古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

カナザワ映画祭1

仕事のノルマを片付けて土曜日は毎週トレーニングの日なのでそれもやって、こんなに疲れて大丈夫かなと思いながら金沢に向いました。朝の5時でした。高速道路でだんだん夜が朝になって完全に朝になるのがなんだか面白かったです。サービスエリアで女の足くらいの大きさの魚の白身フライを買って食べた。白身魚のフライが好きなんですよ。ところがでもあんまりでかくて半分くらい食べて中身の魚だけ食べようと分解したら魚は衣の五分の1くらいの大きさでした。店のおじさんがこんなに大きいのにこんなに安いと笑顔で言っていたけどそのカラクリがこれだったとはと残念な気持ちになりました。確かに200円だったんですけどね!

 それで特に問題もなく無事金沢に着いた。去年来て格安のコインパークをナビにマークしていたのでそれに従って行くと月極駐車場になっていました。別のところに24時間で千円という格安駐車場があったのでそこにとめました。

 『天安門』を10時から21世紀美術館で見ました。三時間もあるけど大丈夫かとちょっと億劫だったけど、まあオレは白身魚のフライ以上に暴動が好きですからね、暴動には一回でいいから参加して「ああ怖かった」なんて言ってみたいと思っています。天安門事件がどんな経緯で発生したのかをとても丹念にレポートしている映画でした。事件になる前から天安門広場では学生がハンガーストライキしてその後ずっと座り込みして、ゴルバチョフ書記長の来訪を別の場所に移させたりとけっこうな頑張りをしていたんですね。すっかり忘れてました。何千人か何万人かの学生が広場に寝泊りしていて壮大なゴミ屋敷みたいな感じにもなっていて、トイレがいったいどう処理されていたのかとても気になりました。そういうのもあったのかもしれないですが、何しろひたすら関係者にインタビューをしているのが3時間に及んでいて字幕を見ているのが眠くて眠くて、途中から頭が前後にブランブランしていました。ボーリングの玉を落としては拾うみたいな感じで本当につらかったです。

 いつも見るユナイテッドの座席がすばらしくて、あそこだったらさぞスヤスヤ眠れただろうと思うんですが、21世紀美術館の座席は背もたれが肩甲骨の下くらいまでしかないようなのなので、厳しいわけです。

 ダメだ、こんなに眠くてはどうにもならない次の『フィッツカラルド』は諦めてどこかで昼寝しようと思ったんですが、映画が終った途端まったく眠くなくなったので見ることにしました。『フィッツカラルド』はこの映画祭で最も見たかったのの1本なんですよね。映画はこれまた2時間半の大作で、冒頭主人公がアマゾンの町にオペラを見るために現れます。なんとボートで2日掛けてやって来たから劇場に入れてくれというわけです。途中でエンジンが壊れて漕いで来たと言って手が血だらけなんですよ。オレは新潟から金沢に来るだけでも億劫なのに、この男はなんという情熱を持っているんだ、しかもオペラはもう始まっているのに見れて良かったと喜んでいます。また、オペラハウスをジャングルの奥地に作ろうと資金を調達するために、パーティでオペラのレコードを蓄音機で大音量で掛けると、顰蹙を買って会場からつまみ出されるという、DJをやって受けなかった経験のある人には見につまされる場面もありました。ドラマはオペラハウスをジャングルの奥に作る場面が山場にあるとてっきり思っていたら、そのための商売で、原住民を奴隷扱いで山を切り開いて巨大な船を山を越えさせるというのがクライマックスでした。それが迫力のあるすごい場面なんですが、なにしろ船がゆっくりゆっくり山をにじり登っていくというタルい描写であったため、やっぱり眠くて頭がガクンガクンしてました。そういうわけでこっちもあんまりしっかり見たというわけではなかったです。

 こんな事なら、金沢に到着してまず昼寝するんだった。それか、うちで寝てから来ればよかった。そもそも一週間で一番疲れるトレーニングの直後に来るのが大間違いだ。寝ないで来るのも大間違いだ。去年も確かこんなコンディションで来て失敗したんだった。

 美術館の広場で売っていたケバブを食べた。とてもおいしかった。

 マンガ喫茶で昼寝した。寝過ごして『日本暗殺秘録』を見逃しました。マクドでモーニングや映画秘法を読んでお腹を空かせて王将で炒飯と餃子を食べました。あまりにおいしくてビックリしました。金沢は王将があっていいなあと思いました。今日はずっと一人で行動していたんですが、やっぱり友達と来たほうが面白いですね。