古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

『ザ・漫画家バンド大戦』終わりました

 三本美治さん主催の、アックスで主にマンガを描いているマンガ家でバンドをやっている人たちでのバンドイベントに出させていただきました。オレはフィーバーズというバンドでの演奏と紙芝居をやりました。見に来てくださった皆さん、どうもありがとうございました!

 吉祥寺のスターパインズカフェという会場で、カフェなんて言うからてっきり喫茶店みたいなところのちょっとしたステージがある施設かと思っていたら、名前の上にマンダラ5とあって、あの有名なマンダラのチェーン店でした。モニターがあって、リハーサルがあって、こんなの何年ぶりだろうと思いました。PAがあったりなかったり、あっても演奏の直前にちょっと音を確認するようなイベントばっかりだったのですっかり嬉しくなりました。でも借りるの相当掛かりそうで、果たして赤字にならなかったのか心配です。

 演奏はいつもの通りで、非常に迷惑な感じでうるさく騒いでオレはとてもすっきりしました。いつもの通りいくらかメタメタなところがあって、ギターの小沢くんの、ストラップの引っ掛ける金具が抜けたのとオレのチューニングがおかしくなったくらいで、MCは下らないことをあれこれ言えてよかったです。

 それより問題は紙芝居でした。

 三本さんが主催された『紙-1グランプリ』というイベントを見て、それでオレにもやりませんかと言っていただいておりました。今年も仕事はあと、あれとこれとあれかなー余裕あるな、なんて思っていて、上京する前の前の日に突然紙芝居の支度をしてなかった事を思い出して慌ててシナリオを書きました。

 絵は上京して昼間の空いている時間に描くしかないと思って、阿佐ヶ谷のライブの前にマクドナルドにスケッチブックとペンを買って行って描きました。本気で焦ると、人に見られていようが全く気にならないので驚きました。

 そうやって慌てて作って、阿佐ヶ谷の我無双イベントでやらせていただいたところ、シナリオでは「彼は〜だ」「それから〜した」という文体で書いていたのに、いざお客さんの前に行くと、ですます調で喋ってしまい、ぐずぐずになってしまいました。それでもそこそこ受けていたので、ちょっと安心しました。この日は三本さんも紙芝居をやる予定だったのに、持ってくるのを忘れてエア紙芝居になっておりました。

 我無双は20人くらいで調度いいような広さだったのに、スターパインズカフェは100人以上収容できるスペースで、B4のスケッチブックに描いたせいで絵があまりに小さくて「小さい!」「ちぃっちぇえ!」という声が響いておりました。また、シナリオをあんまり見ると文体で混乱するのであまり見ないで喋ろうと心がけたところ、やたらと詰まったりまるっきり普通に喋る事ができず、ぐずぐずもいいところでした。オレに人前で考えながら喋る能力はない。それに、他の人は大きな紙に色をつけて、絵としてきちんとしたものを完成させているのに、オレと来たら、黒い線だけ。しかも空間が気になって吹き出しにセリフまで描いているもんだから、絵を見せるとオチが言う前に分かってしまうという、紙芝居としてあるまじき状態だったわけです。もっときちんと時間を掛けて色をつけて、吹き出しやセリフなんか描かないで、紙の裏に物語を書いてそれを読めるようにしておかないとダメですよね。本当に申し訳ない。

 イベントは他の皆さんのサービス精神溢れる演奏やMCや紙芝居が見れて、すごく楽しいイベントだったんじゃないでしょうか。

 トカレフズ(花くまゆうさくさん)は、トカレフを作る工場で働いている仲間で結成したバンド。古井戸や少年ナイフをキュートに演奏しておりました。花くまさんの、「俺達はアックスがないと成立しないから青林工藝舎を大切にしてください」というようなMCにじんと来ました。女の子のツインボーカルすごくいい!

 余剰人員(三本さん、花くまさん)はハルメンズのカバーなどしておりました。三本さんがすごく難しいベースラインを弾きこなしていて、オレはコピーやカバーを諦めた男なので、びっくりしました。ちょっとやそっとの練習では弾けません。ギターの三本さんの中学からの同級生の人もバカテクです。

 アーバンギャルズ(河合克夫さん)はなんとブラジャー丸出しのダンサーが三人もいるというインディーバンドでは有り得ないメンバー構成です。河合さんもギターがすごく上手。面白い小ネタもあって、演劇っぽいです。打ち上げで聞いたらお芝居やっている人たちでした。

 漏電銀座(逆柱いみりさん)は逆柱さんが静岡在住で、うちらと同じく、リーダーが東京にいないバンドでした。有頂天やあの時代のニューウェーブを完全に自分のものにして曲を作っておられ、すごい。ちょっと不思議で激しくセンチメンタルないい曲でした。

 それから堀道広さんの紙芝居が抜群に面白く本当にびっくりしました。