古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

絶交していた友達と会った その2

 そんな彼とは伊集院光さんの出待ちをしようと、一緒に東京に行くことになった。出発は月曜日の夜で、群馬に入った頃に生で放送が聴けるようにした。
 東京では、昔からの伊集院さんの追っかけでハガキ職人でもあり、ラジオネーム江東区安藤武さんを亀戸で拾った。彼は昔からの麻雀仲間だったのだ。
 安藤さんの話では、ウェブ放送の録音が放送終了後にあるから、大体4時半くらいにならないと出て来ないだろうとの予想であった。赤坂の駐車場に車を止め、TBSに向かった。安藤さんを拾ったのが3時でほどなくTBSに到着した。深夜の東京はすいすい走れた。

 オレは伊集院さんに当時出ていた著作である『ジンバルロック』と『ミルフィユ』と実家のお菓子、ゲームキューブのコントローラーを持参していた。
 伊集院さんは原付でTBSに通っているとのことであった。しかし当日は台風が来ていて、その時点では通り過ぎていたようで雨も上がっていた。なので、原付で来ていない可能性もあった。TBSは正面玄関と駐車場の入り口が分かれていて、果たしてどっちから伊集院さんが出て来るのかよく分か
らなかった。取りあえず正面玄関で待って見る事にした。安藤さんはノートパソコンを持ってきてしゃがみこみリスナー仲間とチャットを始めた。
 正面玄関か地下の駐車場かどっちから来るか分からない。オレと、絶交していた彼(この時点では絶交していない)はその間を行ったり来たりして待った。
 そうこうするうちに警備員に正面玄関の前にいるなと注意を受け、通りに移動した。安藤さんのパソコンはバッテリーの持ちが悪く、もうすぐ電源が切れると話していた時に、一台のタクシーが我々の前を通り過ぎた。
 「伊集院さんだ!!」後部座席の太った人の横顔の額には御馴染みの、ぼっこりしたコブのようなものが見えた気がした。オレがそういうと同時に、絶交していた彼が猛然と走り出した。
 シャツをはためかせてタクシーを追いかける巨体の男。彼は身長182センチで太めの肉体を持っていた。タクシーは次の次の赤信号で止まり、彼は追いついたと思ったら信号が青に変わってそのまま行ってしまった。オレも彼に釣られて走っていた。

 彼に追いついて何で追いかけたのか聞くと「気がついたら走っていた」と言った。
 手土産を渡しそびれてしまったので、TBSの近くにあるampmから番組宛てに宅急便で送ることにした。配送の伝票で、赤坂からの発送で、タクシーを追いかけた巨体の男がオレだと思われたら嫌だなあと思った。
 安藤さんを亀戸に送り、我々は朝までファミレスで時間をつぶした。