古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

絶交していた友達と会った その1

 彼とは、2000年からの付き合いで元はマンガのアシスタントに来てもらっていた。伊集院さんのラジオのリスナー仲間というか、オレが聞き始めた頃に知り合って録音テープを貸してもらい、録音の手間賃も含めて時給を50円高く設定していた。しかしアシスタントとしては優秀ではなく、むしろ不器用で厄介な仕事は全然任せられず、追い込みで話し相手になってもらう事に比重を置いていた。マンガ専門学校に通っていた人たちと数名と一緒に来たのだが、彼以外ほとんど口を聞く人がいなかったのだ。年は10も下で、会った当時は二十歳だった。
 そんな彼とは一緒に東京に行ったり、彼の地元の祭りの見学に行ったりもするような仲になった。

 彼は映画が大好きでDVDをとにかく買い漁っていた。他の用件でお金を使うことをとにかくひどく渋る男であった。
 年も年なので、一緒にいれば食事くらいはおごっていたのだが、彼にとっていつしかそれは当たり前のことになっているようであった。
 一緒に東京に行った際には、オレの車でオレの運転で行ったのであるが、精算の際、通常の対等な立場であれば、高速代とガソリン代で片道1万くらいで、普通に考えるとちょっと多めに出すのがマナーである。彼が精算の際告げた言葉は「じゃあ3千円でいいですか?」だった。年の差を考慮すると7千円くらいはもらいたいところであった。しかし彼はちょうど誕生日を迎えてたところであったので、3千円でよしとした。東京でファミレスに入った際も支払いのとき奢るなんて一言も言ってないのに「ご馳走様」と言った。普段アシスタントをやっている時に奢るのは普通なのであるが、遊びに行った出先まで奢るつもりはないと言ったのだが、その時は奢った。
 また、彼に3千円貸していた時に、一緒に映画を見に行く事になった。ジョンカーペンターの『ゴーストオブマーズ』だった。彼が先に映画館に着いていて、お金を借りていたのでオレの分もチケットを買っておいたというのだ。それはどうもありがとうというところなのだが、高くてもチケットは1800円なので、差額が生じるはずなのだが、チケット以外を渡すそぶりは全くなかった。釈然としなかったが、その場はなんとなく笑えるので追求しないことにした。
 お金が無いから貸して欲しいと何度と無く言われ、わずか千円とか2千円とかそんなものであったが、直接返すことはなく、アシスタント代金から天引きする形となった。しかし、仕上げ作業をパソコンに移行してから彼を雇う機会がなくなってしまった。

 その後彼には、自主映画に出てもらい、製作の顛末もおかしな具合で、更に打ち上げの支払いでもおかしなことになり、絶交に至るのである。しばらくこの話題にお付き合い下さい。