古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

隣県の映画祭

 去年、なんとなく気まぐれで訪れたカナザワ映画祭があまりに面白く大変な衝撃だったため、毎年絶対に行くことを決心しました。去年は宿も取らず、変な感じの日帰りみたいだったので、今年はもう前乗りするくらいに宿も抑えて、しゃぶり尽くす勢いで行こうかと思っています。カナザワはそんな調子でいいのですが、こうなってくると以前から評判だった山形映画祭も気になります。仕事もあるので、そんなにだらだらしているわけにはいかないですが、山形や山形の皆さんにはただならぬ縁を感じるところでもあり、2年に一度の開催でもあり、機は完全に熟していると見ても間違いないはず。

カナザワ映画祭
9月18日(金)〜25日(金)

山形ドキュメンタリー映画祭
10月8日(木)〜15日(木)

 まだどっちも情報は上がってないようです。山形ドキュメンタリー映画祭は、松江哲明監督がデビュー作『あんにょんキムチ』を上映した映画祭でもあるのです。そんな松江監督の最新作『あんにょん由美香』の上映が始まっていて17日(金)のトークイベントに呼んでいただきました。なんとか動員に貢献したいので、皆さんぜひご来場ください! サンプルDVDを見せていただいたのですが、すごくよかったんです。鎮魂歌と呼ぶにふさわしい、ほろ苦さを含んだ笑いといったなんだかとても慰められるような味わいがありました。出てくる人がみんな、虚飾がなく、安全な場所にいない人ばかりなのもかっこよかったです。ぜひとも大画面でお楽しみいただきたいです。

・7月17日(金)20時30分から
あんにょん由美香ポレポレ東中野
トークイベントは上映の後です

 そんな頑張っていらっしゃる松江監督が『あんにょんキムチ』を引っさげて山形ドキュメンタリー映画祭を訪れたさい、オレがお世話になっている山形在住の佐藤広一監督も映画祭のスタッフとして携わっていました。佐藤監督が松江監督に会った際、開口一番「オレ最近ハメ撮りに凝ってんだよね!」と言ったそうです。そんな松江さんに佐藤監督は圧倒されたのですが、後に『童貞の教室』を読んだら、当時の松江監督はコチコチの童貞だったとの記述があり、あれは嘘だったのかと大層魂消たそうです。何にも聞いてもいないのに自分から「ハメ撮りに凝ってる」なんて言うのがいかにも童貞らしくていいじゃないですか。

 そんな話を佐藤監督に聴いて、5月にゴジゲンという劇団のお芝居で松江監督に会った時に、「ハメ撮りに凝ってるって嘘ついていたそうですね!」と言うと、そんなのまったく記憶にないよ!と言いながら松江監督は耳を真赤にして照れていらっしゃいました。

 佐藤監督には『新しい絶望』を映画にしていただき、松江監督には『童貞の教室』にマンガを描かせていただき、その本を読んだ佐藤監督はかつての記憶を蘇らせ、オレがその話を松江監督に伝えるという、壮大なんだかセコいんだかよく分からないですが、時空を超えて最終的に松江監督が耳を赤くするというのがなんだか面白かったわけであります。