古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

正月に友達が勧めてくれた映画

 一緒に映画見たり、自主映画作ったりする友達3人と正月に新年会をしたんですが、1本ずつ映画を勧め合おうとオレが提案して、オレが勧めたのは大島渚の『愛のコリーダ』でした。ルールは、本当に面白いと自信を持って言える映画で、他の人が見ていないもので、Eくんは『天才マックスの世界』、Mくんは『幸福』、Uくんは『ジャーマン+雨』でした。それで、オレはその映画をちょっとずつ見て見終わりました。それで、勧めてくれた人にあれこれ感想を伝えているんだけど、他の連中は他の人が勧めた映画をまるで見ていない。寂しいじゃないか。『愛のコリーダ』を見ていなければ、他の人が勧めたのも見ていない。オレが見る本数が異常に膨れ上がっているし、時間もあるからだけどまあ、残念だよ。ただ、『愛のコリーダ』はDVDを入荷しているレンタル店がオレの知っている限り全くないから、オレが悪いかな。罪滅ぼしで大島渚ボックス買ったから今度貸すよ。『マックス、モン・アムール』は見たかったらまあいいけど、でもやっぱり高い!

・『天才マックスの世界』(★★★)
 Eくんは30代のフリーターで実家暮らし、音楽にも詳しい。ウェス・アンダーソは、オレはすごく嫌いで「え〜」って言ったんだけどこれは面白いから大丈夫と言われて見た。『ダージリン急行』なんかよりは断然面白かったけど、おきれいな映像や美術や演出が窮屈でやっぱり苦手だなあと思った。大人が子供とムキになってケンカしているのは面白かった。Uくんが前に勧めてくれた『ヴァージンスーサイズ』は超面白かった。

・『幸福』(★★★★★)
 Mくんはアクション映画ならなんでも見ていると言っても過言ではない20代のフリーターでマンガの専門学校卒で一人暮らし、ビデオ1の棚には店員より詳しい。オレが探しているDVDを言うと勝手に面出ししておいてくれるのだ。市川昆監督の刑事映画で、刑事の水谷豊が妻に逃げられて子供とアパートで暮らしている。子供が健気でまあ可愛くて泣きそうになった。高度成長期の激烈な東京が舞台となっていて、年寄りや貧乏人の居場所が小さくなっているような感じが切なかった。犯人を追いかける場面がとても印象的でよかった。Mくんはでも大体なんでも面白いと言うので、最近は100点満点で何点か聴くようにしている。

・『ジャーマン+雨』(★★★★)
 Uくんは30代の公務員で、東京からのUターンで新潟で暮らしている。去年ロッキングオンで投稿した文章が掲載されていた。この映画は頭のおかしいデブでブスな女が、歌手になるためにオーディションを受けたり、子供と縦笛のバンド?みたいなのをやったりと、変な映画だった。主人公の女が、滅茶苦茶で面白いんだけど、ガッツがあってよかった。ブスに厳しい映画だなと思ったら女の人が監督だった。なんだかすごい映画で圧倒されて、元気がでるかな。Uくんはこれまで『ハッスル&フロウ』、『ミス・リトル・サンシャイン』といった映画を勧めてくれて、どれもこれもとても面白かった。