シネウインド映画『チェリーボーイズ』と漫画原作映画特集
西海謙一郎監督が数奇な運命に導かれて完成させた『チェリーボーイズ』が東京などでは2月に公開しておりました。試写会に日程が合わなくて結局サンプルDVDで見させていただいたらいい意味でも悪い意味でもあまりの出来にびっくりして、受け止めきれずにアワアワしました。演出と演技がすばらしくて、その分内容の気まずさが際立ってしまい、このご時勢にはアウトではないかと思いました。それは即ち、肝が据わっており凄まじい気合が漲っておりました。林遣都さんをはじめとして池田エライザさんなど今をときめく若手の皆さんが体を張って取り組んでくださって、果たしてリスクになりはしないかと非常に心配になりました。
西海監督は、監督第一作とのことで前途有望な若者がこんな映画に手を染めて大丈夫だろうかと思ったら、ため年のおじさんでした。映画業界に長くいらっしゃり演出力にも納得でした。
いったいなぜこのような作品が出来上がってしまったのか、15年ぶりくらいで自分で描いた原作を読み返してみたところ、原作に非常に忠実に作ってくださっており、今のリテラシー的にどぎついのは原作そのもので、歌人の枡野浩一さんも「責任は全て原作にある」とおっしゃっており、全くそのとおりでした。
公開初日の舞台挨拶上映で渋谷TOEIという駅のまん前にある映画館で再び見させていただいたら、覚悟ができていたせいか初回よりどぎつくなかったです。というか、楽しい映画でもありました。特に武器の実験をするところやちょっと間抜けなアクションシーンは場内でも笑いが起こっておりました。原作者が初回で引くほどすばらしい映画に仕上がっております。
そんな『チェリーボーイズ』が5月5日(土)より新潟シネウインドで1週間限定で上映となります。ちょうど同時期に新宿シネマカリテでも再上映が決まっております。新潟の皆様も、東京も皆様もぜひご覧ください。
さて、シネウインドでは『チェリーボーイズ』の上映に際して、古泉智浩漫画原作映画特集をしていただくことになりました。城定秀夫監督『渚のマーメイド』(原作『ミルフィユ』)、佐藤広一監督『透視せよ!タケオ』(原作『新しい絶望』)、古泉智浩監督『値切られた身代金』(オリジナル)の3本です。
漫画原作映画特集といいながら『値切られた身代金』は原作漫画はなく映画オリジナルです。オムニバス映画への参加作品として2016年に作ったのですが、そのオムニバス企画が難航して未発表作品となっており、今回の上映が初披露となります。NAMARA芸人のジャックポットの大野まさやさん、ハルマキまさしさんが主演で、NAMARAの江口さんご一家にご協力いただき、NAMARA映画と言っても過言ではありません。
『透視せよ!タケオ』は山形在住の佐藤広一監督の2007年作品でとても面白く出来がいいので何かの企画で上映できないものかとずっと考えておりました。うえだ城下町映画コンテストで大林千茱萸賞を受賞しているくらいの傑作です。大林千茱萸さんは大林信彦監督の娘さんです。原作漫画は『新しい絶望』という、『青春★金属バット』に収録されている短編です。
城定秀夫監督『渚のマーメイド』は2011年の作品です。僕がシナリオも城定監督と一緒に書いております。こちらはアダルト作品で、セルDVD用であったのでスクリーンでの上映は今回が初となります。WOWOWでも深夜に放映されておりました。原作漫画は短編集『ミルフィユ』の人魚3部作です。大阪のライブハウスmeleで深夜に関係者のみで爆音上映をしたことがあるのですが、スタッフの女性が感極まって泣いていたのが忘れられない思い出です。エンディングが元気いいぞうさんの『まあ、生きていればよしとする』という名曲で、花くまゆうさくさんや三本義治さのバンドの演奏がすばらしく感動的です。
こちらはJuicy Lero Leroの演奏バージョンです。
新潟シネウインド
○映画『チェリーボーイズ』
5月5日(土)~11日(金)18時40分~20時35分
○古泉智浩漫画原作映画特集
『渚のマーメイド』
5月6(日),8(火),10日(木)16時40分~18時10分
『値切られた身代金』(15分)『透視せよ!タケオ』(30分)
5月7日(月)、9日(水)、11日(金)16時40分~18時00分
どれもとっても面白いですよ。この機会にぜひご覧ください!
並べてみると全部古い漫画ばっかだった!