古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

出世しないことにはどうにもならない

 浅草キッドの水道橋博士の日記をたまに読みます。12月15日の日記では『すべらない話』に出演し、その打ち上げで松本人志さんに、それこそ『放送室』を第1回からコンプリートで聴いている話から始まって、10時半から朝4時まで根掘り葉掘り質問をしつづけたという記述があった。うらやましい!

 オレも一介のテレビ好きであり、著名人へのファンでもあり、そんなふうに話を目いっぱいさせていただきたい人は何人かおります。そこでは、一方的に憧れてるだけではできない、相手からも立場をそこそこ認めてもらえて初めて成立する会話もあろうと言うもので、そんな現場に立つことができる水道橋博士は本当に素晴らしく、うらやましい。うらやましくも素晴らしいのは、そこに至るだけの道筋を己の努力や実力で勝ち取る事ができた事実に対してもなのであります。

 光栄なことですが、ここ数年長年の地道な活動が実って、大手の出版社の忘年会などに出席させていただけるようになりました。こんなのはデビューして初めての年に講談社の忘年会に誘っていただいて、10年ぶりくらいだったんですよ。

 1年目はマンガ家がたくさん見れて嬉しいなあとわくわくして帰って来ました。東陽片岡先生がいらしたので挨拶せねば!と思って声を掛けたら山本直樹先生でした。オレは人を見分ける能力が著しく劣っているので、ぽっちゃりしてて、小柄で、坊主で、メガネという特徴の山本直樹先生と吉田戦車先生と東陽片岡先生の区別が苦手です。

 去年は友人のじぇんじぇんにもらった『まんが道』に感激したので、藤子不二夫A先生にサインをもらいました。その際、作品中で常にF先生を立てて、ご自身はお調子者でサボりがちに描くA先生の謙虚なところや、実際の作品を作中で実例として提示する言い訳を一切しない姿勢を言葉の限り絶賛しようと思っていたら、あっさり横から話しかけて来た女に先生を取られてしまいました。サインの日付を先生は2002年と書いておられ、ちょっと心配になりました。

 今年はちばてつや先生にサインをいただこうと『あしたのジョー』8巻を持参して会場に臨みました。会場のほぼ中心の重鎮席にちば先生はおられ、周りはA先生やグラサンのさいとうたかを先生、永井豪先生、などそうそうたる面子でした。石原まこちん先生が武論尊先生とお話しておられた。柏木ハルコ先生や井上則人さんに確認してセーター姿のちば先生に近づき、「ちば先生!」と話掛けると、先生はこっちに振り向き「オレ、違うよ」とおっしゃりました。斜め後ろからと横顔は完璧にちば先生だったのですが、正面は別人でした。詫びを申し上げて退散したのですが、一体誰だったんだろう。ちば先生はご欠席だったようでした。来年はもらえるかな。

 いろいろな著名な人とお会いする機会があるのですが、やっぱり準備をしてないとあんまり何話したらいいのかさっぱり思いつかないです。テレビの人はあんまり職種も違うのでなかなかお会いできないので、これから本当に尊敬するマンガ家の先生にはできるだけお話をじっくり聞けたらいいなとそれを楽しみに今後の人生を構成していきたいなと思いました。


特に目いっぱいお話を聞きたいマンガ家
杉作J太郎先生
奥浩哉先生
小林まこと先生
大島弓子先生
松本次郎先生