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古泉智浩の『オレは童貞じゃねえ!!』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

イングロ事件とモヤモヤの正体

 Eくんごめん、一緒に行こうと誘ったのに一人で見ちゃったよ。月曜はMくんが『パブリックエナミーズ』に行こうと誘ってくれたので、そっちにしよう。調べたら『イングロ』は来週は一日一回上映なんだよね。

 それで、『イングロリアス・バスターズ』を公開日に見たときにはモヤモヤした気分が残ってそんな事を一緒に見た友達とサイゼリヤで話したら、一緒に見たカトキチ君が「最高傑作!」とボルテージを上げて、面白くなかったわけでもないのに、実際すっきりしなくていろいろ文句を言っていたら、後からカトキチ君がブログでオレ達に厭味を書くという事件が発生したのです。カトキチ君のブログ記事は『イングロ』を理解している優越人種が、理解できない劣等人種を差別するかのような文章で、そんなカトキチくんの行動に対してEくんがミクシー日記で、「それではまるでナチじゃないか、映画をたくさん見ても何も学んでいない」と厳しく批判したわけです。実際カトキチ君の文章を読んでもどこが面白いのか伝えると言うより、上がったボルテージを示す方に重点が置かれ、他の『イングロ』絶賛ブログにリンクを張って「僕がいいたい事は全部皆さんが書いてくれています」と、なんだかなあと言った主張だったわけです。例え、この映画が楽しめなかったとしてもそれはタランティーノ監督への期待に対する裏返しでもあるので、元々は味方でその味方にに対して「バカ」とか「ざまあみろ」はひどいなあと思いました。

・[映画]『イングロリアス・バスターズ』を観たっ!(ネタバレ無し)(くりごはんが嫌い)

 それに対してEくんは「映画を使って人を貶めるなんて、町山さんやタランティーノが知ったら悲しむだろう。最低だ。 」とかっこよく締めていた。ここから先はネタバレありなので、公開もそろそろ終わりに近づいているからあんまり気にしなくてもいいような気もしないでもないですが、とにかくこれから楽しみにしていらっしゃる人は読まないでくださいね!

 それでオレもEくんの日記にコメント書いていたら、カトキチ君がそれを読んで電話で謝って来ました。事情を聴いたら、彼は猛烈なタランティーノファンなので、ちょっとでも悪く言われると我慢ができずパニック状態になってしまったとの事でした。要は狂信者であったと、狂信者じゃしょうがないかと納得したわけです。でもそれだと話をしても面白くないからなあ、困ったなと思いました。

 オレは狂信者ではなく、普通にファンなのでタランティーノさんの映画には目一杯期待しますが、金を払っている以上面白くなかったら腹も立てます。しかし、『イングロリアス・バスターズ』は絶賛記事ばっかりで、文句を言うのに非常に肩身が狭いです。センスがないんじゃないかと……うるせえなセンスなんかねえよ、あったらもっとマンガ売れてるってんだよ!

 サイゼリヤでオレは、戦争映画にしては戦闘場面がさっぱりなく物足りない、バスターズの活躍があんまりない、会話の場面ばっかりと言った不満を口にしたわけですが、そういった点を踏まえて2回目見てきました。最初は戸惑うところも、そういうものだと心して見るとまた別の側面が見えてくるじゃないですか。『キルビル1』がそうでした。とにかくモヤモヤの正体を見極めてやろうと思いました。そのためにイングロ読本や映画秘宝、町山さんのポッドキャストを聴いたりもしました。

○改めて見て感じたこと
・バスターズの出番はけっこうあった。しかし一回目に見た時の「少ない!」という印象が逆に作用してけっこう多く感じたかもしれない。そしてどの出番もとても面白かった。
・会話は確かに多かった。「戦争映画」と言うより「会話映画」と言ってもいいくらい喋り捲っていた。居酒屋のやりとりが特に長く感じた。さっさと場所変えればいいだろとずっと思っていた。
・数少ない戦闘場面はどれも緊張感たっぷりで素晴らしい。特に居酒屋場面は『レザボア』から続くタランティーノ節と言っていい。
・主役はブラッドピットよりむしろほぼ全ての登場人物に絡んでくるランダ大佐だと思って見るといいかもしれない。実際彼を軸に物語は進む。
・女優のスパイのブリジットがランダ大佐に絞め殺されるのにあまり意味がない。趣味か?

 オレが致命的にこの映画でダメなところは、ショシャナがオレに対して全く魅力的じゃないところでした。単なる不機嫌でなんの可愛げも色気もない女としか思えなかったです。厳しい表情も気の毒な運命で過酷な使命を担っているから仕方がないのは分かるんだけど、例えばジュリエットルイスがこの役だったら全然テンションが違ったはずなんです。だから、ドイツの英雄であるフレデリックがショシャナに惚れるっていうのもさっぱり応援できなかった。あんなつまんねえ女になんで?としか思えないのです。ショシャナが出るたびに見ていてとてもテンションが下がりました。おっぱいも鳩胸っぽかったです。美人なのかもしれないけど、オレには別にでした。映写されて毒づくところはよかったです。

 モヤモヤの正体は、主役級の一人であるショシャナが全く魅力的じゃなかったというのが大きなウェイトを占めていたと思いました。この役はフランス語が上手な人でないとできないので、ジュリエットルイスではダメなわけです。オレのジュリエットルイスは90年代の話で、最近は分からないですが! だからショシャナを普通に魅力的に感じる人はオレとは全く違った印象になっていたのだろうと思います。カトキチくんもそうだったのかな。

 タランティーノ監督が描く強い女はあんまり色気や可愛げがないと気づきました。あくまでオレの趣味ですよ。『デスプルーフ』の主役のスタントの女も魅力を感じないです。今回は、ドイツの女優のブリジットはよかったです。美人で色っぽかったけど散々な目に会って挙句に殺された。

 ショシャナは好きにはなれないですが、でも2時半全く飽きなかったのは前回同様で、登場人物をじっくりと、これが誰々かと確認するのも楽しかったです。むしろ2回目の方が面白かったです。1回目ダメだった人ももう一回見たほうがいいですよ。そういうわけで事件にまで発展した『イングロリアス・バスターズ』ですが、苦手な面も含めて改めて面白い映画でした。