古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

聖子ちゃんは超いい

 人々が浮かれ騒いでいるとむしろ孤独を感じてとんでもない事件でも起こればいいのにと思う、学校なんて自信で潰れてしまえばいい、ジャイアンツが負けると嬉しい、そんな傾向の子供だったので松田聖子ちゃんの全盛期に中高生だったのに全然興味を持たずに過ごしておりました。先日、NHKで放送された松本隆さんの特集番組でマッチと聖子ちゃんを中心にこれまでの作品を振り返っていた。綾瀬はるかちゃんの『赤いスイートピー』のレコーディングが番宣で流れてて、それを目当てに見たのですが、改めて松本隆さんの詩の内容に触れる機会となりました。これが、本当に素晴らしかったんですよ。心にじわじわと染み入るような繊細な表現や、ちょっとシュールなかっこいい表現だったりで、オレの目がいかに節穴だったのか痛感しました。

 そんなヒネクレ者のオレでも当時のヒット曲の浸透力は強烈で全部大体口ずさむ事ができるので、自分でもビックリしました。早速聖子ちゃんのベスト盤を蔦屋で借りて歌詞カードを見ながら聴くと、脳から気持ちのいい汁がドバドバ出て止まらないんですよ。声がまあ伸びやかで空を突き抜けるような気持ちよさ!当時の中高生はこんな気持ちのいい思いを味わっていたのかよと思いました。素直じゃない人はきっと相当損していると思います。サッカーでも日本代表や地元のアルビレックスを応援した方が絶対楽しいはず。


 聖子ちゃんのベスト盤はそれぞれ曲目に微妙に抜けがあるので、シングルコレクション的なのを出して欲しい。

 番組で、ユーミンが出て来て、聖子ちゃんの歌の作曲を依頼された時に「なんでライバルの歌を作らないといけないの」と反発して、結局松本さんに頼まれて、せめてもの抵抗で呉田軽穂という変名で作曲されていたそうです。そんなユーミンの作った曲が名曲ばかりで、ライバルとしての意地を感じさせるのですが、そもそもユーミンは聖子ちゃんのライバル?というのが非常に腑に落ちなかった。どう思ってもご本人の自由です。

『Rock'n Rouge』

 2番の途中で歌詞を間違えるのが、かわいすぎる。歌の内容は、スポーツカーとか紙にグリースとかでイケてる風の男がデートに誘うけど、いざ告白となるとロレツが回らなくなったりなど精一杯見栄を張っているのが彼女に丸バレで童貞丸出しという内容でした。本当に持てる男は告白なんかしないでしちゃうんだよ。なんという初々しいさ。

渚のバルコニー

 歌の前のトークがぶりっ子全開で、これは批判されても仕方がないけど、歌っている時のかわいらしさは超絶!中高生男子が発狂するのも当然だ。「うわー」と声が出てしまう。

赤いスイートピー

 曲も歌詞も歌も演奏も、なにもかも夢のようにきれいな歌だよね。

天国のキッス

 作曲は細野晴臣さん。この動画を見るとあややは聖子ちゃんを超えることができなかったかもしれない。歌の内容は、お調子者の女の子が泳げない振りをして彼の気を引こうとしたら溺れてしまい、その死の一瞬前に見た、あまりに美しくハッピーな幻想とも読み取れるので、本当は怖い歌なのかも。でもこんな感じなら死んでもいいかなと思ってしまう。


 聖子ちゃんがあまりに素晴らしかったのでマッチも聴かないとな。