古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

音楽の季節

 先月、ふと蔦屋で相対性理論のCDを借りてみたんです。ふ〜んみたいな感じで聞き流していたら、ふとなんだこの歌詞はと気になって返却する前に読みながら聴いてみたら、なんだかとても面白くて何度も繰り返し歌詞カード読みながら聴きました。歌詞なんて全然気にしないんですよ。頭にさっぱり入って来なくて、一生懸命考えて作っている人には本当に失礼な話で、申し訳ないのですが、オレにはセンスがないんだと思います。気に入った歌は、よっぽど何回も聴いて後からなるほどそうかなんて感じで理解する場合が多いです。

 特に、韻を踏んだりしているのが苦手なんですよ。駄洒落みたいじゃないですか。思いついた駄洒落を得意になって大声で言って自分で笑っているような子供いるじゃないですか、オレの子供の頃ですが、そういう恥ずかしい過去を引きずり出される感じがあって、ボキャブラ天国も苦手でした。相対性理論の歌詞も韻を踏んでいる気恥ずかしさがあるのですが、ふざけているとしか思えなかったり素っとぼけたところがあって、面白いんですよね。1枚のアルバムと1枚のミニアルバムしか音源がないのですが、それを繰り返し繰り返し聞き続けていてアーチスト別再生回数が562回で、2006年以降で早くも歴代6位です。オレのハマりようをご理解いただけますか。

 「先生……フルネームで呼ばないで、下の名前で呼んで、先生……先生……女子高生でまだいたいの」
 『地獄先生』という歌からの適当な抜粋ですが、なんだこのエロ歌はとよくよく歌詞を読んで魂消たわけです。詩の体裁で書いてあると、それだけでオレは頭に入ってこないので、このように記述させていただきます。こんな歌をささやくようなあえぐような声で歌っている、やくしまるえつこってなんだよ、そのふざけた名前はどんな美女なのだと、ネットで検索してみたら、perfumeのあ〜ちゃん似の美女でした。

  「25世紀に生まれたあなたは、時空警察に追われてしまった。22世紀に生まれた私は、テレビを見ながらコーラを飲んでる」というのは『四角革命』という歌の冒頭です。あなたが一大事だと言うのに、私はのん気にテレビを見てコーラを飲んでいるというやっぱり素っとぼけた歌です。22世紀にもなって多分ミヤネ屋みたいな番組見ながらこたつでコーラを飲んでるんでしょうね。

 「私、もうやめた世界征服やめた、今日のご飯考えるので精一杯」というのは『バーモントキッス』という歌です。献立を考えるので精一杯な女が、何を大それた目標を掲げていたかと、あきれていると「もうやめた、破壊工作やめた、妙な予感振り払うので精一杯」と恐ろしい告白を始めます。その割りにラブレターも渡せないと恋の悩みを歌い、引っ込み思案のテロリストの恋愛の歌なのかなと想像が膨らみます。

 初めて相対性理論を聴いたのは、レコケンくんという新潟の音楽好きの集会でCDを聞かせてもらったところです。『シフォン主義』というミニアルバムでした。パンチの効いた曲が多いアルバムで、これはこれでいいのですがフルアルバムの『ハイファイ新書』の方が、リラックスした感じの面白い歌が多く、こっちの方をよく聞いています。先日マンガ家のライブイベントに出た際に、いましろたかし先生がやっているバンドのベースが相対性理論の人で、こんな事ならどんなバンド運営しているのかとかいろいろ聞けばよかった。大失敗。こんなにどっぷりハマることもなく、来週上京する機会にライブがある事を知り慌ててチケットを取りました。楽しみだ!

 そういうわけで、相対性理論を熱心に聴いているのですが、頭脳警察のライブや映画上映もあって、頭脳警察も聴いて、友達の友達のバンド+/-が、はるかニューヨークから亀田に来るという不思議な出来事があって見てきたり、銀杏BOYZのシングルが発売になったりと、にわかに音楽に触れる機会が多くて軽くパニック状態です。ちょっと前までは運動中に聴くBuono!Prodigyだけでしたよ。

 +/-のライブが素晴らしかったんですよ。前に新潟に来たときはライブハウスで、ロック!という感じで轟音ライブで迫力はあったのですが、正直なところよく分かりませんでした。CDを買って帰ってじっくり聴いたら意外と繊細な音楽でとてもよかったです。今回はギャラリーでのライブだったせいか、音が小さめなのか、すごく聴きやすくてメロディや楽器の音を把握しやすくて、とてもよかったです。ドラムのクリスに『転校生』をあげたら「前にもらったよ!」と言われ、恥ずかしい思いをしました。外人に一番伝わりやすいと思ったんです。『ライフ・イズ・デッド』を持っていけばよかった。

 銀杏BOYZのシングル『ボーイズ・オン・ザ・ラン』が発売となり、PVも見ました。これが衝撃的に気持ち悪い顔の男ばかりが出て、気持ち悪いのですが割と身近というかどこかでみたようなと思い返すと、ハロプロイベントに行けば普通にある景色でした。ハローの方がもっと衝撃的かもしれない。気持ち悪いのですが不思議と落ち着くし、エネルギッシュで元気が出るPVです。歌はまだ2回しか聴いてないので、聞き込んでまた後ほど感想を述べさせていただきますね!