古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

映画00年代ベスト10検討中

 来月号の映画秘宝は「00年代ベスト10」の特集があって、アンケートに答えさせていただくのですが、これが、考え始めると具合が悪くなるほど悩ましい。ぼんやり考えていた時は『ゴーストワールド』が1位でいいんじゃないかな、男子が主人公じゃないのは悔しいけど仕方がない、と思っていたんだけど、改めて見返すと若干自分の中で高い位置に置きすぎていただろうかとの感じもありました。本当に素晴らしい映画なんだけど、地味っていうか、そこが良さでもあるんだけど物足りなさも感じました。

 そういうわけで『殺人の追憶』『トゥモローワールド』『セルラー』『パンズラビリンス』などなど見返しているのですが、全く時間が足りません。なぜなら今日が締め切りだから!亀田の試合なんて見ている場合じゃなかった!

 そうは言っても大傑作映画を立て続けに見るというのはあまりに贅沢で、うっすら背徳的な気分すらします。『セルラー』なんて、激烈に面白かった印象が強く残っているだけでほぼすっかり忘れてしまっていて、こういう場合は見返すとガッカリする事が多いんですよ。ところが、改めて見ても、強烈に面白いストーリーとサスペンス演出にすっかり我を忘れてのめりこみました。でもこれを1位に押していいのかと言えばちょっと問題が違うんですよ。オレが押す理由が見当たらない。確かにすごく面白いし、献身や勇気が描かれていて感動もするんだけど、オレが押さなければいけない理由があるとすれば、マイナーな立ち位置にあるからとか、そのくらいしか見当たらないんです。『マイアミブルース』はオレが押さなければならない感じがビンビンするんだけど、『セルラー』はメジャーでさえあれば、誰がいつどんな状況で見ても絶対面白いので、みんな見た方がいいですよ。簡潔に言えば、主人公がアメフトやってそうな感じでボンクラ度があんまり高くないって事ですが、5位までには絶対入れます。年間だったら全然1位に入れてもいいと思います。

 2回目に見たら案外そうでもなかったという映画もあるわけじゃないですか。『シックスセンス』はオチを知った上で見ているとさっぱり面白くなかったです。でもだからと言って作品の評価を下げるというのは間違いだと思うんですよ。そのさじ加減が難しい。『グエムル』や『オールドボーイ』も2回目に見たら1回目ほど面白くなかったです。それは、オレが高い位置におきすぎたというのも原因だと思います。また『ウォッチメン』なんて1回目は何がなにやら意味が分からなかったです。そういうのが難しい。

 そういうわけで全部見返すことができない歯がゆさはあるのですが、自信を持ってお勧めできる映画を10本選びたいと思います!

●大予想ゼロ年代ベストテン
1位 ダークナイト
2位 キルビル
3位 ロードオブザリング
4位 アポカリプト
5位 トゥモローワールド
6位 ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
7位 イングロリアス・バスターズ
8位 殺人の追憶
9位 パンズラビリンス
10位少林サッカー

 これはオレの予想じゃないですよ。前半の年代のは忘れている人が多いので少ないと思うんですよね。12月21日の発売をお楽しみに!