古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

『伝説巨神イデオン』

 誤解を恐れずに言えば大体の場合、物語作家が神話を語り始めたら、手詰まりだったんだなと思って間違いないと思っております。誰が好き好んで神や世界の成り立ちを語りたいだろうか。そこは、収集がつかなくなって神や世界の成り立ちに帰結させてしまえばお茶が濁せるのではないかという作家の企てだと思うので、皆さんもそう判断していただいていいかと思います。なので大体の神話オチにはオレはガッカリします。一介の兵士だった人物がなぜか世界の成り立ちの中心人物であるなんて話は、それまでの渋くてかっこいい戦闘描写やメカとあまりに食い合わせが悪くて誠に残念です。

 先日新潟で開催された『BSアニメ夜話』の公開収録で『イデオン』について語られた、スタッフの皆さんや岡田斗司夫さんの話を聞いているうちに『イデオン』は、意図して神話を描いていた事に改めて気づいたわけです。そこが失敗の挙句神話にした作品と格の違うところです。岡田斗司夫さんは『2001年宇宙の旅』に対する富野監督の回答であるとおっしゃっておりました。詳しくは3月20日の放送をぜひお楽しみに!

 収録は1時間番組なのに2時間半も行われて、しかもすごく面白く充実した内容だったのでぐったり疲れました。朝生みたいに放送した方がいいと思います。

 それから『28週後…』をまた見に行って来ました。2回も日を空けずに見るといろいろ気づくので以下ネタばれであれこれ書きます。これから見ようって人は見ないでね。

28週後…』で気づいた事

・軍の感染封じ込めの作戦がお粗末すぎる
 地下駐車場に住民を一まとめにするなんてダメでしょう。外出禁止令を発令して、部屋ごとに検査して回って、検問所を設けて感染者を見つけたらその場で射殺してってやった方が全然いいと思います。パニックを敢えて起こしているようなものです。

・業務連絡が杜撰
 妻が感染している事は真っ先に旦那に教えないとダメじゃないですか。

・姉弟の罪深さ
 弟は、自分が感染している自覚がちょっとはあるだろうからそこは、ちゃんと正直に行動して欲しいです。

 だからと言って面白くなかったってわけではないんですよ。軽く充分年間ベストテンレベルです。すごく面白かったので、尚のこと、これらをクリアしてかつ、面白いドラマが構成されていたらもっとすごい傑作になるんじゃないかと欲張ってしまうわけです。オレの想像を軽く上回って欲しいです。オレは納得しながらビックリしたいんです。構成としてパニックや感染拡大を持って来たいから、軍の不手際って事や旦那への連絡の不備って事にしようと逆算している感じが気になりました。