古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

SASUKEを見た

 ず〜っとSASUKEを、山田さんがファイナリストになった辺りから見ていて、ここ何回かはもう飽きちゃったなあとあまり食指が動かず見ていなかったのですが夕食時に見るともなく見ていたら、やっぱりとても面白くて最後まで夢中で見ました。それこそファイナリストになった時の山田さんはとてもかっこよく、当時まだ死んでいなかった父も「これは大した男だ」と絶賛していました。次の大会では史上初の完全制覇も間違いないだろうと確信していました。そんな山田さんは次第に成績を下げて、SASUKEのセットを自宅に自作して、仕事も辞めてフリーターになるくらい狂ってしまい、成績と反比例するようにSASUKEへの狂気は増すばかりでした。ある時は、判定にクレームを出してみたり、一旦は引退を宣言してみたりもしていましたが、今回も第一ステージで失敗して引退を表明しました。どうせすぐ撤回すると思います。「オレにはSASUKEしかないんです!」なんて言ってね、山田さん頑張れ!

 山田さんをはじめとして多くの屈強な肉体を持つ若者達を狂気の渦に引きずりこんでいくSASUKEですが、優勝商品が日産の高級車、フーガだけってあんまり寂しくないですか?前は250万円じゃなかったでしたっけ?不況のあおりかな、M-1くらいの賞金が出たっていいと思います。M-1なんてむしろ、他の営業がどんどん入るので賞金なんて問題じゃないくらいなのに、SASUKEに狂った人々はどんどんフリーターになっています。今回完全制覇した漆原さんは靴の営業という堅実な職についていて、そんな彼が発見したゴムの地下足袋は、彼の扱う商品であり、ロープ登りに大いに効力を発揮したのは素晴らしかったです。ある意味、暗に参加者のフリーター化を批判しているかのようでした。

 かつての制覇者、秋山さんは毛蟹漁師だったけど、視力が弱くなって指圧師になりました。二人目の長野さんは漁師で自分の船を所有しています。どちらも自営で商売されております。ガイヤの夜明けなどでは、原油の高騰と魚の卸値があまりに安いのとで漁師の皆さんが悲鳴を上げていましたが、長野さんは大丈夫なのかとても心配です。船のポールやふちやロープを渡ったりで、元気なところはとても伝わります。

 オールスターズの竹田さんは消防士、白鳥さんは役場の職員で安定した職業でトレーニングの時間もとりやすいです。ガソリンスタンド勤務の山本さんは、最初はバイトだったのが店長になって今やエリアマネージャーにまで昇格しております。結婚して子供ももうけていらっしゃり、羨ましいばかり。SASUKEへの挑戦を見事にプラスにしています。

 反面、山田さんを筆頭にフリーターになっている皆さんが心配で仕方がないです。25歳の元体操選手で現在ジムインストラクターの人はちょっと心配です。インストラクターって年を取ってやっているイメージがないですもんね。ジムや道場経営ができるようになっていただきたいです。彼は実家暮らしっぽかったです。彼には実家暮らしの匂いがする。40歳にして実家暮らしのオレには分かる。

 賞金はどうせ滅多に出ないので3千万円くらいあげてもいいんじゃないでしょうか。それで、スポーツジムでも開業したら、名声も実力も天下に知られているので繁盛すると思います。TBSさんはそろそろSASUKEを盛り立ててくれたオールスターズやフリーターになるほど狂ってしまった皆さんのケアを真剣に考えないと、バチが当たりますよ。でもマッスルミュージカルが受け皿になっているのかな。

 競技のSASUKEは制覇できても、人生のSASUKEは更に過酷なのです! SASUKEはオンエアで見るとだるいので録画して見る方がいいですよ。ま、でもきっと家族でワイワイしながらだらだらと見るものなんですね。