古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

『私の優しくない先輩』が超素晴らしい

 松江監督やゴジゲンの松居くんが大絶賛していた『私の優しくない先輩』をさっき見終えたところなんだけど、これがあまりに素晴らしい映画で余韻に浸っております。オレも最近、女の子がバンドやるマンガのネームを描いて、ボツになったりしていたんですが、この映画の100分の一も描いていなかったと心底ガッカリしました。ボツで当然!なにこのえぐり込みよう、川島海荷ちゃんの可愛らしさと汚らわしさ! はんにゃの金田、オールナイトニッポンはとっくに聴くのをやめてしまったけど、最高だったよ! こんな難病映画初めて見た。これはいい難病映画。

 薬師丸ひろ子には『翔んだカップル』があった。知世には『時をかける少女』が、富靖には『さびしんぼう』があった。はるかには『僕の彼女はサイボーグ』、深きょんには『下妻』、あとなんだっけ、橋本愛ちゃん『告白』とか、アイドルにはその魅力を100%の形で映画に封じ込めて歴史に残してもらえるケースがあるんです。川島海荷ちゃんは、そのステージを与えられて、そこで最大限の魅力を発揮する事に大成功しておりました!よかったね!

 残念な事に、後藤は『バカチン料理塾』、あややは『スケバン刑事』しかなかった。何てことだよ。ミキティは『17歳』まあよかった。広末には何かあったっけ、とにかくあそこで『WASABI』は大間違だった。なっちには何もない。事務所は何をやってんだよ。主役じゃなかったけど沢尻エリカにだって『パッチギ』があるってのに。まだ℃-uteBerryz工房はギリで間に合うし、スマイレージにだって何か素晴らしい形で残してあげたいんだよ。見終わってみんな幸福になって、彼女を胸にしまいこむような、そんな映画が必要なんです。

 言葉で塗りつぶすような表現や難病とか苦手な面も確かにあるんだけど、コントやマンガみたいな表現の可愛らしさ!海荷ちゃんのエモーショナルな面白い表情が素晴らしく似合っておりました。首が短くておでこがちょっと狭いけどそこすら可愛かったです。

 はんにゃの金田もよかった。マンガみたいな動きはブクズンズンゲームで鍛えたお陰だね。彼のセリフが一々真を突いていてそんな風に言われたら海苛ちゃんじゃなくても倒れてしまう。オレはもう高田延彦の立場で見てしまうんだけど、そういう意味でも抱きしめたい。

 監督は『涼宮ハルヒ』の山本寛監督で、実写映画は初めてだそうですが、なんというドッシリ感。キャスティングがとにかく見事だったんだろうけど、みんな素晴らしく活き活きとしておりました。脚本も素晴らしかったです。考えと行動がちぐはぐになってしまうところなんて、モノローグ描写を逆手に取った見事なものじゃないですか。よかった。息が苦しくなるくらいのマジックが掛かっていてそれは全部監督の手柄だとオレは思いました。

 ここ最近、そこそこ面白い映画見て「よかったよね、ハハハお金損しなくて」なんて虚ろに喜んでいたけど、そういうもんじゃないだろと、今現在こうして素晴らしい作品を、奇跡を、映画館で見る事ができる喜びを噛み締めなくてどうするんだよ!『アリエッティ』も『インセプション』もいいけどね、『エアベンダー』見ている場合じゃなかったよ!通常料金でもいいから見て来いよ『私の優しくない先輩』、新潟はTジョイでしか見れなくて、レイトがないからシネマチネ1200円で見たんだけど、通常料金でも全く問題なかったよ。パンフレットは500円でした。オレが見た回のお客さんはみんな買ってたよ。