古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

池袋マンガ教室第6期始まります

 度々の宣伝で申し訳ありません。池袋マンガ教室が4月よりまた改まって第6期の開催となります。これまで、漫画の発想を中心に、ネタ出しのディスカッションや、宿題をやっていただいておりました。ネームまでの宿題でも、中にはペン入れまでして提出してくださる人もいて、実際漫画は描くのが猛烈に面倒くさいので、そこまでやる人はさぞ大変だろうとこちらとしても気づかいのようなものがありました。

 

・池袋コミュニティカレッジ 池袋マンガ教室

4月13日(日)14時より

毎月第2・4日曜日

前期6回、後期6回で9月まで続きます

 

  しかし、文章を書いたり、動画を撮影したり、イラストを描いたりといった日常の表現と同じように漫画を描くなんてことがあってもいいのかな~と思うようになりました。なので完成原稿までやれる人はどんどんやるといいと思います。オレは漫画を商売として始めたので、全くそんな気分にはなったことがないのですが、商売として成立してなかったら果たしてこんなに漫画を描いていたかどうか、その場合の参考になるのがオレの自主映画活動です。自主映画活動も軽くPFFで受賞してその後漫画の傍ら映画監督として活動するのが目的で始めました。ところが、PFF受賞どころか箸にも棒にも掛かりません。それでやめたかというと、今もそれこそ10年以上に渡って趣味として製作をつづけています。無数のショートムービーが溜まっていて、こんなの誰が見るのか意味が分かりません。ここまで来ると日常的な表現活動と言えるのではないでしょうか。もちろん、アップリンクで特集上映していただいたりとか、夢がかなっています。だからと言って商売になっているわけでは全くありません。

 

 映画はちょっとしたお祭り感覚があります。普段会わない人に会って、わーってやるので、変な力が出たりテンションが高まったりします。しかし漫画はひたすら家でコツコツやる作業で、そんな違いはあります。それで向き不向きもあります。向き不向きは何にもでありますよね。なので、何にでもある向き不向きで、たまたま漫画に向いている人がいたら、日常の表現で漫画を選んだらいいと思います。

 

 そして、語弊があるかもしれないですが、漫画を描く人であんまり変な人会った事ないんですよね。漫画は完成させるまでかなり面倒な思いをしないといけないので、変なインチキっぽい人は完成させず、スタートラインに立つことすらできずに去っていくんじゃないかな。自主映画なんか、たまたま人を集めるのが得意な人が監督として現れて最大瞬間風速をビュービュー吹かせていつの間にか去っていくとか、フリーペーパーとか、バンドの特にボーカルの人とか、軽いノリで初めてすぐいなくなるなんてことよくあります。枡野浩一さんに聞いたら、短歌はそんな人だらけだとおっしゃっていました。

 

 そうやって完成させるのが面倒な分、雑誌ごとに新人を常に募集していて、そして面白かったらたいてい受賞できます。デビューもそんなに面倒ではありません。ヒットするしないは、オレもしたことがない一人ですが、別問題として、「あの人面白いのに全然雑誌載せてもらえないね」なんてケースは聴いたことがありません。継続できずに辞める人もいるし、雑誌には枠があるので連載させてもらえない場合もあります。しかし、うまいこと行けばほとんど元手も掛からず億万長者にもなれる、とても夢のある商売です。

 

 池袋マンガ教室は、そこまでの志ではなく、OLさんがブログで四コマ漫画を描くくらいのを想定していたんですが、実際デビューしたり、連載作家になる人も現れて逆に面喰っております。村田貢司くんは5月から月刊スピリッツで連載が始まりますよ。羨ましい!

 

 2年半続けて分かったのですが、漫画にはやっぱり慣れが必要で、慣れるまではやっぱり描くのが大変です。池袋マンガ教室では発想の練習が中心ですが、宿題が毎回2本ずつありますので、結果的に漫画の表現に慣れることができます。実際慣れるかどうかは分からないですが、とにかく数をこなさないと慣れるも何もないので、下手でもなんでも一回描いてみた方がいいんですよ。描けば何がよくないのかも分かるし、次それを活かすこともできます。失敗からどんどん学びましょう。

 

 漫画は、やることがとても多いので、慣れないと慣れてないことでまた面倒が増えるわけじゃないですか。発想を形に、気軽にできれば、それだけ発想の方にも力を入れることができます。

 

 漫画は描くのが面倒なので、せっかく描くなら面白い発想の元にネームを起こしてそれを原稿にした方がいいと思います。また、ネームに慣れていれば表現を楽にこなすことができます。20ページで120~140コマくらいで表現するんですが、それをいちいち苦労して描いていたらゲロ吐きますよ。軽い気持ちでこなせないとやってられない。そのためには慣れが必要だと思います。そして、嫌にならずモチベーションを持ち続けるためにも楽しくやれるようにすることも必要だと思います。そんな事を池袋マンガ教室では身に着けられるようなプログラムを考えております。