古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

2009映画秘宝ベスト&トホホ

 映画秘宝の最新号は2009年の映画ベスト&トホホ特集です。これ一冊で3ヶ月は楽しめるという大変お得な企画ですよ!買ったほうがいいですよ! オレも参加させていただいているんですが、今年はコメントが200字と非常に厳しい字数制限がありました。例年は300字じゃなかったでしたっけ。それでも足りなかったのに200って……トホホと思っていたら、字数制限をまるで無視して長々と書いている人が大勢いるじゃないか! なんだよこれ! ギンティ小林さんなんて書くスペースが足りない事がコメントです。オレだって川崎タカオさんくらいの分量で描きたかったよ。500字にして欲しいです。1000字でもいいです。ページ数と選者も増やしていいと思います。だって面白いもん。3月号だけちょっと厚めにして、値段が上がってもみんな大喜びで買いますよ。


アマゾンじゃ売り切れだ!

 ベスト30のうち、オレが見ていないのが国内未公開や、新潟で未公開などもあり10本もあった。『第9地区』をもう見ている人、ずるいよ!今年の本命じゃないですか。17位『ハングオーバー』はオレも上映希望の署名をして、アメリカでコメディ映画の賞を取ったのもあって上映が決定しました!楽しみだ。23位『ドゥームズデイ』24位『モンスターVSエイリアン』はもうDVDになっているので早めに見たいです。はやく『バーダーマインホフ』も見たい。

 オレが感動したのはトホホで『イングロリアスバスターズ』を1位に上げている添野知生さんとBazilさんですよ。総合で一位の『イングロリアスバスターズ』をトホホで1位にするなんて、なんという男っぷり! オレもごちゃごちゃ文句言ってるんだったらこのくらいやれよなと、差しさわりのねえもんをディスって喜んでんじゃねえよと情けなくなりました。見習いたい。かつておれも『宇宙戦争』をトホホに選んだ男で、見返したらあまりに面白くて腰が抜けそうだったんですが、でも筋を知らずに結末まで見ていたら今でも当然ガッカリしたはずだと確信しているわけです。そのくらいの心意気がなくてどうするよ、オレがトホホじゃねえかと思いました。『サマーウォーズ』『愛のむきだし』『イングロ』あたりをオレも入れればよかった。かっこわりい。オレがそんなに好きじゃないってだけで、作品が悪いかと言ったらそういうわけでもないんだよね、なんてゴチャゴチャ思うのがさらにかっこ悪い。

  それから見逃していけないのは未公開映画&TVムービーのコーナーです。たいていここで紹介されているのはほとんど面白いですからね! 青春&コメディの3位に『俺たちステップブラザース』(花くまさんの一位)が入っているので、どのくらい信用できるかそれでお分かりいただけるってもんでしょう!

 さて、こうして2009年を振り返っているわけですが、2010年も早くも公開ラッシュが始まっています。今週から巨匠テリー・ギリアム監督の『Dr.パルナサスの鏡』を見てきましたが、腰が抜けそうなほど圧倒されました。話自体はそんなにスケールが大きくなくて、全然世界をどうこうとかそんなんじゃないところもとてもよかったです。ギリアム監督のイマジネーションにテクノロジーが追いついて、80年だったら相当無理な感じだったんだろうなあと想像しました。登場人物にいい味の童貞がいて、そこもまたよかったです。ヒースレジャーの自殺で、キャスティングが同じ役を4人で回すという心配があったのですが、化けの皮が剥がされた後が一番インチキ臭いコリンファレルになっていたのが面白かったです。逆手に取ってないか。いきなり年間ベスト級したよ。面白くないわけではなかった『12モンキーズ』より断然面白かったです。

 今週は『サロゲート』も始まっていて、来週はピータージャクソン監督の『ラブリーボーン』です。『キングコング』『ロードオブザリング』は全然好きじゃないですが大傑作『乙女の祈り』の雰囲気じゃないですか、これ。再来週はイーストウッド監督の『インビクタス』。最初チラシを見てなんだこの面白くなさそうなのは、とよく見ると監督がイーストウッドでびっくらこきました。他にも何かあったような気がするから油断ができません。