古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

GW

 ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか? オレもせっかく高速道路が休日千円だったので、車で上京したりしました。デフレありがたや、中野で24時間で1400円の駐車場があったので、1泊でガソリン代入れて往復1万円くらいでした。高速道路千円と言っても、東京はその地域じゃないので片道1850でした。今度、どれだけ乗っても2千円になるそうじゃないですか。いろいろ反対の意見もあるようですが、オレは大賛成です。休日以外は千円じゃないので、休日に集中して混むじゃないですか。平日と休日の区分けがなくなるのは大助かりです。

○ゴジゲン『アメリカン家族』
 ゴジゲンという劇団の『アメリカン家族』というお芝居を、吉祥寺シアターで見ました。お母さんが居なくなった家族がドタバタするコメディで、面白かったです。特にお父さん役の人が巨大な暖房のようですごい存在感でした。お父さんが興奮すると部屋の温度が上がって、他の人が汗だくになるという場面はなかったですが、そんな感じでした。ドラマでは言えば解決する問題だけどなかなか言えなくて葛藤したり、それが更なるトラブルを招いたりというのがよくあるじゃないですか、そんな人に対して優しいお芝居でした。

○藤枝さんのブログに驚いた
 アックスの最新号のマンガも強烈で魂消たのですが、藤枝奈己絵さんのブログの4コママンガがすごいです。ご本人とお母さんと、おばあさんが猫なのに、お父さんは人間のおじさんで、ジョギングしたり親戚が遊びに来たりといった日常が描かれています。前は田の字の配列で読みにくかったのですが、最近は縦に四コマの配列になってとても読みやすくなりました。オレが驚いたのは4月28日ので、淀川が臭いというのを表現するのに、淀川に男の顔が浮かんで臭そうなため息を発しているところです。淀川の匂いは嗅いだことがないですが、あんなおじさんがため息しているならさぞ臭いだろうと、納得しました。

○『2001年宇宙の旅
 「午前10時からの映画祭」という名作映画を週代わりで上映して入場料が千円というのがTジョイ万代でやっていて、面白そうなのはなるべく見に行くようにしていました。『羊たちの沈黙』『ワイルドバンチ』『ライトスタッフ』『パピヨン』などなど腰を抜かすほど面白くて、すごくよかったです。
 『2001年宇宙の旅』はテレビで見たし、VHSでも見て、テンポ悪いしもったいぶった感じも偉そうな雰囲気も好きじゃないという印象でした。どうしようかなと思っていたんですが、去年岡田斗司夫さんの『オタク学入門』で、宇宙船のコントラストの強い映像は強烈な証明を当てて、被写体深度を広くしているので一日にほんの数コマしか撮影できないとか、その宇宙船のコクピットで人が動いているのは宇宙船の窓に映像を照射して撮影しているとか、すごい手間とアイディアと執念の結晶なのだというのを読んで、せっかくだから見に行きました。
 すると、オフビートなのは確かにそうなんですが、画面の密度がすごい事に改めて気づきました。テンポがゆるい分、画面の細部をじっくり観察していると全然飽きなくて面白かったです。宇宙船や宇宙ステーションのデザインもかっこいい。無重力表現にすごいこだわっていました。こんなことなら去年のカナザワ映画祭の爆音上映も見ればよかった。音楽がボブサップに汚染されていました。モノリスが宇宙に浮いて回転している場面はゼビウスのテンテンテンテン……という弾の当たる音を思い出してしまいます。
 でもお話の内容はあんまりピンと来ないというか、どうでもよかったです。生意気なコンピューターには気をつけた方がいいってくらいでした。
 シンメトリーになっている場面が多いので座席はど真ん中を陣取って見るほうがいいと思いました。腰抜かすほど面白かったです。スルーした『薔薇の名前』や『アマデウス』も見た方がよかったのかな。

○映画『クロッシング
 『そこまで言って委員会』でも取り上げられるほど評判の映画『クロッシング』は北朝鮮の庶民の生活をリアルに描いた映画だそうで、すごく見たいのですが新潟での上映の予定がない。いの一番に上映するくらいでもいいはずなのに! 東京での上映では横田ご夫妻が挨拶をしたそうで、新潟、福井、秋田、石川、富山は絶対上映しなきゃダメだと思っていたら金沢、山形、秋田は上映予定がありました。オレの予感ではユナイテッドさんがきっと手を上げてくれるはず!