古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

キンボ・スライス

 WOWOWで放送が始まっている『ジ・アルティメット・ファイター』のシーズン10を見ています。今回はヘビー級バトルということで、ランペイジ・ジャクソンとラシャード・エヴァンスの軍に分かれて対抗戦をしていて、中でもランペイジ軍のキンボ・スライスという選手が注目されております。

 先週までランペイジ軍が2連敗でもう負けられない状況に追い込まれてランペイジは目玉であるキンボ・スライスを早くも投入することにしました。毎回両軍から1人ずつ選手を選んで試合をさせているんです。キンボ・スライスはyoutubeに自分のストリートファイトの動画を上げてそれで有名になった、神聖かまってちゃんみたいな選手なんですよ。すごいヒゲとすごいハゲと筋肉の塊みたいなすごい体の黒人選手です。しかも、「今までオレは敵と戦ってきた、しかし本当の敵は自分自身だったと気づいたのさ」と、喧嘩動画で出世した割りにやたらと謙虚でナイスガイなのでした。

 一方対戦相手のロイ・ネルソンはブヨブヨのビール腹でコーチの言う事には口答えばかりして、ずっとチームやジムに所属しないまま自宅でトレーニングしてどこかの王者にもなったという変わり者でした。

 選手の格から言ってもキンボ・スライスの楽勝だろうと思っていたら、グラウンドでのポジショニングが抜群に上手いネルソンがキンボに圧勝してしまったんですよ。でもデイナ社長は、「あんな女みたいなパンチはキンボに何一つダメージを与えていない」と勝敗に全く納得していませんでした。ネルソンはキンボを押さえ込んで頭をポコポコ叩いていたらレフェリーが試合を止めたというように確かに見えました。

 でもこれでキンボが追い込まれて俄然面白くなって来た感じでした。それですっかりキンボに興味が沸いて、youtubeに自分で投稿したという動画を探して見ました。


 友達の家の庭で素手で黒人同士が殴りあっている!
「UFCってあるじゃん、ああいうのやってみねえ?」
「いいけど、グローブどうする?」
「素手でいいんじゃねえ」
「じゃあやるか」
 みたいなノリでやっているんじゃないですかね。その結果負けた方、顔面大怪我してますよ。


 ヨット置き場で、なんと二人の男と立て続けに戦うキンボ。地面はアスファルトです。


 キンボが相手にフロントチョークを取られたら、お客が入ってきてそれを止めようとする客とで騒然とします。ダウンしてカウントが数えられるけど、10を過ぎて20を過ぎても数えていて勝敗と関係なくただ数えているだけ!膝蹴りをすると「ニーはダメだ」とまたさっきの客が来るしで滅茶苦茶な試合です。最終的にキンボが負けるけど、勝った白人も顔面がボロボロで大怪我してます。


 キンボが車から降りて靴を履いて上着を脱いで喧嘩に向かって始まるまでの一連の流れがワンカット映像としてとてもかっこいい。松江監督の『ライブテープ』みたい。

 他にもまだまだありましたが、確かにこれだけタフなド突き合いを見ると、デイナ社長が試合の結果に納得していないのも分かりますね。それにしてもチャールズ・ブロンソンの『ストリート・ファイター』みたいなのを現実にやっている人がいると分かって痺れました。なにやってんだよ!

ロイ・ネルソンは番組ではコーチ達が一人で練習していると言っていたけどWOWOWのHPには柔術の黒帯と書いてあった。一人でやっていたらあんなに寝技が上手なわけがない。