古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

ゼブラのGペン

 ゼブラのGペンの144本入りのケースは廃盤で、10本入りの小分けしたのしか買えなくなっているようです。前に買った144本入りのが、とうとう無くなりかけていて、ムサシのジョイフルという画材屋で見つけた時にそろそろ買わないといけないな、でもお世話になっているガタケットショップで買った方がいいなと思って買わなかった。7500円くらいするからね。ところがガタケットショップに行ったら廃盤であることを知らされて慌ててジョイフルに行ったらまだあったのでその144本入りケースを買いました。

 小分けしていると10本で750円くらいなので、断然お徳なんですよ。

 実際、オレのマンガがGペンである必要があるのかという疑問もあるのです。一般的にGペンの線は、強弱がつけて活き活きとした線で表現するために用いるのだと、『バクマン』の1巻に描いてました。オレのマンガは御覧戴くとすぐ分かると思うのですが、ほとんど線に強弱がないです。

 一時は強弱のある線で活き活きとした人物を描きたいと志した事もあったのですが、強弱を付けようとするとペンに力を入れて描かないといけないじゃないですか。すると、指がすぐ痛くなるんですよね。特に親指の爪が肉に食い込んで痛くなります。長時間仕事できないんですよね。次第に手にはなるべく力を入れずに描くようになりました。時々力むと、指が痛くなるのでそんな時は手をブルブル振って脱力します。限りなく力を入れずに描くのが理想です。

 なので、オレがGペンをなぜ使うのかというと、単に慣れているから以外理由がないわけです。かつては背景をスクールペンで描いてと使い分けていた事もあったのですが、いつの間にか背景も人物もGペンだけになりました。ミリペンでもいいような気がするんですけどね。Gペン使っているっていうと本格的なマンガ家みたいな感じもするじゃないですか。

 確か細野不二彦さんが、原稿1枚ごとにペン先を取り替えると小学館のマンガ家入門でおっしゃっていたと思うのですが、オレは1本で場合によっては10枚くらいいけます。ペン先って、品質にばらつきがあるんですよね。硬くていつまでもカリカリとした感触で細い線がいつまでも引けるのがあると思えば、やたらと柔らかくてすぐ開いてガバガバになるヤリマンみたいなペン先もあるわけです。ガバガバはオレもすぐに変えますが、硬いのは当たりなのでしつこく使います。

 まるっきり記憶にないんだけど、前にその144本入りのケースを買ったのは多分新潟に住んですぐだったと思うので、次の新しいケースでまた10年くらい、ともすれば廃業するまで持ってくれると嬉しいなあ。それまで仕事があるのかな。