古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

大阪に行って来ました

 『漫画家バンド大戦』大阪開催、たくさんの皆様のご来場どうもありがとうございました。『ピンクニップル』の先行発売もほぼ完売に近いくらいお買い上げいただき誠にありがとうございます。売れ残ったら大変だと、オレも販売で頑張っていたのですが、河合克夫さんのバンドで一緒にいらしたしまおまほさんも声を張って販売を手伝ってくださって本当にありがとうございました。

 去年『仁義の墓場』『マル秘色情めす市場』を見てから俄然大阪に対する関心が高まり、毎週『そこまで言って委員会』も見てますし、『ミヤネ屋』では毎日のように橋下知事の報道がなされてもいて、オレと同じちば賞出身の華倫変さんの出身地、せいぜい雰囲気だけでもそんな興味を満たす事ができてとても楽しい出張でした。

 新潟から飛行機を使うと、離陸して55分で到着し、あまりに呆気ないので遠くに出かけた気がしませんでした。JALの早割りという制度でチケットを買うと往復で2万7千円でした。デフレのお陰ですか、ありがたいことです。ぜひまた行きたいです。

 イベントの翌日は新刊を携えて書店回りをしました。大阪は思った以上に大都会で、青林工藝舎の本を扱って下さっている書店がたくさんありました。アメリカ村ジュンク堂さん、ビレッジヴァンガードさん、西梅田ジュンク堂さんなどなど色紙と先行発売分の新刊を5冊ずつ置かせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回うちらのバンドは練習にメンバーがそろわず、ぶっつけ本番のような状態で、オレはところどころリズムがグチャグチャになって、どうにも戻らなくて大変だったりもしたのですが、なにしろもう十何年やってますからね、そんなにいつもと変わらない手ごたえでした。花くまさんのバンドは相当厳しい練習を重ねたのでしょうか、12月より格段にお上手になられていて素晴らしかったです。三本さんも難しいベースラインをドラムなしで演奏してます。それに比べてオレなんて単純極まりない演奏すら、そもそもまともに演奏できた事があるかどうかすらいぶかしいです。よく言えば風通しのいい構成、悪く言えば適当が許される構成で曲を組み立てているので、こんな演奏付き合ってくれる、丸目(ベース)とたかべえ(ドラム)には感謝せずにはいられません。河合克夫さんの『お風呂あがりーズ』はオレの大好きなちあきなおみの『喝采』をしまおさんが浪々と歌い上げていました。大阪のロックバンド、デシンセイの皆さんと一緒に聞いてました。すごくよかったです。

 ライブの翌日は新世界やジャンジャン横丁、あいりん地区、西成などなど日本最大のスラムと言われる地域を散歩しました。ジャンジャン横丁の道ではおじさんがお札を握りしめたまま倒れて、立てなくなっていました。なんという荒みよう!と思ってよく見たら顔はニコニコしていてなんだか変でした。串かつはとてもおいしくて安く、羽もの専門のパチンコ屋やスマートボールで千円くらいでだらだら遊べてなんだか癒される街でした。観光でちょっと覗いただけで決め付けるのもよくないですが、ブブカや裏モノジャパン的なネガティブな目線で見れば悲惨な街かもしれないですが、『じゃりんこチエ』みたいな裕福じゃなくてもたくましくエネルギッシュな生活感を強く感じました。同じく悲惨な問題や困難を抱えていても東京ではもっと深刻な気分になりそうなものなのに、「あかんわ〜」なんて言いながら笑っていそうな感じがありました。そういうのは新潟にも全くないです。それは間違いなく強さだと思います。オレはそんな強さに憧れます。ホームレスの皆さんも楽しそうな印象がありました。悪く言えばぬるま湯で向上心を失いそうな気もしますが、いつか住んでみたいです。オレなんか普段から何の気負いもないですが、街からもそんな気負いのなさをびんびん感じます。失礼な事を言っているつもりはないですが、失礼ですか?済みません。

 不登校の生徒を集めて修学旅行に行ったらいいのではないでしょうか。プレッシャーから開放されて精神的に伸びやかになれそうに思います。そんな事を考えていたら、難波駅の近くで新発田の中学生が鍋物の出店をしてました。新発田の歴史や蕗谷虹児などを紹介するボードを掲げていました。オレが大阪を気に入っているから新潟を忘れるなと戒めようと言うのでしょうか。難波じゃなくて天王寺でやればいいのにと思いました。

 西成地区の交番は以前暴動があったせいか、窓やドアのガラスに鉄の網が張られていて、すげえなんて言って写真を撮っていたら、前の日イベントに来てくださった読者さんが自転車が通りかかりびっくりしました。

 夜難波に飲みに出かけたら同じカウンターに中川家の剛さんがトロサーモンの人と浮かない雰囲気で飲んでました。「TBSラジオJUNK2『中川家ネコ電』最高でした!」と話しかけたかったのですが、気後れして遠慮しました。翌日、お昼をくいだおれで食べようと歩いていたらホンジャマカの石塚さんがロケをしていました。そんなに大きくなくて意外でした。

 デシンセイのムッケンさんがイベントに誘ってくださったので、なんとか仕事を片付けて年内にもう一回くらい大阪行けるようにしたいです。その際はまたどうぞよろしくお願いいたします!!