古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

都市と人口

 新潟で何やってもあんまり盛り上がる事がない、特にサブカルやインディペンデントで何かイベントをやろうとしても集客があんまり見込めず儲けが出ないので単発で終わるとか赤字でも頑張るとかそんな事態がしばしばです。田舎だからしょうがないのかと考えていたけど、そもそもなぜ田舎なのかというと東京から距離があるからではなく、人口が少ないから田舎なのではないかとふと思い至りました。人がいなくて寂しいから商売もさっぱりで文化もあんまり盛り上がらない。

 そう思って人口統計を調べてみたところ、新潟市は2010年度で81万人で、東京の特別区部の810万人の10分の1でした。世田谷区とほぼ同じ人口です。新潟の81万人というのもかなりインチキで、平成の大合併ですごい範囲の町や村や市を統合してやっとのことでこの人口なんですよ。東京の特別区部と言っても、文化圏というか、ちょっと電車に乗れば新宿に行ける範囲とかで考えるともっともっと人口があるわけです。軽く1千万以上です。

 雑に考えて、新潟で一人の集客が、東京では15〜20人くらいと考えて間違いじゃないように思います。そのくらいの規模だと、外タレが来てもすぐ満員になるし、プロ野球の球団経営もそんなに難しくないし、単館の映画上映なんかでも軽く黒字にできるんじゃないかな。テレビ局やラジオ局も増やせます。

 オレにも実感があります。新潟で上映会だとかサイン会をやってもほんの数人の集客ですよ。5人とか7人とかそんなもんですが、こんなオレでも『チェリーボーイズ』を出版した時にロフトプラスワンでイベントをした時満員になったことあります。びっくりしました。新潟で5人集めるのは東京で100人集めるのと一緒!なんてね、それはちょっと大げさかな。

 何年か前に、ときめきハイスクールというアイドル曲のDJイベントが新潟にありました。新潟で開催しているのにお客さんの半分以上が東京から来ていて、そのうち東京で開催していましたもんね。そりゃあそうだよなと思いました。

 実際、名古屋は221万人、札幌は188万人、仙台は100万人もの人口があって、地下鉄もあります。新潟の80万人はスカスカだから地下鉄を通しても赤字だろうし、バスですら最近は大変みたいです。人口が多いときっと商売もやりやすくなるから、会社も増えて雇用も増えて優秀な人が東京に行かなくても済むようになって、文化も豊かになって、更に人が集まるようになります。そうなったらそうなったで、家賃が高くなるとか人ごみが鬱陶しいとか近隣の人とのトラブルとか、そういうのが嫌で新潟に住んでいるのに本末転倒だ。人口減少社会でこんな事心配しても意味ないですが。

 そこまでじゃなくても、今81万人だから、120万人くらいで、この広さだったらきっとちょうどいい感じなんじゃないかな。大阪クラスになると息苦しくなるけど、札幌や名古屋なんてちょうどいいスカスカ感と、街の規模もすげえって思います。

 こんな事をグズグズと考えてみたのですが、どうすれば人口が増えるかとか全く何の方策も思いつかない。過疎の村で、若夫婦が住んでくれたらお金をくれるというのがあるけど、そういうのすればいいのかな。