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古泉智浩の『オレは童貞じゃねえ!!』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

午前十時の映画祭『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

映画・テレビ

 月に一度くらいは更新しないといけないと思いながら6月が過ぎて7月も何もないまま終わってしまいそうで困っていたのですが、映画.comで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の感想を書いていたらあまりに長くなってブログ記事みたいになってしまったので、転載しようと思いました。すこし描き加えて更に長くなっております。 

バック・トゥ・ザ・フューチャー [DVD]

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  公開当時高校生で映画館で見ました。当時『小峰隆夫のオールナイトニッポン』を聞いていて、週刊プレイボーイも読んでいました。小峰さんが毎週、映画を紹介していて『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を興奮して伝えていた記憶があります。それで前売り券を買って楽しみに待って見に行きました。それはもう、すごく面白かったです。まさに自分も高2か高3で直撃です。その後レンタルでシリーズを通して見て、午前十時の映画祭で久しぶりに見た。ちなみにシリーズの「2」と「3」は1に比べるとそれほど面白くないので、特に「3」はがっかりするほど面白くなかった。来週から連続で上映だけどどうしようか迷っています。

 

 今回の上映が始まった途端、字幕の文字が上三分の一しか見えず、画面サイズに合っていないことに気づき、廊下に出てスタッフに言いに行きました。しばらくすると一瞬画面が真っ暗になって、サイズが直った。何度も見ているのでいいかなとは思うんだけど、まだ開始五分も経っていなかったので始めから上映し直して欲しかった。そんなもやもやした気持ちで見ていたのですが、映画があまりに楽しくてすごく幸せな気分になって、見終わると廊下でスタッフさんが招待券をお詫びで配っていたのでむしろ得した気分でした。ただ、オレが言わなかったら最後まで字幕が読めないままだったかもしれないので、観客の皆さんはオレに感謝して欲しい。

 

 マーティやドク、お父さん、お母さん、登場人物が若々しく可愛らしく、ビフすらキュートの思えるほどだった。特にお母さんが恋にどきめいている感じがたまらなく可愛らしかった。「女の子が自分から男を追い回すなんて考えられない」と25年後に語っている振りがすごく効いています。

 

 八〇年代の浮かれた雰囲気で五〇年代を描いているせいだろうか、何から何まで楽しい。後にマイケル・J・フォックスは難病を患い、お父さん役のクリスピン・グローヴァーカナザワ映画祭で大傑作『it is fine,everything is fine!』を上映することになる。そんな公開当時は思いもしなかった大河ドラマがこの映画に今は意味付けされている。また、深海パーティの場面で演奏される音楽は『アルコ&ピースオールナイトニッポン』のネタコーナーで散々使われていたため、思い出さずにはいられなかった。ラジオが終わってからすっかりアルコ&ピースのことを忘れていました。

 

 伏線回収の鬼っぷりがすごい。しかも全部が全部面白さに機能している。プルトニウムの扱いがあまりに雑で、一回のタイムトラベルで消費しすぎなのではないか、高校生を近づけてはいけないだろうなど今にして気になるがそんな乱暴な表現も楽しさに紛れてしまう。また、マーティは映画の中では演奏がうるさすぎて学際のオーディションで落とされるなど冴えない風に描かれているのだが、実際いたらウォークマンでヘッドホンしながらスケボーを乗り回し、バンドでギターボーカルで、超絶にうまいし、きれいな彼女もいるスーパー高校生でした。その時代で暮らすわけじゃないから後先考えずビフに喧嘩を売っていたのかなと思うけど、マーティはそうではなく、いつの時代にあっても卑怯な行為にはダメだとはっきり言う勇敢なタイプです。移動手段のスケボーも超絶テクで、しかもそれほど熱心に練習せずともできたんじゃないかな。何をやってもセンスがすごい、そういう人たまにいます。

 

 デロリアンマニュアル車だった。欲しい。乗りたい。

 

 ずっと気になっていたのだが、雷が落ちる時間が分かっているのが、分までで、秒が指定されておらず、それに合わせて140キロで調度電線の下を通過するのはあまりに無理がある。1秒にも満たない一瞬を1分の間のどこに置くのかまったく不明です。彼らに当てずっぽうで一か八かでやろうとしている節はなく、観客にはその表現には目をつぶってもらうしかない。木が倒れて電線が外れてドクが時計台に上がって、足の置き場が割れて落ちそうになって、やっとの思いで接続しようとしたらまた下のコンセントが外れて、その間にデロリアンがエンストして、ドクが電線を滑り落ちてやっとの思いで今度こそ接続して、デロリアンのハンドルをマーティが叩いてエンジンが掛かって、その間刻々と雷の時間が迫り、とうとう雷が時計台に落ちて、電流が電線を伝って降りてくる、といったとんでもなくハラハラするサスペンスは無理がある展開を誤魔化すために頑張ったのかもしれない。

 

 85年に戻ると、マクフライ一家はセレブ生活をしていて、ビフがワックス業者で車を磨いています。マーティが欲しがっていたトヨタピックアップトラックが車庫にあって豊かなこれぞ80年代というような生活ぶりで、ちょっと厭味ったらしかったです。お父さんはビフに頭を小突かれている方が好感が持てました。