古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

PRIDE 33 second coming

 プライドアメリカ第2回大会をスカパーPPVで見ました。いつも高額な料金を払って録画して編集してDVDにダビングしても、見返しもせずその後何がどうだったのか跡形もなく忘れてしまうので、今回より試合の感想を記録する事とします。そう思って見ると、どう文章にしようかなといつもと違う神経を使って見るので見方が変わって面白かったです。試合結果を含みますので、これから試合を見ようという人は絶対に読まないで下さいね。

第1試合
ヨアキムハンセン対ジェイソンアイルランド
 男祭りで髪が伸びていたら誰だか分からず、普通の人みたいだと思っていたら青木選手に一本負けして以来のヨアキム選手でしたが、今回はいつものおっかないスキンヘッドで安心した。対するジェイソン選手はUFCで活躍していたけどトラックにはねられて以来の復帰戦との事でした。ヨアキム選手はいつもの元気がないというか動きが鈍いように見えた。正確で止まらないパンチの印象があったのだが、そういう場面が見られなかった。オレが別の選手と間違っているのかな。第2ラウンドの膝蹴りはすごかった。ジェイソン選手はローキックを効かせていた。お互いスタミナが相当なくなっているのかと思うと急に動きが良くなるのでプロはすごい。第3ラウンド三角締めからの変形腕ひしぎ十字固めヨアキム選手が勝った。試合は終始ヨアキム選手のペースで危なげなかった。終わってみれば打撃あり寝技ありのいい試合だった。

第2試合
フランクトリック対三崎和雄
 PRIDEアメリカ放送の解説をしているいうフランク選手の復帰戦。99年にPRIDE8に出たそうだが見たかどうかすら覚えてない。三崎選手は去年ウェルター級王者、グラバカ所属で菊田選手の弟子である。一本勝ちを見た記憶がなく、試合も風貌もいたって地味という印象。試合はマニアックな膠着気味なグランドの時間が長く途中で寝てしまった。ウェイトはフランク選手が50パウンド重いそうであったので三崎選手は気の毒だが、お互いエンターテイナーとしての自覚をもうちょっと意識して欲しいと思った。かと言って試合が面白くてもすぐ負ける選手では仕方がないので本当に難しいところである。特にアメリカ人なんて日本人よりこらえ性が無さそうなので、PRIDE人気に関わる大問題だ。お互い決め手がない以上せめて、立ち技の方が見てて面白いのでブレイクを早めてもいいのでは。それはもちろん寝技が多い判定試合でも緊張感あふれる面白い試合というのはあるけど、この試合はそれ程重みのあるものでないし、どっちかと言うと盛り上げて早めに終わってもらいたい試合だった。試合中上を多く取っていたフランク選手の判定勝ち。

第3試合
ジェームス・リー対トラビス・フュー
 中村和広選手の欠場で指名されたジェームス選手は右肩に「父」という刺青が気になる33歳。トラビス選手は試合の前から顔が少し腫れている26歳で刺青だらけ。トラック運転手のおじさんが、若手の運転手と酒場で喧嘩をしているような試合だった。ジェームス選手がジャブでトラビス選手を怯ませるとそのまま笠に掛かってパンチの連打でずぶずぶと沈むので、そのままフロントチョークで首を取って39秒一本勝ち。大味で面白い試合だった。おじさんの勝ち。

第4試合
アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ対ソクジュ
 ホジェリオ選手も膠着が多く、げんなりな印象。ソクジュ選手はアフリカで柔道を習い、今はダンヘンに弟子入りしているそうだ。アフリカではキリンなど野生動物と戦い「戦っていなくても人が殴られ血が出ているのを観るのは楽しいよ」と穏やかに語っていた。本当に恐ろしいヤバい人ってきっとこういう人なのではないだろうか。野生動物と戦うって大山倍達か。お互い今時珍しく刺青がひとつもなかった。強打でもなんでもなく、当たりも不完全なソクジュの左フックがホジェリオのあごに当たって一発KO。親指の付け根の手首に近い部分が当たっていたのにKO。あのディフェンスが上手なホジェリオ選手が大の字で倒れるなんてブッ魂消た。

第5試合
マックダンジグ桜井マッハ速人
 普通のお兄ちゃんにしか見えないダンジグ選手と凶暴な若者に道でボコボコにされた桜井選手(騒ぎを大きくしないためにわざと手出しをしなかったのだが、それにしてもガッカリなエピソード。だったらせめて走って逃げればいいのに)。ダンジグ選手は菜食主義でもあるそうで、その筋肉は大豆たんぱくだけで構成しているのだろうか。桜井選手は10月のアメリカ大会で試合が無かったから数百万円カジノですったそうで、その所持金にまずびっくり。若者にボコられたり、大金をすったり去年は散々じゃないか。今年は頑張って欲しい。試合はかなり桜井選手のペースでグランドにはあまり付き合わずスタンドを要求し、動きのある面白い試合だった。打撃では2〜3枚桜井選手が上手なようであった。ダンジグ選手はまじめな普通のお兄ちゃんだと思って好感を抱いていたら、グランドでトランクスがめくれ、変な家紋のようは刺青があってガッカリした。第2ラウンド、『あしたのジョー』のクロスカウンターのような構図で桜井選手がKO勝ち。ダンジグ選手のジャブにえげつない右フックを被せて打ち抜いた。天才的なセンスを感じる。

第6試合
セルゲイハリトーノフ対マイクルソー
 地上波NGの試合を連発していたハリトーノフ選手は負傷で負けて以来ではないだろうか、現役軍人。ルソー選手はフットボール出身(サップ以来か)で現役警察官。なぜか煽り映像なし。ハリトーノフ選手はまだ体調が万全ではないのか、スタミナ切れなのか、動きがひどく鈍かった。ちょっとぽっちゃりして見えたし、打撃にえげつなさがなかった。それともルソー選手が強いのか。しかしルソー選手は開始1分でもうスタミナがやばい雰囲気だった。グランドになると簡単にルソー選手が上になってサイドを取って、マウントまで取った。ハリトーノフ大丈夫かと思っていたらするすると下から十字で一本勝ちした。相手に決め手がないと判断してわざと攻めさせていたのだろうか。変な試合だった。

第7試合
マウリシオショーグン対アリスターオーフレイム
 ショーグン選手はミドル級トーナメント優勝。オーフレイム選手はベスト4でショーグン選手に負けたんだっけ。オレはオーフレイム選手に海外カジノサイトで賭けていて損した記憶がある。どっちも面白い試合をする選手だが、刺青が無いのと体がかっこいい分オーフレイム選手を応援して見ていたら、いい感じで進み今回は勝てるかと思ったら、ショーグン選手がすごいパウンド攻撃であっさり逆転KO。努力や根性もさることながらセンスがすごいんだろうね。オーフレイム選手また負けちゃった。

第8試合
五味隆典対ニックディアス
 いわずと知れたライト級王者五味選手対UFCの常連らしい柔術家のディアス選手。ディアス選手の方が身長で10センチくらい高そうで、階級は本当に合っていたのか。五味選手は1ラウンド中盤あたりからスタミナが切れているようで全然動けなくなった。怪我しているのだろうか。ガードの腕をあげるのも辛そうだった。それでもいいパンチでぐらつかせていた。2ラウンドは更に五味選手の動きの悪さが深刻で、ディアス選手の顔面の出血がすごく、このまま試合が終わって欲しいと思っていたら、衝撃的なフットチョークでディアス選手が一本勝ち。ディアス選手は顔面の2箇所を派手に切っているのに、動きが鈍ることなく最後まで攻めていた。すごい根性だった。ディアスは打撃も上手でグラップラー対ストライカーという図式ではないようであったが、寝技好きの人にはたまらない試合だったのではないだろうか。

第9試合
ヴァンダレイ・シウバダン・ヘンダーソン
 ミドル級タイトルマッチ。シウバ選手は無差別級トーナメントでミルコに側頭部を蹴り割られて以来ではなかったか。ダンヘン選手は三崎選手にウェルター級GP決勝で判定負けしたような記憶がある(違うかもしれない)。シウバ選手の戦慄の膝があまり出なかったのはダンヘン選手が封じていたのか。どっちも一歩も引かないすごい攻防だった割りに、水を差すようで申し訳ないのだが印象に残らない試合でもあったような気もしないでもない。何が足りないのかというと、シウバだったらランペイジジャクソンと戦った時のような大逆転劇も過去にあって、今回はちょっとお腹が締まってない感もあり、それに伴いワンダーな感じがなかった。ダンヘンがフックを打ち抜いてのKO勝ち。タイトル移動。時代の節目となっているのかもしれない。


 PRIDEアメリカ大会は長い休憩もなく、編集しなくてもDVD1枚に入る長さで実によかった。終わってみるといい試合ばかりだった。以上、素人が観たままに感じた普通の感想文でした。次は3月のK-1とHERO'Sが楽しみです。