古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

2月に読んだ本

 コロナウィルスのせいで3月に予定していた新潟ハーフマラソンが中止となって、去年の秋以来、連続中止。4月の佐渡朱鷺マラソンも中止だったら3連続で、さっさと中止を決定してお金を返してほしい。怖くて締め切りギリギリまで申し込みができない。とはいえ、コロナではないと思うのだけど、子どもの咳を顔面に浴びたり、咳を直で吸い込んだりしていたらうつってしまって、2週間近くランニングができなくかった。咳が出始めた直後に走ったら、すっごく悪化して本当にバカだったと後悔した。熱がなかったら運動をした方がむしろいいみたいな話を何かで読んだか聞いたかして実践したら悪化した。それで、中13日で走りに行ったら相当落ちているんだろうなと思ったら休む前と大差なく、そもそも心配するほど大して速くもなかった。シリアスランナー気取りだったことが恥ずかしい。

 

 宮城県塩釜市で島田虎之助さんと作品展とトークイベントがありました。それに際して大評判の『ロボサピエンス前史』を読んだ。素晴らしい作品で、オレなんか漫画家として完全に終わりに向かっているつもりだったのだけど、島田さんはずっと年上なのにピークを更新し続けていることに衝撃を受け、襟を正さねばならないと思いました。塩釜の皆さんも素晴らしい人たちで、町も素敵でした。

 

 帰りに山形に寄って佐藤広一監督を食事に誘うと、おいしいおそばをごちそうになってしまう。ずっと年下の人におごってもらって、その上お母さんが自作していた熟成黒にんにくもいただいた。熟成黒にんにくは市場では一玉700円くらいもするのに3玉もいただいて、作り方も教わった。炊飯器の保温機能で簡単に作れるそうで、やってみることにした。炊飯器を中古で買おうとしたらオフハウスなどでは4~5千円するちゃんとしたいいのしかなくて、ヤフオクやメルカリで探すと500円くらいのがあるにはあるのだけど、送料が千円以上掛かる。本体より高いことに非常に抵抗を感じて、結局3800円くらいの新品を買った。にんにくのにおいがきついので、ご飯を炊けなくなるらしいので、そんな用途に新品を使うことにも心苦しいのだけど、7玉くらい作れば元は取れるので、大量生産して人にあげたりして有効活用したいと思って作り始めた。すると、物干しでやっているのだけどけっこうな匂いが出て家族に嫌がられている。完成まで10日から2週間、保温し続けなくてならなくて、物干しはサッシの窓があって、密閉状態で、ちょっと開けて換気をしているのだけど追いつかない匂いが出ている。雨が降ったら締めなければならない。庭に何か雨風をしのげる百葉箱みたいな設備を用意しなければならないかもしれない。サイズで言えばちょっと大きめの鳥の巣箱みたいな、そういうやつ。でもまあ、完成が楽しみでしかたがない。

 

booklog.jp

『となりのトトロ』草壁さんの憂鬱②

 (続きです)

 

 引越しの日の夜、家族3人でお風呂に入っていると、お風呂場のトタン屋根が吹き飛ばされそうなほどの強風が吹き荒れます。さつきちゃんは、怯えた表情で体を洗っている石鹸を洗い流しきらないまま、めいとお父さんが入っている湯船に入ります。「めいは怖くないもん」とめいちゃんは強がりを言います。

 「わーっはっはっはっはっはっはっ」

 お父さんは急にと高笑いをします。二人の子どもは呆気にとられます。

 「みんな笑ってごらん、おっかないのが逃げちゃうから、はっはっはっはっはっはっ」

 さつきちゃんはそれに従って「わっはっはっはっは」と笑いますが、めいちゃんは「めいは怖くないもん」とつきあいません。すると、さつきちゃんがめいちゃんを無理やり笑わすために体をくすぐります。

 「がう~」

 お父さんはゴリラのように胸板を叩き、湯船の水面を両手で強く叩いてお湯があふれ出します。そうして3人でお湯を掛け合って楽しい雰囲気になりました。

 この時もお父さんは、おんぼろ屋敷で子どもがおびえないように必死で脳を働かせて導き出したのがこの行動だったのではないでしょうか。

 

 また、おばあさんとの会話では、引越しが急遽決まったため、おばあさんが事前に掃除ができなかったことが分かります。後にめいちゃんがトトロと出会った後、さつきちゃんとお父さんとめいちゃんで、裏の神社に生えている大きな楠木を見に行く場面があります。

 「立派な木だなあ。きっとずっとずっと昔からここに立っていたんだね。むかーし、むかしはは木と人は仲良しだったんだよ。お父さんはこの木を見てとってもあのうちが気に入ったんだ」

 草壁さんは感慨もひとしおというように、巨大な楠木を見上げながら雰囲気たっぷりに語ります。この木があったらからあの家に引越しをしたと言うわけです。本当でしょうか。なんとなく最後の「お父さんはこの木を見てとってもあのうちが気に入ったんだ」が、とってつけたような感じがしないでもないです。

 

 草壁さんとさつきちゃん、めいちゃんが自転車3人乗りで、七国山の病院を訪ねる場面があります。途中道を間違えてしまい休憩でお父さんは昼寝をして、山は自転車を押して二人の子どもは歩く、そんな苦労が楽しげな音楽とともに描かれます。病院ではお母さんが入院しています。ぱっと見元気そうなお母さんは、子どもたちに新生活はどうかと聞きます。さつきちゃんはお母さんに耳打ちをします。

 「え!おばけ屋敷?」

 お母さんがそう言うと

 「お母さん、おばけ屋敷好き?」

 めいちゃんが聞きます。

 「もちろん、早く退院しておばけに会いたいわ」

 そう答えると、さつきちゃんとめいちゃんは、お母さんがおばけを嫌いでなくてよかったと安心します。当初、あのご主人と価値観を共有している、すごい夫婦だなと思いました。しかし本当にそうでしょうか。何度も見ていると疑問が湧きます。そんな夫婦いるか? 親がおばけを怖がると子どもは余計に怖がるだろうから、事前に夫婦間で口裏を合わせていたと見るのが自然です。

 

 草壁さんは二人の子どもが家を怖がらないように必死に明るい雰囲気にしようと取り繕っていたのです。二人の子どもが素直ないい子であったため、作戦はまんまと成功しました。大家さんの孫のかんたくんが引越し当日「おまえんち、おっばけやーしきー!」と言った時も相当肝を冷やしていたはずです。幸い、さつきちゃんはおばけの存在を気にするより、男の子に意地悪を言われたことに注目したため事なきを得ます。

 

 クライマックスで、めいちゃんが行方不明になります。お母さんが入院している七国山病院に一人で行こうとして迷子になったのです。

 「大人の足でも3時間掛かるわ」

 大家のおばあちゃんがそういいます。大人の足で3時間なら、大体15キロくらいでしょうか。なんとなく、僕が以前新宿から中野まで歩いた時50分掛かって確か5キロくらいでした。その距離を、草壁さん親子は自転車3人乗りで往復していました。

 気になるのが、お父さんが大学への通勤で使っているバスが七国山行きだったのです。七国山のバス停が七国山病院から最寄であるとは限らないのですが、それほど遠いわけではないとも思います。自宅のあるマツゴウから七国山にバスが通っているのに、3人で自転車で往復した理由は楽しい冒険ではなく、草壁さんの経済事情が問題だったのではないでしょうか。めいちゃん幼児でバス料金は無料ですが、さつきちゃんの子ども料金の往復がどうしても痛い。おそらく給料日直前で、その数百円が明暗を分けるほどの死活問題だったのかもしれません。

 

 つまり、お化け屋敷と大家の孫に言われるほどのボロ屋に住んだのは、決して立派な楠木が生えているからではなく、その地域最安値物件だったことが理由ではないでしょうか。大学で考古学の研究をしていても大した賃金は発生しないでしょう趣味に毛が生えた程度の商いというと悪く言い過ぎかもしれませんが、その上奥さんが病気で長期の入院生活、医療費もベッド代もかさみ家計は火の車。奥さんも奥さんで、自分も働いて旦那さんの趣味のような仕事を支えて家計を助けたいのに、逆に経済を圧迫する立場となりせめて子どもを怖がらせないように必死でおばけ好きをアピールしたわけです。経済が許せばもっと病院の近くの町の物件を借りたかったはずです

 

 そして変なのが、ラストシーンで病室で語り合う草壁夫婦です。その様子をネコバスに乗ったさつきちゃんとめいちゃんが木の上から眺めています。ふと、病室の窓辺にトウモロコシが置かれていることに夫婦が気づきます

 「あ、今そこの松の木でさつきとめいが笑ったように見えたの」

 お母さんが木を見上げて言います。お父さんも松を見上げるけど何も見えません。しかし、「案外そうかもしれないよ」と言って手にしたトウモロコシをお母さんに差し出すとそこには「おかあさんへ」とトウモロコシの皮に傷をつけてひらがなで書かれているのです。このような怪現象が起こっているのに不思議に思わず受け入れている様子でした。子どもが現実と異世界を行き来していることの痕跡に触れて恐ろしくはないのでしょうか。

 

 うちの5歳の男の子、うーちゃんは「こわい話だよね」と言います。何をもってして怖いと言っているのかは分からないのですが、確かに幼児が迷子になるのは怖いし、異世界に触れるのも怖いです。

 

  

 こんなことをついグダグダと考えてながら今日も見ています。そろそろ『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタに移行して欲しい、でもあまりにエキサイティングだと眠れなくなってしまいます。でも本当に見飽きているのでせめて『魔女の宅急便』が久しぶりに見たいです。

『となりのトトロ』草壁さんの憂鬱①

 「とっとろがいい、とっとろがいいよ~」

 『となりのトトロ』をうちの2歳の女の子が毎晩見たがります。毎晩ではなく、朝も昼も四六時中見たがっているのですが、そんなにテレビばかり見せるのはよくないので夜だけ、ご飯と食事が終わってから見せています。時々ご飯の前にも見せるのですが、とにかくほぼ毎日ヘビーローテーションで『となりのトトロが掛かりつづけています。ぽんこちゃんも惰性になっているのか、テレビに映ってもさっぱり見ません。要求するだけして、テレビを見ずに財布をあさったり、寝転がってベッドのマットレスとシーツの間に足を突っ込んだりします。それだけならまだしも、『となりのトトロをテレビにブルーレイで映しながら、絵本の『となりのトトロを持ってきて「よんで」と要求します。映画のトトロと同じ場面のページを読んであげると、決してそれが目的ではなかったようで自分でぱらぱらとページをめくって「めいちゃん、いい」と言います。めいちゃんは4歳なので、自分と年が近くて親しみがあるみたいです。ところが、時にはさつきちゃんを指差しながら「めいちゃんいい」と言うのでどこまで分かっているのか不明です。

 

 そんな調子で、今5歳のうーちゃんが赤ん坊だった時に続いて2目の『となりのトトロヘビーローテーション期が訪れていて、とにかく毎日見ています。日本一見ている漫画家ではないでしょうか。今回は映画と同時に絵本まで見ているという異常事態。

 

 だからというわけではないですが、はじめて見た大学1年の時にはまったく気づかなかったことに気づいたり、受け止め方が変わって来ています。しょうもないところで言えば、こんなことです。さつきちゃんがクライマックスでトトロを訪ねて茂みに入っていく時に足を木の根っこに引っ掛けて穴に飛び込んでいきます。さつきちゃんはまっさかさまに穴に落ちていくと昼寝をしているトトロのお腹に乗っかる形で、トランポリンのように弾んで怪我ひとつなく助かります。しかし、メイちゃんが同じ穴を落ちた時は地面に落ちて、トトロは同じ場所に寝ていたはずなので、場所が食い違っています。また、さつきちゃんがネコバスに乗るとネコバスの行き先の表示がくるくると変わって「めい」と出ます。しかし、どう考えてもさつきちゃんがもっと窓から顔を突き出さないと、角度的にその表示は見えません。けっこう適当な表現です。

 

 ここ最近、気になっていることは、さつきちゃんとめいちゃんのお父さん、草壁さんについてです。

 

 めいちゃんは4歳、さつきちゃんは10歳という設定だったと思います。考えを巡らせているのが楽しいので、ウィキペディアなどで調べれば済むのですがそれでは面白くないのでうろ覚えのまま考えを進めます。公開当時宮崎監督がインタビューで言っていたのか、パンフレットで読んだのか、舞台は昭和30年代の東京の外れだったような気がします。草壁さんは大学で考古学の先生なのか、研究をしています。10歳の子どもがいれば、終戦当時二十歳を超えていて、従軍していた可能性もあります。さつきちゃんは戦後のベビーブームの子であるかもしれません。大学の先生にしては後姿が逆三角形で、めいちゃんとさつきちゃんと一緒にお風呂に入ったときの大胸筋や腕のたくましさは、軍隊仕込であったのかと思いました。大学の先生か研究者といった生白さは全然ありません。しかし、従軍経験によるPTSDのような感じは描かれていないので、それほど過酷な戦場ではなかったのかもしれません。だからどうだということでもないのですが。

 

 それより気になるのは草壁さんの「僕はお化け屋敷に住んでみたかったんだ」という引越しの時の発言です。最初に見た時は、5歳のうーちゃんと一緒に見ているときは特になんとも思わず、そんなふうに考える人もいるんだ、変わってるし大学の先生ともなると考え方がユニークで、好奇心が強いくらいに思いました。しかし、それは本心でしょうか? どうにも引っかかります。

 

 映画の冒頭、さつきちゃんとめいちゃんは引越し作業そっちのけで、引越し先の建物や広い庭にテンションが上がっています。勝手口の扉を開けた途端、真っ黒な丸いマリモのような物体がさーっと引いていきます。一瞬の出来事です。

 「おとうさん、ここに何かいるよ」

 さつきちゃんは、草壁さんに訴えます。 

 「これは、まっくろくろすけだな」

 「絵本に出ていた?」

 「そうさ、こんな日にお化けなんかでるわけないよ」

 草壁さんは、明るい場所から暗い場所に行くと目の錯覚でそのような現象が起こるのだと科学的に説明します。

 

 何度も見ているとここで気になるのは、リスでもなく「ゴキブリでもない、ネズミでもない黒いのがいっぱいいたの」というさつきちゃんの説明に対して、草壁さんは「そうさ、こんな日にお化けなんかでるわけないよ」と、お化けについて言及することです。さつきちゃんは不思議がってはいるのですが、お化けとまでは言っていません。なぜ草壁さんは、先回りする形となってまでお化けを否定したのでしょうか。しかもその説明をしている時、草壁さんは「ふーん」と言いながら口元に微笑を浮かべています。それは無理やりにでも余裕をかましておかなければならないという思いで、必死で余裕ぶった態度をとっていたようにも見えます。

 

 引っ越してきた当初から、草壁さんは子どもたちがこのおんぼろ屋敷に怯えることを危惧していたのではないでしょうか。その心配に反して、物件に到着した途端、子どもたちはテンションを上げて新生活や新しく住む環境に対して希望を膨らませていました。めいちゃんは事あるごとに「めいは怖くないもん」と連発します。普段から臆病者であると、さつきちゃんやお父さんにバカにされていたのかもしれません。

 

 草壁さんによる目の錯覚であるという科学的な納得するさつきちゃんですが、2階に行くとまた同様の現象が起こります。

 「おとうさーん、このうちやっぱり何かいるー!」

 さつきちゃんが窓を勢いよく空けて、タンスを引越し屋さんと一緒に運んでいるお父さんに言います。

 「そりゃあすごいぞ、お化け屋敷に住むのがお父さん、子どもの頃からの夢だったんだ」

 その時、大家のおばあさんが引越しの手伝いに来ていました。

 「すすわたりが出たな」

 大家のおばあさんがそのように言うと草壁さん

 「それは、妖怪ですか?」

 とちょっとおびえたような声で言います。

 「そっただおそろしげなもんでねえよう」

 おばあさんはのん気に答えます。おばあさんも子どもの頃には見えたけど、今ではすっかり見えなくなった。子どもにしか見えないもので、使われていない家に住み着くものだ、何も悪さはしないから安心しろと説明します。

 

 うっかり見過ごしてしまうのが、 「そりゃあすごいぞ、お化け屋敷に住むのがお父さん、子どもの頃からの夢だったんだ」と明るくさつきちゃんに返事をした後に、業者さんと一緒に運んでいたタンスをよろけて落としそうになることです。さつきちゃんの怪現象の訴えに明るく返事をしたものの、心の動揺が隠せなかったと見るべきではないでしょうか。おばあちゃんが「すすわたりが出たな」と言った時は、妖怪が怖いのではなく、なんて事を子どもに言ってくれるんだという動揺で、怯えたような声になってしまったのではないでしょうか。

 

(続く)

 

となりのトトロ [Blu-ray]

となりのトトロ [Blu-ray]

 

 

 

1月に読んだ本

 Vコミ連載の『漫画 うちの子になりなよ』が最終回を迎える一方、SPA!の特集記事のイラストのお仕事をいただいて、それはとても助かったのだけど、やっぱりレギュラーがないのはつらい。漫画雑誌などで仕事ができることが全く想定できなくて、今後はインディーズ的な活動を模索していかなければならず、それはそれで中々面倒くさくてとりあえず『漫画 うちの子になりなよ』をnoteで描こうと思っていて原稿を途中までやっています。締め切りがないから他の作業をしていると中断してしまってなかなか完成しません。でもあと1日あれば完成するところまで来ているので近似中にUPします。今年は長編漫画も描きたいのです。

 

 暖冬なのはありがたいのだけど、天気が悪くて地面が濡れている日が多くて時々しか走れない。漫画教室で東京に来ると死ぬほど天気がよくて、いいなあと思う。根性のある人は雨が降っていても走っているのを見ると、そこまでじゃないなあと思う。

 

 去年のうちに読み終わろうと思って読み始めた阿部和重さんの『オーガ(二)ズム』が800ページを超す大作で全然読み終わらなくて1月末にようやく読み終わった。大変な分量だったけど、それに見合う大変な読み応えでした。 あんまり長期に及ぶと最初の方を忘れてしまうのでとにかく読み終えることができてよかった。しばらくは薄い本や漫画を読みたい。

booklog.jp

『悪魔を憐れむ唄』改め『テラー・トワイライト』

 コミックビームで連載して2巻まで刊行された『悪魔を憐れむ唄』という漫画がありまして、実は3巻分の長さであったのに2巻までの売れ行きがあまりに芳しくなかったため、3巻が出ずじまいでした。そうして、去年電子書籍で3巻を出したのですが、その際、3巻のみ自分で出すというのが出版社的にNGであったため、1巻と2巻の電子書籍がない状態となってしまいました。紙の単行本で1巻と2巻を読める状態の人が、3巻を電子書籍で読むと言う実にゆがんだ状態に陥っていました。それでようやく11月に1巻と2巻の電子書籍を作ることができてUPもしたのですが、告知をしないまま今に至っております。 

 これまでの単行本では長いあとがきを書いていたのですが、あとがきを電子書籍につけなかったので、こちらのブログでそれの代わりになるような文章を書こうと思っていて、それが面倒くさかったのです。アマゾンのキンドルではすでに販売しておりまして、熱心な方かアンリミテッドでなんとなく定額制だから読んだ人がいらっしゃり、何の宣伝もしていない割にちょっと売れてます。

 

 タイトルをなぜ変更したのかというと、最初からあまり『悪魔を憐れむ唄』がしっくり来てなかったし、それから他に似たタイトルで、後から出たのに遥かに売れている漫画が存在するというのもあります。こっちが真似しているみたいな形になって恥ずかしいし、営業妨害になっても申し訳ない。 

悪魔を憐れむ歌 4 (BUNCH COMICS)

悪魔を憐れむ歌 4 (BUNCH COMICS)

  • 作者:梶本 レイカ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/06/08
  • メディア: コミック
 

 絵も上手でとっても面白そうな漫画です。

 


The Rolling Stones - Sympathy For The Devil (Lyric Video)

 

 『悪魔を憐れむ歌』はローリングストーンズの名曲のタイトルで、それにあやかってつけたのですが、自分には荷が重すぎた。それで『テラー・トワイライト』にしたのですが、こちらはゾンビ漫画の作品集『青春と憂鬱とゾンビ』のタイトルを太田出版の村上さんと考えていた時に思いついたタイトルです。 

青春と憂鬱とゾンビ

青春と憂鬱とゾンビ

 

  実はペイブメントという90年代に活躍したバンドのアルバムタイトルからいただきました。


Pavement - Major Leagues (Official Video)

 来日ライブを新宿リキッドルームに見に行った時は、仕事で間に合わなくて途中からだったけど、ライブは大抵見ていていつも飽きるのでちょうどよかったと満足した記憶があります。ペイブメントのアルバム最終作でこの中の『Major Leagues』みたいな曲をもっと早く作れていたら解散しなくて済んだとか、売れていたはずだみたいにメンバーが語っていました。ペイブメントは、アメリカの西海岸と東海岸に分かれてメンバーが暮らしていて「うまくなりたくないから時々しか練習できないのがいいんだ」と言っていたので、解散に当たってはやっぱり売れたかったんだと思いました。うろ覚えの記憶で書いているので違っていたらごめんなさい。そんな負けっぷりがオレの漫画のタイトルにも似合っているじゃないですか。シンパシーを感じるのはローリング・ストーンズじゃなくて、ペイブメントだと、非常にしっくりきています。ホラー漫画の長編を描くときに絶対使おうと思っていましたが、ホラー漫画の長編を描く予定がないため、改題で何にしようかと考えた時に真っ先に思いつきました。ここで使わなかったら使う機会が訪れないまま終わる。

 

テラー・トワイライト

テラー・トワイライト

  • アーティスト:ペイブメント
  • 出版社/メーカー: バンダイ・ミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 1999/04/30
  • メディア: CD
 

  漫画の内容は、東京中野に暮らす地下芸人、渡辺がある日総武線でホストくずれみたいな悪魔に出会い、パシリにさせられパワハラを受けながらも芸人活動を健気に行う、というお話です。この漫画を描いている間は、本当に自分が地下芸人になったような気持ちで、地下芸人と一緒に中野大喜利皇子という大喜利ライブに出たりして身近にリアルな地下芸人に接していました。ヨージさんや二階堂旅人さんの実際のネタを描かせていただいたり、とーごさんに劇中漫才を作るのを手伝ってもらったりしました。そして自分のお笑いに対する思いをほぼ注ぎ込むことができてとても満足して、この漫画を描き終えてからはお笑いに対してあまり熱が上がらなくなってしまいました。

 

 タイトルロゴは、東陽片岡さんにお願いして描いていただこうかと思ったのですが、予算もないし、東陽さんも暇ではないだろうから自分で東陽さん風に描いてみました。今見るとちょっと横棒が長すぎるし、点のどくろの場所が横棒の下だろうと思いました。

f:id:koizumi69:20191101164252j:plain

 そういうわけで『悪魔を憐れむ唄』改め『テラー・トワイライト』1~3巻、アマゾンキンドルで発売中です。キンドル・アンリミテッドでも読めますよ。 

テラートワイライト2 (日本海わくわくコミック)

テラートワイライト2 (日本海わくわくコミック)

 

 

テラートワイライト3 (日本海わくわくコミック)

テラートワイライト3 (日本海わくわくコミック)

 

 

 

12月に読んだ本

 喪中なので新年の挨拶を控えさせていただきますが、今年もよろしくお願いします。

 

 年末に風邪を引いて、と言っても熱はなく声が変になったのと咳と淡くらいで全然元気だったのですが、咳が長引いていて今もちょっとあります。特に朝の寝起きは喉に濃い淡がからんで、それが切れるまで咳が強めに出ます。のど飴ばっかり食べていたら口の中が痛くなって嫌になりました。多分子どもにもらった風邪だと思っていたので、子どもを隔離しなかったのですが、特に問題はありませんでした。

 

 よくなかったのが、咳が出始めて4日目でランニングをしたことで、それからちょっと悪化したような気がします。走り終えた後、お風呂が沸くまでけっこう寒くて体が冷えた。あの時走りに行かなければ、お風呂を沸かしてから行けば、と後悔しました。それが25日でそれからずっと休んでいました。その間29日しか天気がよかった日がなくて、昨日2日に久しぶりに走りに行くことにして、トンネルで走ろうとしたら雨が上がっていて今だと思って走り始めたらまた降り出して、途中で折り返し地点の駅からちょうどよく電車があったので、それに乗って戻りました。

 

 体調が悪いまま新年を迎えて、久しぶりに走ったら走ったで雨に降られて、今年も幸先が悪い。大した年にはならないでしょう。5歳の長男がベッドからベビーベッドにジャンプで飛び乗ったら、ベビーベッドの床板を固定している木の棒が折れました。車が壊れたり、事故を起こしたり、怪我をしなければ御の字です。後は、面白い映画が見れて本を読んで、たまに釣りでそこそこ大きな魚が釣れたらいいなあ。今年はスマホも買い替えの予定なのだけどポンコツを掴まなければいいな。

booklog.jp

 さて、去年の12月の読書ですが、和山やまさんの『夢中さ、君に。』がとても面白かったのですが、それ以上にどこの雑誌に掲載されたわけでもなく勝手にピクシブなどに描いていた漫画であることが衝撃でした。僕も変にプロ崩れみたいな意識があって、商売を優先させて結果的にボツにしている漫画がたくさんある。そういうの、本気で描きたかったらちゃんと形にしないといけないと思いました。もう人生も長くないのだし、純粋な創作意欲がいつまでもあるわけではないだろうし、気持ちが萎えたらそれこそ終わりだ。商売にこだわっていると気持ちが萎えることばかりです。お金は後からついてくるとは最早到底思えなくなっているのだけど、そんなの関係なくちゃんと面白くて描きたい漫画を描いていかないとどうしょうもないと思いました。和山やまさんの素晴らしい姿勢に打たれた12月でした。

 

11月に読んだ本

 恐ろしいことに最早年の瀬。11月は何をしたかと言うと、目立つところでは、BSNという新潟のテレビ局の依頼で法廷画を描きました。何の気なしに滅多にないお仕事を依頼されたので二つ返事でお受けしたのですが、それが全国でも大注目の事件の裁判員裁判でびっくりしました。テレビ朝日系のニュースの法廷画の人がめちゃくちゃ自由に描いていて、そんな構図では見えないだろうとか、被告人が全然似てないとか、むしろ似せる気がないだろうというレベルで衝撃を受けました。前回の裁判では僕の隣の隣にその人がいたので、手元を見て「また、あんな絵描いてる」とはらはらしました。僕は至って真面目にクロッキーを描いて、ipad proでフォトショップの水彩画アプリで色をつけています。ipad proは第2世代のをケチって10.5インチのをアップルペンシルつきで6万6千円でヤフオクで買って、使い道がなくて困っていてようやく活用できた。今週はいよいよ判決です。

 

booklog.jp

 なかなか本を読む時間が作れなくてあんまり読めませんでした。小説は小野寺史宜 さんの『ナオタの星』だけで、とても面白かったです。10月からコミックレンタルで読んでいた南勝久さんの『ナニワトモアレ』をようやく読み終えました。面白かったけど大阪が怖くなりました。『なにわ友あれ』も早く読みたい。

 

 枡野浩一さんとやっている自作ラジオ、本と雑談ラジオ友の会が始まりました。

note.com

 課金制で申し分けありませんが、僕が漫画教室が中止の際の交通費の足しになったらいいなと考えております。漫画教室が中止になると上京が中止になり、本と雑談ラジオも延期となるのです。楽しい内容になるよう心がけますのでぜひともご加入ください!

 

10月に読んだ本

 いつの間にか11月って、年末だぞ。10月は台風19号のせいで、マラソン大会が中止で、こうなったら仕方がないから一人でマラソンを走ってやろうと思ったんだけど、そんな根性はなくていつもの10キロで嫌になってやめた。その代わりに毎日走ろうと思ったのだけど、それも続かなくて一日おきになって、それが二日おき、三日おきになって現在に至ります。その代わり、月に100キロ走ることはどうにかできた。そんなペースで走っていたら痩せるかと思ったけど、全然変わらなかった。今年は絶対に5時間を切ることを目標に取り組んでいたので気持ちの持って行き場が無くて、しょうがないので、4月の佐渡ラソンに申し込んだ。来年は、新潟マラソンが台風になったら困るので、柏崎マラソンも一緒に申し込むことにする。

 

 本当はどこか別の県で開催されているマラソン大会に申し込めばいいのだけど、去年の新潟マラソンでのダメージがあまりに深刻で、日帰りできるところでないと心配でどうにもならない。もうちょっとマラソンに慣れたら、それこそ関西や九州や四国や外国に旅行を兼ねて走りにいけたらいいけど、それはまだずっと先の話だ。せめて5時間をきらないと話しにならない。佐渡ラソンはアップダウンがあるから無理かもしれない。

 

 さて、10月はずっと読んでみたかった増田俊也著『七帝柔道記』が予想通り面白くて、予想以上に不発で感動的な物語で素晴らしかった。オレの眠たいマラソンの話なんかの100倍くらいの苦行に取り組んでいた若者のお話で、海兵隊の映画みたいに人生で地獄のような修行を耐え抜いた人たちは本当にすごいと改めて思った。年をとったからできないというのも単なるいいわけで、オレは根性がないし根性を試したいとすら思わないほどの根性なしなので、本当に尊い

 『殺人犯はそこにいる』も超絶に面白かった。現実にある凄惨な事件のルポルタージュなので面白がってはならないような気もするのだけど、読書での興奮ボルテージがすごい。

 

booklog.jp

 

 10月は天気が悪くてあまり釣りに行かなくて今年もアオリイカは釣れなかった。でも、何時間もエギを投げてやっとの思いで1匹つれるかどうかみたいな釣りは、根性が試されるのでやる気が起こらない。そういう意味で、未だにまともなシーバスは釣ったことがない。時期さえ合ってればバンバカ釣れる、サゴシやカマスがいいのだけど、今年はカマスの入れ食いシーズンを逃してしまい、ちょっとしか釣れなかった。子ども一緒に豆アジを釣りに行ったり、ハゼを釣ったりしていたせいだ。それはそれでとても楽しかった。ちょうど、今秋の青物シーズンが到来しているそうで、堤防に行きたい。でも仕事をだらだらしているせいで時間が全然作れません。

9月に読んだ本

 10月も半ばで今更9月の本についてもいかがなものかというところですが、そんな事を気にしていると更新がなくなっていしまうので気にしないことにします。 

 

 いつか読もうと思って買っていた矢沢永吉著『成りあがり』が評判通りめちゃくちゃ面白かったです。そしてこういう本は本当に若い時に、これから人生を歩んで行こうと言う時に読むべき本で50歳にもなって読むのは残念極まりない。でも一番気になっていたキャロルについてはほぼスルーで、ジョニー大倉著『キャロル 夜明け前』を読めばいいのかな。

 

 増田俊也著『七帝柔道記』も素晴らしかったです。高専柔道の猛特訓に耐えた青年は、こっちから見ればすごい根性の猛者に決まっているのだけど、本人目線では弱音ばっかりで本当につらそう。絶対に真似できないけど、だからこそ強くあこがれる。

  

booklog.jp

 

 そんな素晴らしい本に触れることができたのだけど、映画『ジョーカー』がすごくて見てからずっと毎日『ジョーカー』の事を考えている。主人公アーサーが、中年も相当いい歳なんだけどコメディアンを目指している。舞台に立ったこともない。ネタも全然面白くない、センスが全然ない、風貌も不気味で、さらに最悪な事にいじられ耐性がない。どう考えてもコメディアンに向いておらず、本当にただの危険人物。しかし、そんな彼に優しくよりそった映画で、切ない。

 

 台風19号で新潟シティマラソンが中止になってショック。去年は初めてのフルマラソンで気合を入れすぎて、普段ひと月にせいぜい50キロしか走らないのに9月に180キロも走り込みをしたため、マラソン疲労骨折を起こすという惨事を招いた。今年は普通に毎回の10キロ走のみで、マラソンをこなせるかを試すつもりで、中3日か4かペースで10キロずつ走ってきた。タイムは5時間を切りたいなと思っていたのだけど、そんなのが全部台風で飛んでしまった。堤防が決壊して洪水に見舞われた人にはお悔やみを述べるしかないのだけど、翌日きれいに晴れて全然マラソンできるじゃんと思った。

 一人マラソンを開催するか、どこかの何かの大会に申し込んで遠征するか、どうにかしないと気持ちが治まらない。

 

 それからファミレス映画館で毎月4本ずつ『男はつらいよ』シリーズを見て、北書店の佐藤店長と話すというのをやってきていたのだけど、とうとうシリーズ48作を全部見終えました。1年がかりでした。僕が生まれた頃からシリーズは始まって、物心がついて小学校、中学校、高校、大学と、寅さんの甥っ子の満男とほぼ同じ時期の人生を送っていて、昭和平成の日本の社会と歴史を再体験するような感覚もありました。

 佐藤店長どうもありがとうございました!

 今回で『男はつらいよ』シリーズは最終回の予定でしたが、山田洋次監督が原作の寅さんの少年時代のドラマが今月から始まるのでそれも感想を話して、ベスト『男はつらいよ』や2代目寅さん総選挙、ベストマドンナの選定などもしなければなりません。それから12月には第50作『お帰り寅さん』もあるので、それもやらないといけません。

 

sanpeieigakan.seesaa.net

8月に読んだ本

 8月は暑くて全然釣りに行かず、8月の終わりに豆アジを5歳の子どもと漁港で釣りました。土日で2日連続で行って、たくさん釣れたのに漁港に住み着いている猫に食べさせていたけど、子どもは猫1匹につき、豆アジ1匹以上あげようとしなくて、猫は6匹いて、ところが鈍い猫は横取りされて食べられず、僕がさらにあげようとしたら「もうダメ」とケチっていました。うちでも食べきるのが大変な数、60匹くらい釣れてしまったのでもっとあげたかったのに、変に渋ちんでした。

 

 ランニングは走り方を変えたせいか暑さのせいか遅くなるばっかりだったのだけど、回数を増やしてみました。中3日ペースで走ってみたところ、痩せると思ったら逆に太り出して止まりません。どうしたものでしょう。多分走って帰ると食事がおいしすぎるせいかもしれません。

 

 それから7月に受けた健康診断の結果、高血圧気味であることが分かって、内科で薬を処方してもらいました。たまに町の体育館の機会で測定したら140とか150だったので不安ではあったのだけど、特に自覚する健康問題もないため気にしないようにしていました。今朝は飲み忘れてしまった。夕方に帰宅してから飲んでもいいのだろうか。

 

 小中高と同級生の南場浩一くんが、町の祭りの時に一昨日亡くなったと聞かされて、祭りの翌日の告別式に出席しました。胃がんで手術をしてから体調が回復しなくてそのまま亡くなってしまったそうで、そんな年齢です。一方9月に入ってから、祖母が100歳で亡くなって、今年はお葬式ばっかり。5月に叔父、6月に自主映画でお世話になった、花岡慎治さん、8月に同級生の南場くん、9月に祖母。みんなみんな、もうちょっと会っておけばよかったと後悔しています。

 

 さて、9月に入って最近はアオリイカも釣れ始めているそうで、何年も挑戦しているけど未だに一匹も釣ったことがない。一杯かな、イカだから。ただ、ろくに釣れない釣り場でやっているせいであるという気もしていて、アホみたいに釣れる場所で釣ってみたいです。アオリイカが釣れ始めると、カマスも釣れるので、カマスは毎年楽しく釣っています。時期がほんの2週間くらいなので、タイミングを逃したら終わりだ。

 

booklog.jp

 本は、『自伝 安藤昇』がすごかった。めちゃくちゃ破天荒で実在の人物とは思えないほどで、映画も見なければならない。現役引退直後に、本人の伝記映画を本人主演で作られていて、しかも監督が田中登! 田中登作品は大分見ているけど、まさにこのタイミングで見る用に残していたかのようだ。

eiga.com