古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

6月に見た映画

 先日は、城定秀夫監督『新宿区歌舞伎町保育園』の上映とトークショーにご来場いただきどうもありがとうございました。ワールドカップ日本戦の直前だったにもかかわらず結構な入りのお客様にビックリしました。終わってから近くのラーメン屋で打ち上げしながらサッカーを見ていたら結局PK戦までもつれて2時になってしまいました。上映イベント主催の直井さんが生解説してくださったので家で見るより断然面白かったです。ところが城定監督やスタッフの方はサッカーにまるで関心がなかったため主役をないがしろにする事態になってしまい、本当に失礼いたしました!

 帰宅してから城定監督がブログをやっている事に気づいて早速読んでみたら、実際にお会いする城定監督よりずっとひょうきんで愉快な文章!こんな人だったとは!!やたらとマンガの図版を引用されていてそれが一々面白い!みんなもブックマークしよう!

・城定監督のブログ

 城定監督の同級生で大人気ブログ『俺の邪悪なメモ』の罪山罰太郎さんもいらしてくださいました。サッカーも一緒に見ていたのに、終電で前半戦だけでお帰りになっていました。なんでも中学校の時に城定監督と殴りあった事もあるとの事でしたが、年を重ねてどちらもそんな粗暴さを欠片も感じさせない好人物!

・俺の邪悪なメモ

 城定監督、直井さん、スタッフの皆さん、どうもありがとうございました!

○6月に見た映画
『ヒーローショー』(★★★★★)
ソナチネ』(★★★★)
クロッシング』(★★★★)
『恋する30デイズ』(★★)
『インファナル・ディパーテッド』(★★★)
『告白』(★★★★)
『ガチバン』(★★★)
『ホットロッド俺たち無敵のスタントマン』(★★★★)
アラビアのロレンス』(★★★★)
翔んだカップル』(★★★★)
『本当にあったエロい話』(★★★)
アウトレイジ』(★★★)
『スコア』(★★★)
『サンダーボルト』(★★★)
サバイバル・オブ・ザ・デッド』(★★★)
『マイレージ・マイライフ』(★)
『プレシャス』(★★★★)
狼の死刑宣告』(★★★★)
ザ・ウォーカー』(★★)
『フローズンリバー』(★★★★)
プレデター2』(★★★)
『アイアンマン2』(★★★★)
『鉄男THE BULLET MAN』(★★)
『鉄男』(★★★★)
『新宿区歌舞伎町保育園』(★★★★)
ドリームキャッチャー』(★★★★)

 26本も見てしまった。毎日映画を見るブームが去らない上にワールドカップもちょろちょろ見ているせいで、仕事も運動もできない。なんとか18枚の読みきりの後編を描いたけど、締め切りのある原稿仕事が2ページと四コマ2本だったため、恐ろしい事になりそうだ。イラストの仕事をいただけたのでなんとか助かった。こんな生活いつまでも続けられるわけがない。

6月の映画ベスト10
1位『ヒーローショー』
2位『プレシャス』
3位『翔んだカップル
4位『フローズンリバー』
5位『ソナチネ
6位『アイアンマン2』
7位『狼の死刑宣告
8位『新宿区歌舞伎町保育園』
9位『告白』
10位『ホットロッド俺たち無敵のスタントマン』

 映画の日に『ヒーローショー』を見たせいで、上旬は仕事が全く手に付かずひたすら感想を検索する毎日を送ってしまった。こんなの後にも先にも初めてで恐ろしい映画だった。『告白』は中学が地獄だった事を思い出させる映画であったのだが、そんな記憶を中島監督の「オレってセンス最高でしょ!エンターテイメントに昇華しちゃうし」的な表現モチーフでおもちゃにされる不快感があった。しかし、時を経るにつれて記憶にまとわりつく感じがあって、力のこもった作品であったことは素直に受け止めたい。『ヒーローショー』も素直に好きとはとてもじゃないけど言えないけど、まったく違って嫌ったらしいという意味で大嫌い。中島監督は『下妻物語』でヤンキーやロリータをおもちゃにしてくれる分には全くなんとも思わず楽しめたんだけど、『告白』はなんて事をしてくれるんだとイライラする。でも面白さや面白さを追及する姿勢は外してないので完全否定もできず困る。今現在地獄を過ごしている中学生のみんなは是非とも腹を立てて欲しいと思うのだが、案外「オレの気持ちを理解してくれる」なんて言って喜んじゃうんだよね。頼むよ!

 『プレシャス』もすごい映画でした。役者さんが本当にそんな人としか思えなかった。特にお母さん役の人、本物のキチガイとしか思えないので、恐ろしくて仕方がない。下流生活で悲惨な人生を送っているプレシャスだったけど、学習や友情、子供に対する愛情への感動が描かれていてジンジンした。でももう一回見るのはつらい。

 『フローズンリバー』も下流生活で、主人公には「バカじゃねえの」という冷たい目線を抱いてしまう一方で、そんな人物が家族を大切に思う気持ちこそ嘘じゃない感じがして胸を打たれます。サスペンスとしても超面白い。普通に年間ベスト級の傑作だよ。

6月のトホホ映画
1位『マイレージ・マイライフ』
2位『恋する30デイズ』
3位『ザ・ウォーカー

 新潟はちょっと遅れて後悔された『マイレージ・マイライフ』は『JUNO』のジェイソン・ライトマン監督の最新作で期待して見に行ったら、自由と孤独をすごく浅く描いた本当に下らない映画で腰が抜けた。そう思うと『JUNO』での感動も誤解していたのかもしれない。主人公のジュノちゃんが案外あっさり子供を手放すんだけど、それも悲しみをグッと堪えて、そんなのもクドクド野暮ったく表現せずにあっさりさせていたように感じていたんだけど、単に人間関係の希薄な野郎なんじゃないのかと思った。誰かを本気で愛した事も守りたいと感じた事もないような若造が孤独や自由を偉そうに語るんじゃねえよ、人間関係がライトマンかよ。60歳くらいになってからこのテーマで描いていたら全然面白いんじゃないのかな。周りの人誰か言ってやれよ。なんでオレがこんなに腹を立てているかといえばオレも人間関係がライトマンだからです。そこは偉そうに言うんじゃなくて、反省点だろって事なんです。

 こんな調子だけど、冒頭15分で何一つ面白いと思わなかった映画は見るのやめてHDDから消去してるんです。本当は面白かったのかなという不安はある。『ナック』はなんとなく有名だったので気になって録画したんだけど、白黒でおしゃれな雰囲気だけって感じがムンムンして嫌になって見るのやめてしまいました。

途中で見るのやめた映画
『ナック』
カサンドラ
天城越え