヴァー監督の『It is fine,everything is fine.』を偶然見てしまった事により、今年もどんな奇跡を目の当たりにできるのか足を運ばざるを得なかった。普段見る事のできない映画ばかりを選んで見たら、どれもさっぱり面白くなかった。宇多丸さんと高橋ヨシキさんのトークショーが一番面白かったです。深町秋生さん、堀道広さんにお会いできてよかった。

(10月)
・漫画家バンド大戦
 三本美治さんが主催のマンガ家のバンドイベントに出させていただきました。タスケが居たりして変な感じでした。バンドの演奏もさることながら紙芝居が素晴らしく感動しました。元気さんとのセッションのためにギターを練習したのに、元気さんのギターの弦が切れてギターを渡してしまい、オレはエフェクターをいじっていました。

・小説家の岸川真さんにお会いした
 それまで岸川さんを存じ上げず、全く不勉強を恥じ、著作をアマゾンで買って読んだところ、滅茶苦茶面白くて魂消ました。そのうちトークイベントしたいです。

(11月)
・事業仕分けに興奮
・イングロ事件
頭脳警察ライブの前に映画の宣伝映像の撮影でPANTAさんとTOSHIさんに挨拶
・抜刀術を始める

(12月)
花くまゆうさくさん、那須千里さんとトークイベント
鈴木詩子さんとアックスで対談
町山智浩さんのネットラジオに出演
 町山さんのマンガ家と対談する番組で、すぎむらしんいちさん、新井英樹さんに並んでオレという、一人だけ無名という実に気まずい人選で、町山さんと同じ「智浩」という名前で下駄を履かせていただいているのは間違いあないのです。1月末から配信だそうです。無名な分、その分捨て身でやらせていただいており絶対面白いと思います! すぎむらさんや新井さんが捨て身だったら全く歯が立たないわけですが!!

(その他)
地下沢中也さんと時々ランチ
 一昨年の講談社の忘年会でお会いして以来、オレが上京する際に高円寺でランチをお付き合いいただいております。先日、イブニングの連載が終わってしまい『預言者ピッピ』が出るまで無収入じゃないですか!と心配だったので奢らせていただきました。話す内容は「人生にセックスが足りてない」などエロい愚痴と他のマンガ家へのやっかみが中心です。

・時々膝が痛い、そして太ってきている、懸垂ができるようになった

モンスターハンター
 とうとう300時間越えをしてしまいました。2Gと合わせると700時間です。それでもまだまだ面白い。どうしようもなく面白い。3Gが出たらまたやってしまうだろう。最近は金を稼ぐクエストと、イビルジョーを毎日一頭ずつ倒すというのをやろうかと思って、やったりやらなかったりです。

 ざっくりと2009年を振り返ってみましたが、これじゃあ仕事にならねえよってくらい遊んでました。モンハンと自主映画の講座とイベントが多すぎです。本業を完全に見失っている一年だった。面白かったなあ。来年は気持ちを入れ替えて仕事に取り組みたいと思います。きちんと採用されるような長編の企画を出したいです。じゃないと、ラジオがたまってどうしようもない。これまで長年取り組んでいたショートのマンガを単行本にしていただけそうです。正式に決定したらお知らせいたします。

 それではよいお年を!